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強行採決まっしぐら TPPが招く競争至上主義の惨憺
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/192519
2016年10月25日 日刊ゲンダイ 文字お越し
何が何でも早期成立(C)日刊ゲンダイ
安倍政権がTPP承認案の早期成立に向け、シャカリキになっている。衆院の特別委員会は、委員長の職権で25日の参考人質疑を設定。与野党の攻防が激化しているが、与党は26日に地方公聴会を行い、月内の採決を強行する構えを崩していない。
国民生活を最優先に考えれば、臨時国会では他にもやるべきことがあるのに、安倍政権は「何が何でもTPP」なのである。
首相はTPPを通すためなら虚偽答弁もいとわない。強行採決発言の農水大臣をクビにすることもなく、国民にちゃんとした説明もせず、数の論理で推し進める暴挙だ。
だが、TPPという米国主導の究極の自由競争が、本当に国家に繁栄をもたらすのか。世界を見渡せば、グローバリズムの矛盾が噴出しているではないか。
米大統領選でトランプ人気の異常事態になっているのも、英国で事前予想に反してEU離脱派が勝利したのも、行き過ぎた競争至上主義の弊害が背景にある。米英というグローバリズム“先進国”の惨憺たる状況を、日本は今こそ直視して、考え直す時なのに、安倍政権はTPP推進で逆のことをやっている。
保護主義に戻れというのではない。TPPの本質が、「自由貿易とは名ばかりの米国の多国籍大企業を儲けさせるためのルール」だからダメなのだ。TPP参加国でこれまで批准した国が一カ国もないのがその証左である。急ぐ日本は異常だ。
上智大教授の中野晃一氏(政治学)はこう言う。
「グローバリズムの弊害が格差を拡大させたということで、スペインのポデモスや米国のサンダース人気のようなリベラル左派が生まれた。トランプ現象はグロテスクな形ではありますが、あれも反グローバリズムの結果、出てきたものです。かたや日本では、TPPに代表されるような対米依存の新自由主義で格差拡大を進め、国民を苦しめるような政策ばかり行いながら、安倍政権は、それに対する国民の不満を排外主義によって解消しようとしている。二枚舌というか、やっていることがめちゃくちゃです」
新自由主義の弊害が生んだ怪物(C)AP
低所得層が大金持ちを“英雄視”する矛盾
米英でいま何が起きているのか。
日本総合研究所主席研究員の藻谷浩介氏が「トランプ現象と資本主義」のタイトルでこんなことを買いていた(23日付毎日新聞)。〈資本主義の反対語は社会主義や共産主義だけではない。身分制度を前提とした封建主義こそ本来の対置概念である〉〈今世紀資本主義の最大の問題は、表に表れた格差ではない。親の地位や富裕度で子供のスタートラインに決定的な差がつくという事態のエスカレート、すなわち(身分制度のような)封建原理の復活こそが根本問題だ。放置すれば必ず社会不安が高まり、資本主義は自滅に向かう〉
しかし、米国ではここでねじれが生じている。つまり、固定化された差別に不満を持つ低所得の白人層が、銀の匙を咥えて生まれてきたようなトランプを支持している。自分たちの税金が貧困層に回ることに不満を募らす彼らは、刹那的にトランプの排他主義を信奉するのだ。
〈政府の介入を小さくすればするほど資本主義はうまく回ると信じるトランプ支持者たちは、富裕な親の下に生まれて最初からゲタを履いているトランプ氏のような連中の体のいい食い物になってしまっているのだが、それに気付かない〉
行き過ぎた新自由主義による格差固定化は、そのシステムの問題ではなく、さらなる弱者をいたぶる歪んだ排他主義を生んでいる。競争至上主義の病巣はここまで深い。
一方英国では、「凄まじいテロ対策」が進んでいることを発売中の月刊誌「Wedge」(11月号)が伝えている。英国では今年から、地方自治体や刑務所の職員、学校・大学の教員、医師や看護師といった人たちはテロリズムに発展する恐れのある過激化の兆候を見つけたら、すぐに当局に報告するよう義務づけられたという。グローバリズムが膨張した結果、反発して起こるテロの横行。それを防ぐために、隣組による密告制度のような“監視社会”になってしまった。とてもじゃないが、まともではない。
仏社会学者エマニュエル・トッドの著書の翻訳などで知られる慶大教授の堀茂樹氏(仏文・哲学)は「もともと新自由主義はアングロサクソンの国である米国と英国から始まったものですが、いまやその両国が新自由主義を終わらせる先頭に立ちつつある」と言う。これは歴史の皮肉というか、しっぺ返しというべきか。
歪んだトランプ現象と行き過ぎた監視社会は、グローバリズムに対する反逆にも見える。
■観念的な国家主義で国民を欺く安倍政権の欺瞞
結局、自由主義競争というのは幻想なんじゃないか。「1対99」に分断され、“自由”という言葉とは裏腹に、ほんの一握りの、1%のエリートしか決して勝者にはなれない。それもその1%は、生まれた時から富める者で、最高の教育を受けられ、巨万の資産を相続するエスタブリッシュ階級だ。これが代々続くことで格差は固定化する。
日本はまだ米英ほどの階級社会ではないとはいえ、確実に格差が固定化しつつある。貧困から抜け出せない若者は絶望的になり、その結果、社会不安が高まる。そして、生活保護批判に見られるように弱者同士が互いに罵り合い、「社会保障なんていらない」と言い、排他主義、差別主義が蔓延する。
国民の安全安心を最優先すると言いながら、大企業富裕層のための政策を重視する安倍政権が、結果的に、日本をそうした歪で閉鎖的な国にしてしまったのではないか。
前出の堀茂樹氏が言う。
「安倍政権はナショナリズムに見えて、その実、国民の連帯のシステムである国家を機能させて、国民を守ろうとはしていません。やっていることは国家主義のむしろ逆で、経団連の望む政策を実行し、富裕層の階級闘争を助長している。観念的にナショナリズムを煽りながら、国家による保護を個人から奪おうとしている。欺瞞に満ちています」
聖学院大教授(憲法・フランス法)の石川裕一郎氏も安倍政権に二面性を感じているひとりだ。それは「自民党改憲草案の中にも見られる」とこう続ける。
「自民党改憲草案は『復古主義』が特徴ですが、それと同時に『新自由主義』の側面も持っています。前文には『経済活動を通じて国を成長させる』という文章が加えられました。経済で国を成長させることが国民の目標だというわけです。また、第22条の『職業選択の自由』では、『公共の福祉に反しない限り』という文言が削除されています。人権や言論の自由などでは『公』を優先しながら、経済活動については『公』は取り払われ、たとえ公共の福祉に反しても利益を追求してよいということになっています。格差拡大もよし、としているのです」
■グローバリズムは周回遅れの思想
格差拡大で不安定化した社会で、テロでも起きようものなら、すぐにでも戦争に発展しかねない。考えるだけで恐ろしいし、ロクなことにならない。
今こそ、もっと足元を見つめた経済改革で、例えば里山資本主義のような、自然環境や人間関係など「金銭換算できない価値」を大事にする考え方に立ち戻ってみるべきではないか。
世界が反グローバリズムへと逆回転している中で、TPPという周回遅れのグローバル化しか眼中にない安倍政権は本当に狂っている。そして、安倍と一緒にTPP推進を旗振りして、バラ色の未来があるかのように伝えるメディアも、その罪は重い。TPPで国民は決して幸福にはならない。TPPを通したら、この国はオシマイである。
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