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「若者に広がる過労自殺"命より大切な仕事はない"」〜即戦力として期待され仕事に不慣れな若い人たちが過労自殺に追い込まれるケースが増えて/nhk・村田英明
「若者に広がる過労自殺"命より大切な仕事はない"」(時論公論)
2016年10月25日 (火)
村田 英明 解説委員
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/255565.html
働き過ぎが原因でうつ病などを患い、自ら命を絶つ過労自殺が20代や30代の若い世代で相次いでいます。「命より大切な仕事はない」。これは、大手広告代理店の電通に就職したばかりの娘を過労自殺で亡くした母親が、無念さをにじませながら語った言葉です。若者が追い詰められ命を奪われる過労自殺はどのようにして起きるのか電通の新入社員のケースで見てみます。そのうえで、企業や国が取り組むべき対策は何か考えてみたいと思います。
電通の新入社員だった橋まつりさん(当時24歳)は、去年のクリスマスに都内にある会社の寮から飛び降りて自殺しました。長時間労働による過労が原因だったとして、先月、労災が認められています。希望を胸に入社した若者を死に追いやった過酷な労働とは、どのようなものだったのでしょうか。
母子家庭で育ったまつりさんは「就職してお母さんを楽にしてあげたい」と、去年、東京大学を卒業して電通に入社。配属されたのはインターネット向けの広告を担当する部署でした。
会社側は勤務実態を明らかにしませんが、遺族側の説明では正式に社員に採用された去年10月以降、残業が一気に増えたといいます。
うつ病を発症したとみられる11月7日までの1か月の残業時間は過労自殺の労災認定の目安となる月100時間を上回る105時間に達していました。
10月から職場の人員が減らされたうえ、担当する企業が増えて、仕事の量が大幅に増えたためとみられています。
限界を感じたまつりさんは上司に「部署を変えて欲しい」と願い出たそうですが、認められなかったといいます。
そして、12月25日の朝、母親に「今までありがとう」というメールを送り、その数時間後に帰らぬ人となりました。
まつりさんは友人や家族に携帯電話から頻繁にメッセージを送り仕事のつらさを訴えていました。
「土日も出勤しなければならないことがまた決定。本気で死んでしまいたい」。
「もう4時だ。体が震えるよ」。「毎日、次の日が来るのが怖くて寝られない」。
職場の上司に言われたという言葉も書き込んでいます。
「君の残業時間の20時間は会社にとって無駄」。
「髪がボサボサ。目が充血したまま出勤するな」。「女子力がない」。
遺族側は、長時間労働と睡眠不足による過労の蓄積と強い仕事のストレス、そこに、上司の叱責が加わったことで精神的に追い詰められていったと言います。
「過労」に「ストレス」、そして「パワハラ」は、過労自殺の主な原因とされていますが、さらに考えなければならないのは、まつりさんが「新入社員」だったということです。
実は、仕事に不慣れな若い人たちが過労自殺に追い込まれるケースが増えているのです。
厚生労働省によると20代や30代で、過労自殺で労災が認められた件数は、昨年度は未遂を含めて36人いました。しかし、これは氷山の一角に過ぎません。警察庁の統計では仕事上の問題が原因で自殺した若者は去年1年間で955人にのぼっています。10年前のおよそ4倍に増えていて、過労自殺はさらに多いと考えられているのです。
では、なぜ若い人たちの間で過労自殺が広がっているのでしょうか。
過労死弁護団全国連絡会議幹事長の川人博弁護士は「新人にも即戦力としての役割を求め、経験と能力に見合わない過度の負担を課す傾向が企業の間で強まっている。その結果、心身の健康を損なう新入社員や20代の労働者が増えている」と分析しています。
バブル経済が崩壊した後、企業の多くは人件費を抑えるため正社員を減らし、非正規労働者を増やしてきました。まつりさんのように正社員として採用された新人は即戦力として期待され、いきなり重要な仕事を任されるケースが増えていると言います。
厳しい就職戦線を勝ち抜いて就職した側も、期待に応えようと頑張り過ぎてしまう。つまり、職場環境が変化する中で若者が犠牲になっていると言うのです。
