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10月から改定、壊れるか?パート「130万の壁」
ここが間違い、女性の攻め方
パート主婦の複雑な胸の内
2016年9月30日(金)
野村 浩子
「103万円の壁」「130万円の壁」――主婦パートが就業調整をする年収上限は、長らく「壁」として語られてきた。これを超えて働くと、税金や社会保険料の負担が生じるとして働く時間を制限する人が少なくなかったのだ。この10月から、新たに「106万円の壁」も加わる。従業員501人以上の大手企業では、社会保険の適用対象が年収106万円以上に拡大されるためだ。加えて、年収103万円以下を対象とする「配偶者控除」を見直して「夫婦控除」とする案も浮上している。パート主婦は「もっと仕事を」と動き始めるのか? 微妙な本音を探りつつ、壁をどう乗り越えるかを考えた。
「7円の女」
東京郊外で男の子二人を育てながらパートとして働く吉田妙子さん(32歳)は、勤務先の介護施設で、こう呼ばれていたと苦笑する。毎年9月になると、社会保険料を納めなくてすむ「年収130万円」に収まるよう、電卓片手に必死に就業時間を抑えていた。ところがある年の暮れ、「このままだと130万7円になるよ」と所長から指摘を受けて慌てて調整をしたという。
福島の高校を卒業後、都内の専門学校に進学。夜学に通いながら、介護ヘルパーの資格を取得し、学生時代から介護施設でパートタイムとして働いてきた。時給は約1000円で、週3日から4日、1日8時間働く。もしも配偶者控除の対象となる「年収103万円」に収めようとするなら、週2日しか働けない。それでは、子どもを保育園に預けることができない。夫の勤務先では、月8000円の配偶者手当の支給条件が「妻の年収103万円以下で配偶者控除の対象であること」。夫からは「できたら103万円に抑えてほしい」と言われているが、「それは無理」と断った。
もう少し働きたいという気持ちもあり、次なる壁である「130万円」を上限とすると決めた。社会保険料の負担がやはり重いこと、そして130万円を超えると保育園料の算出が「夫婦の年収合算」となり跳ね上がるからだ。
在宅ワークをする主婦も、社会保険料の負担を避けるため、年収130万円に収める人が少なくない(トューユーの在宅スタッフ)
夫は管理職昇進に伴い年収が100万円ほどダウン
夫との間では「今は、子ども第一、家庭第一。もし子どもに負担がかかるようなら、仕事はやめる」という暗黙の了解がある。夫の帰宅は遅いため、家事育児はほぼ100%、妙子さんが担うものの、特に不満はないという。
パートで働くのは、ひとつは家計の足しにするためだ。5歳上の夫は管理職昇進にともない残業手当がなくなり年収が100万円ほどダウン、今年は600万円弱となる見込み。二人の男の子は、サッカーと水泳教室に通っており、通信教育も受けさせている。これからますます教育費がかかるのも心配だ。
とはいえ仕事を続けるのは、お金のためだけではない。介護の仕事にはやりがいを感じている。リハビリ介助をするなか、身体機能が回復したお年寄りが「自分の体じゃないみたい」と喜ぶ顔を見るのが何よりうれしい。
いま妙子さんは、介護職でステップアップしようとケアマネジャーを目指して、介護福祉士の資格取得に挑戦している。勉強に集中するため、いったん施設ヘルパーをやめて、在宅で経理事務の仕事を請け負っている。業務委託で仕事を受けるため、社会保険料を自己負担するのは、10月以降も年収130万円以上が対象者となる。そこで、しばらくは130万円未満に抑えるつもりだ。
「もしも扶養枠などなかったら、上限など気にせずいけるところまでいく(働く)。いっそのこと、103万、130万円の壁なんてなくしてフラットにしたほうがいい」と、妙子さんはきっぱりと言う。「何もなくなったときに、一人で生きていけないのは怖い。夫にオンブにダッコも嫌だし。自分一人で歩いていけるようになりたい」。こつこつとそのための基盤を作っているところだ。
パートにも「積極派」と「そこそこ派」
