2016.10.30 07:00更新 【沖縄オフレコ放談】 吉か凶か! 警察との折衝役の反対派リーダー逮捕 進駐軍VSプロ市民−米軍ヘリパッド移設最終攻防へ http://www.sankei.com/politics/news/161030/plt1610300001-n1.html 米軍北部訓練場(東、国頭両村)のヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)移設工事に対する反対運動は激しさを増し、政府も訓練場の過半の年内返還に向け、工事推進に断固たる姿勢を示している。沖縄県警は反対派リーダーの逮捕に踏み切り、反対派は「抗議活動への弾圧」と反発を強める。ただ、実は反対派は一枚岩ではなく、大同団結の象徴だったリーダーの戦線離脱で司令塔を失ったといえる。 やりたい放題に怒る地元住民 国頭村安波区。米軍北部訓練場と県道70号に挟まれた場所に広大な農地が広がり、約50人の農家がパイナップルやサトウキビなどを栽培している。ここで、北部訓練場のヘリパッド移設反対派による不法侵入が深刻化し、農家からは怒りの声があがっている。 70号と農地を隔てるフェンスには「関係者以外の立ち入りを禁ず」と書かれた看板が設置されている。反対派はそれを無視し、フェンスを勝手に開けたり、脇をすり抜けたりして侵入。農地の奥にある谷を通り、ヘリパッド工事の進むG地区での妨害活動に向かう。 50歳代の男性は「反対派はやりたい放題だ」と話す。別の農家によると、農地が踏み荒らされた跡を見つけたこともあるという。 農地は徒歩で30分程度とG地区へ不法侵入するのに近い。反対派は10月上旬から農地を頻繁に出入りするようになり、20人前後で早朝にG地区へと向かい、夕方に戻ってくる。 不法侵入対策として農家はフェンスにカギを取り付け、脇を通れないようにフェンス幅も広げた。余計な出費で気苦労も絶えない。 パイナップルの出荷最盛期だった8、9両月は70号上での反対派の妨害活動で集荷や運搬に支障を来し、農家は損害を被っている。 地元組と支援者で反対派は二分 「いい加減にしろ」 ある農家は隣接する東村の「新住民」で反対派の一人に抗議したが、「農地や訓練場に不法侵入をするのは近隣住民ではなく、われわれの言うことを聞いてくれない」と困惑していたという。 新住民の反対派が漏らしたように、反対派は二分している。 ヘリパッド移設工事への妨害活動に参加している国頭村民はいないとされ、反対派の実動部隊は、東村に移住している新住民らに加え、県内・外からの「支援者」だ。この支援者はプロ市民が多い。 新住民や共産党系などの反対派は訓練場内への不法侵入は控えている。それに対し、反対運動を統率する沖縄平和運動センター議長の山城博治容疑者(64)=傷害容疑などで逮捕=や支援者が不法侵入を繰り返しており、警察幹部は「両者には溝ができている」と分析する。 もともと山城容疑者は米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設を妨害するため、移設先となる米軍キャンプ・シュワブのゲート前での活動を主導していた。今年7月、防衛省が北部訓練場のヘリパッド移設工事を再開させて以降、東村に活動拠点を移し、妨害活動のリーダーとなった。 山城容疑者はヘリパッド移設工事現場への立ち入りを禁じるフェンスの上に張られた有刺鉄線を切ったとして器物損壊容疑で逮捕された。その後、防衛省職員に暴行を加え、打撲など約2週間のけがを負わせたとして傷害などの疑いで再逮捕された。 山城容疑者は「非暴力」を掲げてきたが、実態はかけ離れている。 防衛省への進駐軍は官邸主導の証 防衛省はこれまで有刺鉄線を張る度に切断されていたが、「切断現場を確認できないため立件できない」(防衛省幹部)状態が続いていた。 今回、山城容疑者が切断する現場を確認できたことを受け、県警は逮捕し、傷害事件の捜査も進めて再逮捕に至った。 犯罪事実が固まれば立件するのは当然だが、県警内には山城容疑者の逮捕に懸念もあった。山城容疑者が現場で警察との折衝役となってきたからで、警察幹部は「折衝役が不在となり、妨害活動の歯止めが利かなくなる恐れがある」と指摘していた。 別の警察幹部も山城容疑者の逮捕について「吉と出るか凶と出るか…」と語る。 では、だれが山城氏逮捕のゴーサインを最終的に出したのか。 