そうした、若者へのしわ寄せは学生アルバイトにも及び、正社員並みの仕事や責任を負わされ、働き過ぎから心身の不調を訴える「ブラックバイト」が問題になっています。
こうした問題の根底には、社員の健康をないがしろにしてまで業績にこだわる企業のモラルハザードがあり、そのことが過労自殺を深刻化させているように思います。
では、若者の過労自殺を防ぐにはどうすればいいでしょうか。おととし、過労死防止対策推進法が施行され、国の責務で対策が進められることになりました。
厚生労働省は若者に過酷な労働を強いるブラック企業に立ち入り調査を行うなどして指導を強めていますが、働き方を変えるのは容易ではありません。そのことは電通の対応を見ても明らかです。
電通では25年前にも、入社2年目の男性社員が過労自殺しています。
遺族が損害賠償を求めた裁判で最高裁判所は、会社側の責任を認めたうえで、「会社は社員が心身の健康を損なわないようにする注意義務を負う」という初めての判断を示しました。
これがきっかけとなって社員の健康管理に力を入れる企業が増えたのですが、電通の企業体質は変わらず、去年8月にも違法な長時間労働を是正するよう労働基準監督署から勧告を受けています。
電通は、去年10月以降は残業を減らすため、すべての部署で「ノー残業デー」を設けるようにしたほか、出勤や退勤の時間を正確に記録するようにしたと説明しています。しかし、遺族側は、まつりさんの職場では残業時間が増えていたうえ、上司の指示で勤務時間を少なく記録していた疑いがあると指摘していて、労働局が残業隠しがなかったか調べを進めています。
このように、行政指導には限界があり、若者をとりまく職場環境の改善は見込めない。そう考えて、過労自殺を含む過労死で息子や娘を失くした遺族たちは、法律による規制の強化を求めています。その1つが、36協定の見直しです。
労働基準法では、労働時間は1日8時間、週40時間までと決まっていますが、労使の間で法律の36条に基づく36協定を結び、勤務の延長時間などを届け出れば、1か月で45時間、1年で360時間の上限まで残業が認められます。
ところが、この上限というのは名ばかりで、ボーナス商戦や客からのクレームへの対応で忙しいなどと特別の事情を届け出れば、事実上、何時間でも残業を命じられようになっているので、法律の仕組みを変えない限り、長時間労働に歯止めがかからないのです。
遺族が求めているもうひとつの対策。それは、勤務間インターバル規制の導入です。仕事が終わって次の仕事を始めるまでに休息時間を確保して長時間労働を防ごうというもので、導入しているEUでは11時間以上の休息時間を企業に義務付けています。午後11時まで残業した次の日は、11時間後の午前10時以降に出社すればいいわけです。
仕事を離れ、確実に睡眠時間を取れるので、疲労の回復やストレスの解消につながり、過労自殺の防止に有効だと言われています。
この36協定の見直しと勤務間インターバル規制の導入については、政府も働き方改革に取り組む中で検討を進めていますが、経済界からは、すべての業種で一律に規制を強化すべきではないという声が出ていて、実効性のある対策を打ち出せるかどうかは不透明です。
社員の健康が損なわれている職場からは、仕事の活力は生まれないと思います。
命をすり減らしてまで働くことに、どれだけの価値があるのか、企業はもとより、社会全体で問い直す必要があります。(引用終わり)
いわゆる「スーパー資本主義」のもたらす災悪だろう/仁王像。
(「スーパー資本主義」とは?)
・http://www.asyura2.com/13/dispute31/msg/420.html
>ロバート・ライッシュ(元米労働長官)は、成長が限界に近づくなか資本主義そのものが変質し始めていると警告している。
ライッシュ「いわば”スーパー資本主義”とも言うべき異質なものが生まれようとしている。より早くより効率よく、より手ごろなものを過剰なまでに追求するシステムに変貌している。企業はあらゆる手段を使って競争を生き残ろうとする。行き過ぎた資本主義は弱肉強食のジャングルのような世界を作り上げているのです」
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