2016年6月、主婦向けの仕事斡旋に力を入れるビースタイルが、既婚女性616人を対象に「扶養枠で働く」意識に関する調査を行ったところ、社会保険料負担が130万円以上から106万円以上に引き下げられたら「今よりも年収を下げて扶養枠内に収める」と答えた人が4割に上った。「今よりも年収を上げて扶養枠を外す」という人が2割、「もともと扶養枠は外しているので変わらない」という3割弱を加えると約半数は積極派。「積極派」と「そこそこ派」にほぼ二分される格好だ。
「今より年収を下げて扶養枠内に収める」と、あくまで「扶養枠」にこだわる「そこそこ派」にその理由を聞くと、「無理のない範囲で両立をしたいから」という理由が6割を超える。また「収入を増やしたくても配偶者の家事育児の協力が望めないから」、「収入を増やしたくても子どもを預けられない」と答えた人もそれぞれ2割前後いる。家庭や社会環境の壁があるため仕事を制限せざるを得ないという悩みが浮かんでくる。
自由回答を見ると、「扶養を超えて稼いだ分、保険料でとられてしまうなら働き損」とドライに割り切る人もいれば、「高収入を望めるような資格などないから」と自信のなさをのぞかせる人もいる。一方「今の職場では時間や日数を増やすことができない」「扶養枠を超えたくても会社がそうはさせない」と訴える声もある。企業側が社会保険料の負担増を嫌い、従業員に対して扶養枠を超えて働かないよう調整を求めるところもあるのだ。
中には、育児も家事も、そして地域の仕事も女性に負わせてこれ以上働けというのかという怒りの声も聞かれる。
「収入を増やしたくても働く時間は限られ、家庭のことも地域のことも自分がしなくてはならない。これ以上、働く女性にどうしろと?」
「希望は正社員でがっつり稼ぎたいが、子どもも小さいし、保育所に預けても緊急時に対応するのは自分なので、勤務先から敬遠される。それに低賃金の地域という地域性も影響している」
「子育て中の人だけではなく親の介護でなかなか働けない人もいるのに、一律に扶養控除の枠を狭めたり、撤廃したりしようとするのは納得がいかない」
「パートは贅沢な働き方になりつつある」
損するから「扶養枠」、無理なく両立したいから「扶養枠」という人もいれば、やむなく「扶養枠」という人まで、扶養の枠内でパートとして働く既婚女性の心情もさまざまだ。
冒頭の吉田さんがスタッフ登録する、経理の在宅ワークを斡旋するトューユーの濱崎めぐみ社長によると、スタッフの中には子育てしながら会社勤めをすることに限界を感じて退職、やむなく「扶養枠」で働くことにした女性も少なくないという。「大手企業で短時間勤務をしたものの、周囲からの厳しい視線に耐えられなくなって退職。在宅ワークで扶養の範囲で働く人もいる」。
トューユーの濱崎めぐみ社長
一方で、ビースタイルの三原邦彦社長は「(既婚女性にとって)パートは贅沢な働き方になりつつある」と指摘する。男性社員の給与が下がり続けるなか、103万円、130万円と扶養の枠内に収めて働くパート主婦は、世帯収入が平均よりも高めだという。本当に経済的に困っている家庭なら、妻もフルタイムで働くことを望むというのだ。
実際に、ビースタイルの先の調査をみても、世帯年収が高いほうが「扶養の枠内に収める」という希望が多い。2016年10月から社会保険の適応枠が広がることを受けて、もし該当するならどうするかを尋ねたところ、「今よりも年収を下げて扶養枠内に収める」と答えた人は、世帯年収500万円以下だと33.3%のところ、世帯年収700〜900万円だと46.6%に膨らむ。世帯年収が高ければ「扶養枠」という働き方を選択することができるともいえる。
夫の年収1200万円でも教育費のためにパートで働く
ビースタイルに派遣登録をする大崎芽衣子さん(仮名、40歳)のライフスタイルを見ると、三原社長の言葉もうなずける。東京・大田区に一軒家を構え、5歳のひとり息子を育てながら「パート派遣」として事務職の仕事をする。時給1200円で週2、3回フルタイムで働き、月収は7、8万円ほど。IT企業で働く夫の年収は1200万円だ。
世帯収入は平均をはるかに上回り生活費に困るわけではないが、「将来子どもに教育費がかかることを考えると、家計のために働いておきたい」という。柔らかな白いブラウスに黒いパンツ。足元は黒のペディキュア。モノトーンのシックで都会的な装いから、豊かで余裕のある生活ぶりがうかがえる。