ヘリパッド移設工事を主導しているのは、今年に入り防衛省本省と沖縄防衛局に出向してきた国土交通省の技官らで、「進駐軍」と呼ばれている。和泉洋人首相補佐官が技官らを指揮しており、首相官邸に直結している。 それを踏まえれば、山城氏の逮捕も官邸が最終判断を下したとみられる。 ヘリパッド移設が条件となっている北部訓練場の過半の年内返還に官邸主導で邁(まい)進(しん)する政府に対し、司令塔を失った反対派の攻防は最終局面を迎え、なお予断を許さない。 (那覇支局 半沢尚久) 2016.10.20 18:22更新 沖縄・ヘリパッド移設工事の反対派リーダーを再逮捕 傷害などの容疑 http://www.sankei.com/affairs/news/161020/afr1610200025-n1.html 沖縄県警は20日、同県の米軍北部訓練場(東、国頭両村)のヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)移設工事に対する妨害で逮捕した沖縄平和運動センター議長、山城博治(ひろじ)容疑者(64)が、防衛省沖縄防衛局職員に暴行を加えてけがを負わせたとして、傷害と公務執行妨害の疑いで再逮捕した。 逮捕容疑は、8月25日に沖縄防衛局職員に暴行を加え、けがを負わせたなどとしている。 その際、職員は反対派の妨害に備えた警備態勢や緊急連絡網が記載された書類を盗まれており、県警は山城容疑者が関与していないか追及する。 県警は共犯者も逮捕したという。 山城容疑者は17日、ヘリパッド移設工事現場への立ち入りを禁じるフェンスの上に張られた有刺鉄線2本を切ったとして器物損壊容疑で逮捕されていた。 2016.10.20 02:00更新 防衛省資料盗んだか 逮捕の反対派リーダー 沖縄県警が捜査 http://www.sankei.com/politics/news/161020/plt1610200002-n1.html 沖縄県警は19日、同県の米軍北部訓練場(東、国頭両村)のヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)移設工事に対する妨害で逮捕した沖縄平和運動センター議長、山城博治(ひろじ)容疑者(64)が防衛省沖縄防衛局職員に暴行を加え、内部資料を盗んだとして、20日にも窃盗や暴行容疑で再逮捕する方針を固めた。 山城容疑者は17日、ヘリパッド移設工事現場への立ち入りを禁じるフェンスの上に張られた有刺鉄線2本を切ったとして、器物損壊容疑で逮捕された。 一方、8月25日に沖縄防衛局職員が暴行を受け、持っていた書類を盗まれる事件が起きている。書類には反対派の妨害に備えた警備態勢や緊急連絡網が記載されており、県警は山城容疑者が関与した疑いがあるとみて捜査していた。 2016.10.17 17:49更新 反対派リーダーを逮捕 沖縄の米軍北部訓練場 http://www.sankei.com/affairs/news/161017/afr1610170028-n1.html 沖縄県警は17日、米軍北部訓練場(東、国頭両村)のヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)移設工事に対する反対運動を統率する沖縄平和運動センター議長、山城博治容疑者を器物損壊の現行犯で逮捕した。 逮捕容疑は、米軍に提供されている北部訓練場内に侵入し、ヘリパッド移設工事の現場近くに設置された有刺鉄線を切断したとしている。 防衛省沖縄防衛局が有刺鉄線を張る度に反対派は切断していたが、切断現場が確認できないため逮捕できない状態が続いていた。 2016.10.8 22:51更新 【米軍北部訓練場】 北部訓練場の移設妨害に威力業務妨害罪を適用へ 警備困難な敷地、極左暴力集団が参加 集会で不法侵入を「すごい戦い」と堂々誇示 http://www.sankei.com/politics/news/161008/plt1610080029-n1.html 政府は北部訓練場のヘリパッド移設作業に対する妨害行為を排除するため、威力業務妨害罪を適用し検挙する方針を固めた。訓練場内への不法侵入が常態化しており、放置していれば作業が遅れるためだ。県道で車を斜めに駐車して工事車両の通行を妨害していた行為が、往来妨害容疑での逮捕により沈静化したことも踏まえ、「検挙に勝る防犯なし」との判断に傾いた。