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語るの落ちる細谷雄一教授の「虚偽による世論誘導」考察ー(天木直人氏)
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15th Oct 2016 市村 悦延 · @hellotomhanks
きょう10月16日の読売新聞「地球を読む」で、慶応大学教授の細谷雄一氏が興味深い事を書いていた。
「真実後(ポスト・トルース)」という新しい用語があるという。
この言葉は米国で活躍している評論家のラルフ・キーズ氏が
2004年にその著書で使ったのが最初であるらしい。
そして2010年ごろから政治の世界で広く使用されるようになったという。
その意味はこうだ。
すなわち、いまや政治の世界では、虚偽を語っても検証されず、批判もされない。
真実を語ることはもはや重要ではなくなってきている。
たとえ虚偽を語っても、それは誇張だったと弁明し、言い間違いをしたとごまかせば許容される。
政治家はいまや、自らの正義を実現するために堂々と虚偽を語るようになった。
そしてそれがスピン(情報操作)として正当化され、日常化されている、という意味だという。
そしてその好例として細谷氏が挙げたのが英国のEU離脱の時に見られた虚偽の世論誘導だ。
つまりあの時、キャメロン首相は可能な限り信頼できるデータに基づいて
EU加盟の意義を国民に理解してもらおうと試みたが、それがあまりに複雑で難解であったため、
ウソの説明を繰り返して感情に訴えた離脱派に負けたと。
なるほど真実後は日本の政治でも見られる。
この細谷氏の論考を読んで、私は即座に安倍首相の言葉を思い出した。
なにしろ、「原発事故はアンダーコントロール」から始まって、
最近では南スーダンで戦闘が起きて犠牲者が出ているというのに、
「安全だ」と繰り返して世論を誤誘導しまくっているからだ。
御用学者の細谷雄一氏でも、さすがに安倍首相の発言は批判せざるを得なかったのかとてっきり思った。
ところが細谷氏はこう締めくくっている。
「日本でも真実後の政治が広がっている。昨年の安保法制をめぐる議論の中で民主党の執行部は、
根拠を示さず『いつかは徴兵制?募る不安』と記したパンフレットを配布しようとした・・・
国民の恐怖を煽る戦略を選び、建設的な政策論争の機会を放棄しようとする戦略だった・・・
民主政治はこれからどこに向かうのか。
政治国民の信頼を失い、より一段と真実が傷つく時代において、
政治はもう一度真実の価値を学び、信頼を回復しなければならない」と。
語るに落ちるとはこのことだ。
それはそっくりそのまま安倍首相に伝える言葉だ。
御用学者が御用新聞紙上で、虚偽の世論誘導をしているのである。
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