働くスタイルは、パートタイム型派遣。かつて派遣社員といえば、派遣先が若手を望むため、「35歳定年説」がささやかれていた。しかも原則はフルタイム勤務だった。ところが最近では人手不足から、派遣先は「経験豊富な40代、50代女性を積極的に採り始めた。アラフィフ女性にもチャンスが巡ってきている」と三原社長はいう。企業の正社員に短時間勤務が広がるなか、パートタイムとして派遣を受け入れることへの抵抗感が薄れてきたことも、アラフォーからアラフィフ女性にまで「パート派遣」が広がっている一つの要因だ。
ビースタイルの三原邦彦社長
芽衣子さんは、その流れにうまく乗ったといえる。新潟の高校を卒業後、東京の短大を卒業。正社員を経てカナダに語学留学をして、帰国後は派遣社員として働いていた。出産を機に退職し、4年ほど子育てに専念した後、「社会に出たくなった」こともあり、パート派遣として復帰したという。以前は、得意の英語を使いながらフルタイムの派遣として貿易事務の仕事をバリバリこなしていたので、いまパートとして担う事務の仕事に少し物足りなさも感じている。責任が限られていることを「寂しく思うこともある」と明かす。
しかし家庭第一で、家事育児を芽衣子さんが担うのは、夫婦で合意するところ。英語教室2か所、水泳、学研と息子をお稽古事に送り迎えすることを考えると、フルタイムの勤務はできないという。幼児向けプログラミング教室も気になるし、将来は留学もさせてあげたいとなると教育費がかかる。少しでも家計の足しになればというのがパートを続ける理由だ。無理なく両立できる日数に絞ると、どうしても週2日か3日しか働けない。結果として「扶養枠」である年収100万円ほどに収まるという。
先のビースタイルの調査に当てはめるなら、冒頭の吉田さんは「扶養枠をいずれは超えて働きたい積極派」であり、芽衣子さんは「無理なく扶養枠内のそこそこ派」といえるかもしれない。芽衣子さんのような高収入世帯であれば、専業主婦であれパートであり、ワークスタイルの選択は可能だ。そうした豊かな世帯の主婦であっても、いったん職場でやりがいを感じたことがある女性なら「社会に出たい」という気持ちを持っても不思議ではない。
またお稽古ごとや塾などの学校外教育が過熱するなか、高収入世帯であっても教育費の負担にあえいでいる。夫が高収入であっても、教育費のために妻が働かざるを得ない家庭が増えている。そうした家庭にとっては、パートタイム型派遣はひとつの有力な選択肢となりそうだ。
社会保障制度、企業の扶養手当が従来通りなら就業調整は続く
ところで、「103万円の壁」「130万円の壁」について、その意味を正確に把握しているパート主婦は意外と少ない。
「103万円の壁」は、家計に響くという点で3つの意味がある。ひとつは、これを超えると所得税がかかること。二つ目は、妻が103万円を超えて働くと、夫が年間38万円の「配偶者控除」が受けられなくなること(ただし妻の年収141万円まで、緩和措置として「配偶者特別控除」がある)。三つ目は、多くの企業で妻の年収103万円未満を条件に、夫の勤務先が「配偶者手当」(家族手当、扶養手当という場合もあり)を出していることだ。
この「配偶者控除」は、現在見直しの方針が出されている。専業主婦世帯優遇を見直して、替わりに共働き世帯の負担も軽くする「夫婦控除」を導入しようというものだ。早ければ2018年1月から新制度になる見込みだ。
次に「130万円の壁」。これを超えると年金や健康保険など社会保険料の負担が生じる。いわゆる公的年金の「第三号被保険者」から外れることになる。
では103万円、130万円のボーダーラインで「電卓を叩きながら、もっと働こうと思えば働けるものの就業時間を制限する」既婚女性は、どれだけいるのだろう。
平成23年に厚生労働省が行った「パートタイム労働者総合実態調査」(個人調査、回答者約1万人)を見ると、配偶者がいる女性パートでは、約2割の人が「就業調整」をしている。その理由は、「103万円を超えると所得税を払わないといけない」が6割強、「130万円を超えると保険料を払わないといけない」が約半数。103万円を超えると夫の「配偶者控除がなくなる」ことを気にする人が4割弱。夫の勤務先の「配偶者手当がもらえなくなる」という人も2割いる。