(半沢尚久、杉本康士) 深刻化しているのは、「N1裏ゲート」を拠点に反対派が連日、訓練区域内への侵入を繰り返し、G、H両地区での樹木伐採などの作業を妨害する行為だ。防衛省幹部は「有刺鉄線を設置しても、その日のうちに切断して侵入する。妨害行為もショベルカーの先端部分に潜り込むなど危険極まりない」と語る。 9月下旬からは機動隊が移動するのを阻むため、くぎやガラス片をまくなど、妨害をエスカレートさせている。 わが者顔の違法行為 訓練場に侵入した上でヘリパッド移設工事を妨害する行為は法律違反に当たるが、検挙は容易でなく、政府や警察当局の頭を悩ましてきた。 最大の原因は、北部訓練場が有する約7500ヘクタールの広大な敷地面積だ。他の在日米軍施設と異なり、不法侵入を防ぐためのフェンスを張り巡らせることができない。政府関係者は「反対派が訓練場に張り込むルートを発見しようと試みているが、なかなか難しい」と語る。 敷地面積が広大なため、在日米軍が摘発に必要な憲兵隊(MP)を配置しようとすれば膨大な人員が必要となり、「米軍はそこまではできない」(防衛省関係者)という事情もある。 こうした事情もあり、反対派はわが物顔で不法侵入を繰り返している。移設工事に批判的な琉球新報、沖縄タイムスの両地元紙には、施設内に潜り込んだ反対派が撮影したと思われる内部の写真が掲載される。 N1ゲート前で反対派が行う集会では、リーダー格の活動家が堂々と不法侵入を報告している。9月24日の集会では「山(訓練場)の中では50人以上が入っているといいますから、きょうもしっかり工事を止めているでしょう。すごい戦いです!」と述べると、集会参加者が拍手喝采した。 反対派が集会を行う県道70号上では、警備に当たる機動隊が配置されている。警察官の前で違法行為の報告と称賛が行われるという、法治国家にあるまじき光景が、北部訓練場の周辺では日常風景なのだ。 懸念されるけが 政府もただ腕をこまぬいて反対派の行動を眺めていたわけではない。 政府は年内の移設工事完了を目指しており、訓練場内での妨害活動を放置すればスケジュールに狂いが生じかねない。当初は刑事特別法(米軍施設立ち入り)違反による反対派検挙を模索していた。沖縄防衛局職員らが刑事訴訟法で認められている私人逮捕を行い、沖縄県警に身柄を引き渡すという形だ。 ところが、この方針には不安もつきまとっていた。摘発時には反対派による抵抗が予測され、防衛省職員や反対派にけが人が出かねないためだ。 9月24日には訓練場内で、防衛省の沖縄防衛局職員が不法侵入した反対派ともみ合いになり押し倒され、後頭部を打って全治2週間のけがを負う事件が発生。訓練場の中ではないが、8月下旬には搬入口前の県道上に設置されたテントの撤去を求めた沖縄防衛局職員がテントに引きずりこまれ、けがを負う事件も起きている。 「テントに引きずり込まれた職員は反対派のヘルメットを目深にかぶらされ、目の前が見えない状態でけがを負わされた。すごい恐怖感だったろう。おまけに職員の電話番号が記載された書類も取り上げられた」 憤りを隠せない防衛省幹部はこう証言する。沖縄県警の池田克史本部長が9月29日の県議会一般質問で答弁したように、反対運動には過激派など「極左暴力集団」も参加していることが確認されており、警察が直接摘発する必要が高まっていた。 逮捕めぐる攻防 そのため、杉田和博官房副長官は、威力業務妨害罪の適用による検挙を警察当局に指示。主にN1ゲート前など訓練場の外側に配置されていた機動隊を訓練場内に本格投入した。 ただ、課題もある。警察当局が訓練場内に機動隊を本格投入したのは9月下旬。10月8日時点で1週間以上がたっているが、機動隊に現行犯逮捕された活動家は出ていない。 反対派は一カ所に固まっているわけではなく、数十人が散らばっているため一斉に検挙することは事実上不可能だ。ショベルカーに潜り込んだり、ぶら下がったりしている行為は業務妨害として検挙しやすいが、ショベルカーの前に座り込んでいるだけの行為は判断がつきにくい。こうした違法行為の線引きの難しさもあり、警察当局が詰めの検討に入っている。 警備関係者によると、反対派は逮捕を警戒し、危険を感じた時点で逃げ出すという。ただ、機動隊の展開で反対派がいなくなれば工事が円滑に進むかといえば、そう簡単ではない。 「反対派は重機の前に座り込んで工事を1時間ぐらい妨害し、機動隊が逮捕しそうになったら逃げ出す。だが、しばらくしたらまた戻ってきて妨害する」 政府関係者はこう説明する。追いかける機動隊と逃げる反対派。