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「未来の首相候補」橋下氏にあって、小池氏にないものとは? お互い手法は似ているけれど
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50064
2016.10.27 伊藤 博敏 ジャーナリスト 現代ビジネス
■橋下氏は嫉妬している?
国民的人気という観点から考えると、将来の首相候補は、小池百合子都知事と橋下徹前大阪市長が双璧だろう。
オールマイティの権力を握る首長の強みを存分に発揮、政治家としての資質の高さを、先に見せつけたのは橋下氏だった。
自民・公明両党の支持を受けて大阪府知事として辣腕を振るったが、大阪都構想などで既成政党や大阪市、堺市といった政令指定都市の批判を受けると、自らを党首とした大阪維新の会を創設。やがて日本維新の会と活動を全国レベルに広げ、地方行政にも国政にもインパクトを与えた。政界を引退したとはいえ、まだ47歳。再度登板することを、誰もが疑っていない。
一方の小池都知事。彼女の議員失職に伴う衆院東京10区の補欠選挙で若狭勝氏が圧勝。「小池劇場」が、まだまだ続くことを予感させた。行政改革では先陣を切った橋下氏だが、政界歴は日本新党での初当選以降、14年を永田町で過ごし、その間、政党を転々としながらしたたかに生き残った小池氏の方が長い。
ただ、橋下氏にしてみれば、小池氏は「遅れてきた改革派の首長」である。
それだけに、小池氏が自分の敷いた「府(市)官僚や議会との対決路線」を踏襲、ついでに上山信一慶大教授をはじめとする「橋下ブレーン」を都政改革に活用、人気を博してしていることに、微妙な嫉妬があるのではないか。クサしたり褒めたりを繰り返すツイートの多さは、その表れだろう。
■「最強タッグ」はあるのか?
小池氏と橋下氏の類似点と相違点はどこにあり、今後、2人は手を結ぶのか結ばないのか、そして、どちらが首相に近いのか。
2人の共通項は少なくない。ブレーン集団をテコに旧体制の暗部を告発し、敵対勢力と見立てて攻撃する手法はそっくりだ。
小池氏の怒りの矛先は、都知事選期間中から自民党都議会の内田茂都議らハコモノ行政に寄生する既得権グループに向けられ、高い支持率につながったが、大阪市長時代の橋下氏が目の敵にしたのも同じく既得権の恩恵に浴するグループだった。
とりわけ、市職員労働組合への敵愾心は尋常ではなかった。労組は、歴代の市長を選挙活動で支え、その代償として待遇改善などを勝ち取り、市執行部との蜜月体制を維持してきた。それは、放漫財政となって市の財政を圧迫していった。
橋下氏は、任期中に市職員労組の政治活動にタガをはめる条例案を提出したり、市施設の使用を禁じて法廷闘争に発展するなどしたが、そうした労働貴族≠ニの戦いは、地域経済の停滞に苦しむ大阪市民から強い支持を得た。そのぶつかり合いの最終決戦が、昨年5月の二重行政解消を目指した府市統合による「都構想」導入可否の住民投票だった。
橋下氏は僅差で敗れはしたが、その目標は後任の吉村洋文市長に引き継がれ、巻き返しが図られている。
小池氏もまた、都庁官僚との戦いを余儀なくされているが、「寸止め」に留めるという熟練の技を見せつけた。
例えば、豊洲市場の盛り土問題である。小池氏は、9月30日の会見で、「それぞれの役割の流れのなか、空気のなかで進んでいた」と、山本七平氏が『空気の研究』で喝破した日本型システムに責任の一端を預けた。その後、市場長を更迭するなど処分を下すのだが、原因を「空気」と規定したあとでは、個人責任は薄らいだ。
また、10月20日にも官僚掌握術を見せつけた。この時、初めて各部局を訪れ激励。とりわけ注目されたのは、豊洲問題に揺れる中央卸売市場だった。
緊張する職員を前に、小池氏は「東京のみならず日本中が築地、豊洲市場について、その行方をはらはらしながら見守っている。しっかりと責任を持って職務に当たるという原則に戻って頑張ってほしい」と指示し、奮起を促した。
逆風にさらされる部局に知事が直接足を運ぶのは異例だが、厳しい言葉を予想していただけに、「ほっとした表情を浮かべた職員も少なくなかった」(同行した記者)という。人は警戒するときほど、相手から優しくされるとシンパシーを強く感じるものだ。
■勉強熱心さでは群を抜く
橋下氏の人心掌握術も巧みだ。
大阪府知事時代、「みなさんは破産会社の社員です」と、職員への訓示で、まずカマし、財政再建に向け職員のやる気に火をつけたショック療法はよく知られる。
表面上は攻撃的な性格のようにみえるが、職員とのやり取りでは説明を最後までじっくり聞き、わからない点は解消できるまで聞いてくるタイプだった。
ある古参幹部は「政策に関する勉強の熱心さで言えば、歴代トップの中で群を抜いていた」と打ち明ける。大阪市の特別顧問に対し、一晩で50回ほどメールで質問を出したこともある。また従来の前例踏襲型の年功序列人事を排し、積極的な政策提言をした中堅層を相次いで抜擢し、市職員のモチベーションを高めた。
小池、橋下両氏とも、外部のブレーン集団を重用するとはいえ、実務の手足となる役人を敵に回しては仕事が進まないことをよく心得ている。その点では、2人ともリアリストである。
そのうえで2人に共通するのは、テレビの世界での経験が長いだけあって街頭遊説で聴衆を呼び込む力があること。
小池氏の都知事選期間中の人気ぶりは説明不要だが、「1丁、2丁、3丁と豆腐の話じゃないですよ」と、東京五輪の開催コストが3兆円を超す可能性をあてこすったフレーズは聴衆の笑いを誘い、何度もテレビ放送で使われている。
橋下氏の演説能力も負けていない。かつて日本維新の会の応援で、共同代表の石原慎太郎氏とともにマイクを握ったときのこと。橋下氏の演説が終わると、石原氏の登場を待たずして聴衆が急に減ったという現象が各地で起きた。さすがの石原氏も「橋下君の演説はうまい」と負けを認めた。
■この関係が4年も続くか?
橋下氏にあって小池氏にないのは、自らの手勢である。首長と議員が別々に選ばれる二元代表制のなか、橋下氏は大阪維新を立ち上げて、活動の場を広げた。
東京五輪を控える都議会で今後、小池氏と都議会与党の自民・公明両党との衝突は避けられない。そのため小池氏は、来年7月の任期満了に伴う都議選に向けて、「小池新党」を画策している。
当人は、新党結成の意向を煙に巻いているが、小池氏が開く政治塾「希望の塾」はその受け皿になるとみられ、10月30日の初回には、全国から4千人以上が参加を希望している。ちなみに、この手法は、維新が国政選挙や地方議員選挙の立候補者を探すために開設した維新政治塾と同じだ。
改革派首長の先輩である橋下氏からノウハウを学ぶ小池氏。「東京と大阪が両輪となって日本を変える」と、指摘する向きもあるが、“両雄”が並び立った例はない。
なにより、橋下氏にあって小池氏に不足しているのは時間である。現在、64歳の小池氏が初の女性宰相を狙うとすれば、東京オリンピックを終えた20年を一区切りとして国政に戻らなければならず、小池新党は地方政党にとどめ、今後も自民党本部とは連携する。
戦いながらの連携――そんなパフォーマンスを4年も続けられるのか、という疑問にさらされながらも、小池氏は突っ走り続けるだろう。
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