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2016/10/01 05:06
<安倍晋三首相は30日の衆院予算委員会で、先の所信表明演説で自衛隊員らへの敬意に言及した際に自民党議員が総立ちで拍手したことについて、「敬意の表し方は議員個人個人が判断することだ。どうしてことさら問題になるのか理解できない」と述べ、問題視しない考えを示した。
首相は、昨年4月に米議会上下両院合同会議で自らが行った演説に「十数回スタンディングオベーションがあった」と紹介し、「悪いということはない」と主張。同時に「強制して一斉にやるのはおかしい」とも指摘し、「(所信演説で)私が促しているわけではない」と語った。
細野氏は独裁国家を念頭に「首相自身も拍手している姿を見ると、この国の国会ではないような錯覚を覚えた」と批判。これに対し、首相は「わが党への侮辱だ」と不快感をあらわにした>(以上「時事通信」より引用)
なぜ国民は衆議院での首相方針演説の途中で、自民党議員の総立ち拍手を「気持ち悪い」と感じているのか。それは自然発生的なものではなく、安倍氏が「日夜国民のために活躍されている警察、海保、自衛隊の各員に感謝しようではないか」との呼びかけに対してスタンディングオペレーションをしたからだ。
つまり特権により他者を鎮圧する暴力装置を使用する立場の人たちに対して、ことさら「感謝」すべきだという発想に、戦前・戦中の「兵隊さんありがとう」と国民学校で言わしめられていた記憶がダブるからに他ならない。けっして感動した国会議員の自発的なスタンディングオペレーションが悪いといっているのではない。安倍氏の呼びかけと自民党国会議員が演じた反応に国民は「兵隊さんありがとう」と言わしめられていた姿に、国民学校の児童たちの記憶をダブッて見たからに他ならない。
安倍氏の潜在意識にはそうした幼稚な軍国主義の再現を歓迎する気分が色濃く存在しているようだ。特定秘密保護法といい、マスメディアに対する「不快感の表明」といい、NHK会長人事に介入したり、日銀総裁人事に介入したり、とこの国の各界トップを自分の手中に収めようとする「全体主義」的発想をコワイと感じない人たちは不感症だ。
先の大戦後のこの国は権力の集中を避ける仕組みを国家構造の各所に構築してきた。憲法による「三権分立」がまさしくその根幹だ。しかし議院内閣制度のために政府と与党は激しく癒着し、司法の府も米国のジャパンハンドラーたちの圧力に屈したかのように砂川事件判決であっさりと武力装置を「自衛のための武力は自然人の正当防衛の権利」と同様に認めるべきだ、と現行憲法を解釈した。なぜもっと司法の府は憲法条文に対して純粋に条文解釈で辛吟しなかったのだろうか。
国会議員が単細胞になれば、自分たちが選んだ政府に対して「従属」して何が悪い、と開き直るものだ。しかし、それは憲法を知らない愚かな単細胞の戯言に過ぎない。
行政の府が「警察、海保、自衛隊」の各員が国民のために奉仕しているのに感謝しよう、と呼びかけるのに対して、「それは当然だが敢て国会壇上で首相が呼びかけることではない。国民のために奉仕するのはその任にある限り当たり前で、国会議員や官僚たちや公務員たちもすべて国民のために奉仕する同様の公務員だ」と反論するくらいの気骨ある国会議員が与党内にいなかったというのが空恐ろしい気分になるのだ。
平時に「兵隊さんありがとう」と国民学校の児童に時の政権は言わしめていなかった。政権が戦争を意識し、戦争で戦死する「兵隊」さんを特別視して崇めなければならないと意識したから、そう言わしめたのだろう。
そうすると安倍氏は「警察や海保や自衛隊」の各員が戦闘により命を落とす事態を頭の中で想定している、と見做されても仕方ないだろう。それでも国民は気持ち悪くないだろうか。それでも他のスタンディングオペレーションと同様に何が悪いか、と開き直る安倍氏に危険な香りを嗅がないのだろうか。
暴力装置に対しては厳しく統制されるのが当たり前だ。感謝すれども決して祭り上げてはならない。断じて一般国民よりも「上」だと国民に武力装置至上主義を植え付けてはならない。平和憲法は平時ではあくまでも平時においては猛禽類のように「爪」を体内に隠し持っているべきだと政府・権力者たちに要請している。
しかし安倍氏は「戦争ごっこ」の続きが大人になった今もやりたくて仕方ないようだ。ガキがガキ大将に盲従するかのように米国のポチに成り下がるのが彼にとっては心地良いかのようだ。彼に日本の首相は勤まらない。いや、日本の首相にしてはならない人物が成り上がっている、というのが正確だ。それを許しているのは自公に国会で圧倒的多数を占めさせている国民だ。
日本国民は「兵隊さんありがとう」と小学生の自分たちの子供に言わしめたいのだろうか。国会議員が「警察、海保、自衛隊の皆さんありがとう」と大合唱して見せた。その通りに学校教育でせよ、と通達を出しかねないのが現在の国会議員諸氏のスタンディングオペレーションを首相の合図で一斉に演じた単細胞ぶりに如実に表れている。国民は用心せよ、格好良いと拍手していたら、いつの間にか兵隊に仕立て上げられ銃を担がされていた、という事態にならないとも限らない。
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