ヘリパッドの移設工事が完了しなければ、北部訓練場の半分以上の返還も実現しない。反対派検挙をめぐる攻防が、沖縄の本土復帰後としては最大規模の米軍施設返還に向けた命運を握っている。 2016.10.4 17:41更新 北部訓練場の暴行で逮捕 容疑者は社民・福島瑞穂議員らと接点 http://www.sankei.com/politics/news/161004/plt1610040038-n1.html 沖縄県の米軍北部訓練場(東村など)の過半の返還に向けたヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)の移設工事に対する妨害活動で、防衛省沖縄防衛局職員にけがを負わせたとして、沖縄県警は4日、傷害の疑いで、工事反対派で住所・職業不詳の添田充啓容疑者(43)を逮捕した。添田容疑者は8月ごろから北部訓練場の妨害活動に参加。社民党の福島瑞穂参院議員が現地を訪れた際には行動をともにしていたという。 添田容疑者は9月24日、訓練場内のヘリパッド移設工事現場で防衛局職員らともみ合いになり、職員1人が倒され、頭部打撲など全治2週間のけがを負ったとして防衛局が27日に県警へ被害届を出していた。 2016.9.26 08:00更新 【沖縄米軍基地反対派ルポ】 不法行為への後ろめたさは微塵もなく…実態は県外から来た活動家ばかり 地元住民とのトラブルも頻発 http://www.sankei.com/premium/news/160926/prm1609260008-n1.html 米軍北部訓練場のヘリパッド移設工事をめぐる反対派の行きすぎた行為は、沖縄防衛局職員に対する暴力だけにとどまらない。 「山(訓練場)の中では50人以上が入っているといいますから、今日もしっかり工事を止めているでしょう。すごい戦いです!」 24日午前、「N1ゲート」と呼ばれる訓練場搬入口前の県道70号の路上(東村高江)でマイクを握った活動世話人の山城博治氏は誇らしげに報告した。集まった約230人(主催者発表)も拍手で応える。そこには、不法侵入に対する後ろめたさなどは微塵も感じられない。 この日は訓練場に入ろうとするトラックを、反対派が車両や座り込みの人海戦術で阻止していた。道路交通法違反に当たる行為だ。トラック搬入の阻止に成功した後は集会が開かれ、山本リンダさんの曲の替え歌を合唱した。 魔法の言葉、解釈改憲、もうどうにもとまらない… 集会後、山城氏に話を聞いた。「まともに書いてくれるかね、産経さん」と言いながらも穏やかな口調で答えてくれたが、内容は穏やかではない。違法認識はあるか問うと「新聞紙上で言っても現実は変わらない。こうでもしないとこの暴挙は止められない」と主張。沖縄防衛局が被害届を出していることには「でっち上げ。それが彼らの手口ですよ」と語気を強めた。 こうした運動を支えているのは、東村外や県外の活動家だ。24日の集会でも山城氏が「県外から来た方、手を挙げてくれる?」と問いかけると約20人が挙手。山城氏は「今日もたくさんだね」と相好を崩した。 東村住民によると、7月22日に工事が再開される直前に活動家が急増。N1ゲートでは資材搬入のたびに渋滞が発生し、近隣小学校の教師が授業に遅れる事態も生じた。通行車両に乗った人物が政府関係者や工事業者でないかを確かめようと、勝手に“検問”を行うようにもなったという。 検問を担うのは東村の外から来た活動家がほとんど。地元住民の顔を識別できない活動家が車を強制停止させ、怒った住民との間でトラブルが生じている。 今月17日には地元の農地を管理する東村の農業、依田啓示氏ともみ合いになった男女2人がけがを負ったとして、活動家側が名護署に被害届を提出した。依田氏は「先に手を出したのは向こうだが、反省している」と述べる一方、「地元住民でもない人たちが、さも自分たちが権威のように振る舞っている。納得がいかない。私の友人たちも怒っている」と話す。 高江区住民は村費で購入した「高江生産組合」と書かれたステッカーを貼った車両には検問をしないよう村を通して要請した。移設工事容認派の住民は「なんでこんなことをしなくちゃいけないのか。せめてステッカー代は反対派が出すべきだよ」と憤る。 もうどうにもとまらない−。反対派の「闘争」は暴走の一途をたどっている。(杉本康士)
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