2016年10月からは、社会保険の適用枠が拡大され、従業員数501人以上の企業、週20時間以上の勤務、年収106万円以上――といった条件を満たすと保険料負担が生じることになる。そもそも第三号ではない未婚のパート社員などは、社会保険料が労使折半となり負担が軽減するので歓迎だろう。しかし既婚女性のパート社員の中には、これまで通りの働き方だと社会保険料を負担しなくてはいけないと眉をひそめる人も出てきている。パート従業員を多く抱える小売り業などでは、企業の社会保険料負担も重くなる。
イトーヨーカ堂によると、会社としては「社会保険料の負担が増しても対応する」とするものの、パート従業員の大半は「社会保険料を自己負担しなくてすむよう、就業時間を短くしたい」と希望しているという。「配偶者の勤務先の扶養手当、また(社会保険料の負担免除の)社会保障制度が変わらない限り、就業調整は続く」と同社はみている。
社会保険料の対象枠が106万円以上に広がることで新たに社会保険に加入するのは20万人ほどとされ、約1600万人のパート労働者の1%強に過ぎないという試算もある。しかし、わずか1%であっても社会保険料を自己負担する層を拡大する方向性を示したことには意味がある。
103万円に収めるパート主婦は「貧困の罠」に陥っている!?
「103万円の壁」「130万円の壁」(10月からは「106万円の壁」も生まれる)は、多くの既婚女性を低収入のパートに留める「パートの壁」とも呼ばれる。これは「既婚女性に対する『ディスインセンティブ(就業意欲の喪失)効果』をもたらす」と、ジェンダーを経済学で研究する労働経済学者の石塚浩美氏は指摘する。つまり、「103万円、130万円以上働くと損をしますよ」と、女性を専業主婦やパートに誘導する制度なのだ。
さらに石塚教授は、「貧困の罠」という言葉で、パートの壁を説明する。多くの既婚女性は家庭での家事育児の時間が長く、そのため職場で働く時間が制限されてしまう。国からは「パートの壁」の制度により、専業主婦やパートというライフスタイルに誘導される。結果として個人単位でみると低収入にとどまり「貧困の罠」に陥っているのに、夫婦単位でみると隠れているというのだ。
実はもうひとつ、主婦のパート労働には見えない罠がある。パート主婦が就業調整をすることは、低収入での就業を続けることとなり、これがパート全体の時給相場を引き下げる要因となっているのだ。結果的に、パート収入のみで生計を立てる人の家計を脅かすことにつながっている。
前出の平成23年「パートタイム労働者総合実態調査」によると、「主に自分の収入で暮らしている」と答えた男性は61.4%。女性の場合は15.9%に留まるものの、配偶者がいない女性で見ると51.0%に上る。既婚女性パートの「就業調整」が、独身女性パート、また男性パートの生活困窮の遠因となっていることがうかがえる。
トヨタの配偶者手当撤廃が話題に
歴史をたどると、配偶者控除の前身は戦時中に妻の「銃後の守り」を評価するために作られたものだと、先の石塚教授は解説する。古い家族観といえば、税制・社会保障制度がいまなお「夫が働き、妻は専業主婦、子供2人」という片働き世帯を「標準家庭」とするのも時代遅れだ。公的年金の第三号は、この「標準家庭」を前提とした仕組みである。
導入されたのは、男女雇用機会均等法が施行されたのと同じく1986年。女性の活躍を促すとしながらも、同じ年に専業主婦は社会保険料を納めなくても老後に基礎年金を受け取れる「第三号」の制度が導入されたわけだ。女性に対して「もっと働こう」とアクセルを踏みつつ、同時に専業主婦を優遇する制度を導入して就業にブレーキをかけたことになる。この30年、こうした相矛盾する制度を見直そうという声が上がるものの、かき消されてきた。
ここにきて、ようやく専業主婦世帯を優遇する仕組みを見直す動きが出てきた。その一つが、先述したように配偶者控除を廃止して、共働き世帯も対象にした「夫婦控除」を導入する案だ。対象年収を800〜1000万円など一定の上限を設ける方向で検討されている。さらには、現在は課税所得から一定額を引く「所得控除」の方法だが、これを所得税額から一定額を引く「税額控除」に移行する方向が示されている。現在の所得控除は高所得層ほど減税額が大きくなるが、税額控除だと低所得層ほど減税効果が大きくなる。
