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2016/10/15 08:57
日本のマスメディアはTPP承認を推しているが、とりわけ読売新聞は積極的だ。本日(10/15)付の社説でも「早期承認で自由貿易加速せよ」と煽り記事を書いている。
その論旨はTPPを今国会で承認することにより米国に批准圧力をかけることが出来て、TPPで主導的立場をとることにより自由貿易を実現して利益を手中にできる、という荒唐無稽な論理展開をしている。
そもそもTPPは自由貿易協定ではない。TPPの目的は関税撤廃であり、それは日本の国内法や日本国内の慣習にまで及ぶ非関税障壁を徹底してなくすことにある。
読売新聞はTPPの問題をコメに矮小化して、輸入米は日本国内で消費するコメ全量の一部でしかない、と影響を過小化している。しかし問題は量的なものではなく、安倍自公政権が全農を無力化しているように、国内の制度そのものを破壊することにある。
その目的は米国の穀物メジャーによる穀物支配を行うことだ。日本の農業従事者は高齢化し、今後とも新規労働参入は望み薄だ。そうしてきた責任は減反政策などによる自民党政権下の農政にある。
減反政策はコメ価格の安定化のためではなく、その精度によりコメを作らなければ補助金を出す、という政策で農家を淘汰してきたのが現実だ。農政は減反ではなくコメを作りたいだけ作らせて、コメ粉などのコメ消費の新分野開発すべきだった。
コナモノといわれるラーメンやパンやパスタなどに使用される小麦がほとんど全量輸入である限り、日本国民の食料に占める小麦関係が過半数を超えた現在、カロリーベースの食料自給率が40%を切るのも当たり前だ。
コナモノもコメを用いれば食料自給率はそれほど下がらないはずだ。実際に小麦粉のパンよりもコメ粉のパンの方がモチモチして美味しいのは実証済みだ。
日本の政治は戦後一貫して、米国の1%への奉仕に向けられてきた。終戦直後に米国から緊急輸入された小麦粉やトウモロコシは、いわゆる古古米に相当する小麦粉だったし、飼料にする質の悪いトウモロコシだった。しかも無料ではなく、当時の国家予算の48%に相当する対価を日本政府は支払っている。
当時の日本は占領されていた。占領した国は被占領国の国民を保護すべきと国際条約で定められている。だから米国が緊急輸入するのは当然だし、その対価を日本政府に求めてはならないはずだ。
そして、米国は生産過剰になっていた小麦の消費地に日本をすべく、パン給食を始めた。現在でもコナモノの食料を宣伝するテレビ番組が多いことに気付いているだろうか。
テレビ番組の食レポではタコ焼きやピザ、うどんやラーメンにバスタと、コナモノ食品のオンパレードだ。それらにも米国の意図を強く感じる。日本の食糧安保を考えるなら自給率を上げるべきで、ほとんど100%輸入の小麦を使った食品を安易に宣伝するのは慎むべきだ。
しかしTPPに関してはコメの問題などは大筋の問題ではない。大きな問題は小泉氏の時代に米国の要請により優勢の民営化をして郵貯350兆円を民営化し、今度の安倍氏により実施された全農改革による農中金の民営化により米国の1%に貢ごうとすることだ。TPPに参加すれば「ヒト、モノ、カネ」のすべてが国境に関係なく移動できるようになる。
一般国民は国境を意識していないが、日本を市場とみなす国際投機家たちにとって国境は不便なものだ。そして外国労働者を手配する派遣業者にとっても国境は面倒なものでしかない。
日本国民は国境があることによって守られていることを知らなければならない。外国から「ヒト、モノ、カネ」が自由に出入りすることにより一般の国民が利益を得る機会はほとんどない。しかし世界をまたにかける投機家たちや穀物メジャーにとっては日本は美味しい獲物だ。
貿易は日本のGDPの14%に過ぎない。TPPにより日本の国民が大きく利益を得ることはないが、米国のハゲ鷹たちは巨万の富を手にすることが出来る。TPPの二国間版というべきFTAを米国と結んだ韓国がいかなる現状になっているか、他山の石とすべきだ。
日本は幕末期に米国と「修好通商条約」を結んで酷い目にあっている。その現代版がTPPだ。
米国と必要以上にコミットするのは危険だ。かつて第二次大戦に踏み込まざるを得なくなったの石油や鉄鉱石などの資源輸入の75%を頼っていた米国が突如として日本が満州から手を引くべきなどと様々な理由をつけて「禁輸」措置を講じたからだ。
米国は決してお人好しの国ではない。極めて自己的なプラグマティズムの国だ。用なし、と見切りをつければどんな酷いことでも平気でやりかねない国だ。
アルカイダのウサンディン・ラビン氏もかつては米国の手先だったし、ISの幹部たちもかつては米国の先兵として利用された人たちだ。他国に対して必要以上の深入りすべきではない。日本の政治家は日本国民の安全と平和のためを常に第一に考えるべきだ。TPPに参加して碌なことはない。
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