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ウソ<2> 命と健康より“企業利益優先”の濫訴は防止できた 暴走TPP「10のウソ」
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/192614
2016年10月26日 鈴木宣弘 東京大学教授 日刊ゲンダイ 文字お越し
こうした表示も提訴対象になる(C)日刊ゲンダイ
グローバル企業が日本で水銀を垂れ流すような設備で操業しようとしたらどうなるか。当然、公害防止のために当局が規制する。ところが、「規制」によって損害を受けた企業が国際法廷に訴えれば、日本政府は損害賠償を支払わせられ、規制の撤廃に追い込まれる。どうにも理不尽な話であるが、これぞ悪名高き「ISDS条項」である。
だから日本も、「濫訴防止策等を含まない、国の主権を損なうようなISDS条項には合意しない」と国会決議したが、交渉に参加した途端、米国と一緒に他の国にISDSを強く求める側に回った。交渉の結果、「濫訴防止ができた」と日本政府は主張するが、ほとんどの法律家はISDS条項で「濫訴防止」は担保できていないと解釈している。
ISDS条項に最後まで抵抗したのは豪州だ。かつてたばこを吸いすぎないように表示しようとしたら、別の協定のISDSを使って巨大たばこ会社に損害賠償請求された苦い経験がある。それに懲りて、健康・環境に関わる措置は対象外にするよう頑張った。しかし、最終的にISDS対象外になったのは、たばこの表示だけ。その他は異議申し立てはできるが、国際法廷が棄却すればそれまでだ。要するに、「米国企業に対する海外市場での一切の差別と不利益を認めない」ことがTPPの大原則なのである。
遺伝子組み換えやその他の食品表示、安全基準、「地産地消」運動なども、ISDSの提訴で崩される恐れがある。実際、米韓FTAでは、「遺伝子組み換え食品を使わない」としたソウル市の学校給食条例が米国差別と韓国産奨励だとして提訴されそうになった。結局、訴訟費用や敗訴後の損害賠償を考え、提訴前に条例廃止に追い込まれた。
TPPでは、公共事業の入札で地元に精通した業者の点数が高くなるようなシステムは禁止されているが、これに関しても「米国企業優遇」の不平等がある。そもそも、日本は地方自治体レベルの公共事業を、TPP参加国の中で最も開放した国と評価されており、英文で国際入札にかけなければならない公共事業の範囲が広い。かたや米国は、TPPが連邦法にしか影響しないので、州レベルの公共事業は国際入札の対象外で、州法による「バイアメリカン」(公共事業に米国産義務付け)もTPPの影響を受けない。
そんな米国でも、全米の法学者、環境保護団体などが、ISDSは国家主権の侵害だとして反対する書簡を政府に提出し、オーストラリアでは、いまもISDSへの拒絶反応が強い。フランスやドイツで全土一斉の抗議行動が行われるなど、EU各国でも米国とのFTA交渉で、ISDSへの猛烈な拒否運動が起こっている。
日本でISDSについて議論が深まらないのは異常だ。TPPの本質は「人命より巨大企業の経営陣の利益を増やすためのルール」であることを忘れてはならない。(つづく)
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