格差是正を図るため、税額控除への移行には納得できる。しかし、問題は「夫婦控除」である。一見、女性の就業を後押しするかにみえるが、独身の女性を考えると明らかに公平性を欠く。控除は家族のケア負担に考慮するものだとするなら、親の介護を担う独身者も増えるなか、なぜ夫婦のみケア負担に配慮をされるかが疑問だ。すべてのライフスタイルに中立な税制にすべきだろう。
見直しの二つ目が、配偶者控除にひもづいている会社員や公務員の「配偶者手当」廃止の動きだ。配偶者控除による税負担の軽減よりも、実際には配偶者控除の対象であることを条件に支給される「配偶者手当」のほうが家計に与える影響は大きいという指摘もある。まずは隗より始めよと、人事院は8月8日、国家公務員の配偶者手当を2017年度から段階的に減額し、課長級は20年度に廃止するよう勧告している。
人事院調査によると民間企業の7割が配偶者手当を支給しているが、日本経済団体連合が見直しの方針を打ち出すなど、廃止を検討する動きも出てきた。トヨタ自動車が2015年に1万9500円の配偶者手当を廃止、かわりに子手当を月2万円に増額することで労使合意したことはニュースとなった。配偶者控除の見直しとともに、配偶者手当の見直し・廃止の動きは、今度企業の間に広がっていくだろう。
最後に残る国民年金「第三号」の壁
最後に残る大きな課題が、国民年金の「第三号」である。先のビースタイルの調査にあるように、第三号が適用される主婦パートのなかには、パートに対する社会保険の適用枠が広がると、社会保険料の負担を避けるために就業調整をして年収を引き下げるという人も少なくない。
就業調整を誘導するような社会保障の「ブレーキ」をそろそろはずさないと女性の就業は進まない。103万円、106万円、130万円の壁を取り払い、収入に応じて応分の社会保険料を負担する仕組みに、段階を踏んで変えていくべきだろう。女性の就業促進という観点のみならず、社会保険料を現役世代が広く負担しないと、高齢化により膨らむ社会保険の支出をまかなえないという事情もある。
そのためには、主婦パートが収入を増やしていけるような雇用体系、さらには妻が一人で家事育児を抱え込まなくてすむような家庭や社会の意識の転換も求められる。
1990年代後半に共働き世帯数が片働き世帯数を上回ってもなお、税制・社会保障制度は夫のみ働く「片働きデモル」を標準としたまま。これが時代に合わないものであるのは明らかだ。女性活躍推進をうたうなら、「妻がたくさん働くと損をする」という歪みを正す必要がある。「働きたくても働けない」と女性が訴える社会課題を解決しながら、ライフスタイルに中立的な税制、社会保障制度を目指すべきだろう。
このコラムについて
ここが間違い、女性の攻め方
働く女性を後押ししよう――、あちこちで「女性活躍推進」の大合唱が聞かれる。ところが、そこには大きな壁がある。「勘違い」や「思い込み」である。2013年4月、安倍晋三首相は「働く女性の環境を整えることこそ、成長戦略の大きな柱」とスピーチ、その中で「3歳まで抱っこし放題」を実現すると発言した。「ああ、わかってないな」、多くの女性がため息をついたものだ。企業はいま、女性社員が働き続けるための環境を整え、女性管理職の登用を進めるものの、経営幹部の「刷り込み」がネックになることも少なくない。
一方、消費の場面に目を転じると、女性顧客の力が増している。しかし、従来の発想では、女性市場は攻めきれない。家族のあり方が大きく変わり、女性の経済力も増すなかで、ライフスタイルが大きく変化しているからだ。
女性社員を、女性市場を、企業はどう攻めればいいのか。「ダイバーシティ推進」「ワークスタイル」「ライフスタイル」の3つの柱を軸に、働く女性の心理を読み解いていく。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/261748/091600010
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