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日本に良いのはトランプそれともクリントン?ー(植草一秀氏)
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28th Sep 2016 市村 悦延 · @hellotomhanks
11月8日に投票日を迎える米国大統領選。
勝敗の行方を左右する3回のテレビ討論の第1回が9月26日に実施された。
日本時間では9月27日午前10時から行われた。
主要メディアの論評はクリントン氏優勢としたが、この情報を鵜呑みにしない方が良い。
主要メディアは明確にクリントン支持のスタンスを取っている。
メディアは米国を支配する支配者の広報機関である。
今回選挙ほど、メディアが2名の候補者に対する支持・不支持を鮮明に打ち出している例は過去にない。
その理由はトランプ候補が「異質」であるからだ。
「異質」という意味は、
米国の支配者にとってトランプ氏が選出されてはならない候補者であるからだ。
トランプ氏の切込みに対して、クリントン氏は笑顔を絶やさずに切り返した。
このことから、評点はクリントン氏優位に傾いたが、今回大統領選で浮上しているのは、
既存の権力層が市民の素朴な疑問に真摯に答えないことに対する市民のいら立ちなのである。
クリントン陣営にはこの点に対する認識が不足していると見られる。
「討論に買って勝負に負ける」
結果がもたらされる可能性は低くないと思われる。
大統領選の情勢をリアルタイムで伝えている
Real Clear Politics
http://www.realclearpolitics.com/
の最新調査結果は、
クリントン支持 46.7
トランプ支持 44.3
となっている(9月27日現在)。
クリントン候補が2.4ポイントリードしている。
しかし、米国大統領選の勝敗は単純な支持率で決まらない。
州ごとに投票結果が集計され、ほとんどの州が選挙人の「総取り」方式を採用しているため、
接戦州の勝敗によって結果が左右される。
投票総数が多くても敗北するというケースもある。
上記” Real Clear Politics”は、州ごとの情勢も発表している。
9月27日時点の情勢は、
クリントン氏が優位に立っている州の選挙人数合計が188
トランプ氏が優位に立っている州の選挙人数合計が165
接戦州の選挙人数合計が185である。
8月8日時点の数値は
クリントン氏が優位に立っている州の選挙人数合計が233
トランプ氏が優位に立っている州の選挙人数合計が154
接戦州の選挙人数合計が151だった。
クリントン氏が優位を保っていた州でクリントン優位が崩れ、接戦に転じている。
9月27日段階で接戦州の選挙人数合計が185あり、接戦州の情勢如何で選挙結果はどちらにでも振れる。
フロリダ 29
ペンシルバニア 20
オハイオ 18
ジョージア 16
ミシガン 16
ノースカロライナ 15
バージニア 13
アリゾナ 11
ミネソタ 10
ウィスコンシン 10
などが接戦州になっている。
ワシントンがすべてを決める米国政治
ウォールストリートに支配される政治
に対する反発が米国全体に広がっている。
トランプ氏の場合、イスラムやメキシコ系住民への過激発言で得票を減らす部分があるが、
白人労働者層の支持が強い。
クリントン氏がトランプ氏の指摘に対して、
「上から目線」の「批判に正面から向き合わない」スタンスでの対応を維持する場合、
上記の接戦州でのとりこぼしを重ねる可能性がある。
トランプ氏選出の可能性は依然として低くないと見ておくべきだろう。
日本にとってクリントン氏とトランプ氏のいずれが大統領に選出されることが良いのかを考えておくべきだ。
日本のメディアも明確にクリントン支持のスタンスを採用している。
その理由は、クリントン氏が
グローバリズム
を推進しているからである。
グローバリズム
とは、
少数の巨大資本による世界市場支配計画
のことだ。
少数の巨大資本は日本政府をも支配下に置き、日本市場からの収奪を加速する計画を有している。
この支配下にある日本の政権が安倍晋三政権である。
グローバリズムの直接支配下に置かれた政権が
小泉政権と
第2次・第3次安倍政権
である。
グローバリズムを推進しているのが強欲巨大資本=ハゲタカであり、
ハゲタカが現時点で最重要施策に位置付けているのが
TPP
である。
日本をTPPに組み込み、日本を完全収奪する。
これがハゲタカの最重要課題である。
米大統領選ではトランプ氏がTPP拒絶を明確にしている。
クリントン氏はTPP反対に転じたが、正体を隠している。
大統領に選出されれば、TPPを修正してTPP批准に進むと見られる。
安倍首相はTPP再協議に応じないとしているが、安倍氏の約束はまったく信用できない。
過去の「実績」を踏まえれば、安倍氏の言葉を信用することはまったくできない。
「信用して裏切られる」場合、信じた方に非があると言われて誰も反論できない状況だ。
だから、日本がこの臨時国会でTPPを批准することは
「売国行為そのもの」
である。
TPP最終合意文書が日本語で用意されていないことが、ものごとの本質を端的に示している。
日本がまったく重視されていない。
尊重されていない。
この失態を招いたのは安倍晋三政権である。
日本の国会に承認を求めるなら、まずはTPP最終合意の日本語正文を用意するべきだ。
米国はTPPの修正なくしてTPPを批准しない。
その修正内容も明らかでない現時点で日本が拙速にTPPを批准する理由は皆無なのだ。
トランプ氏はTPP拒絶を明確にしている。
この一点だけを捉えても、トランプ氏の当選が日本の国益に適う。
また、トランプ氏は駐留米軍の費用すべてを日本が負担しないなら、
日本から米軍を撤退させることを示唆している。
敗戦から71年も経過してなお、米軍が日本占領を続けている。
「米国が引き上げる」
と言うのだから、これは
「渡りに船」
以外の何者でもない。
米国を支配する強欲巨大資本=ハゲタカにとって、
トランプ氏の大統領就任は絶対に容認できない事象なのだ。
だからこそ、トランプ氏が攻撃を受けている。
しかし、日本の本当の国益を考えるなら、トランプ氏の大統領選出は歓迎すべきことである。
日本は米国、中国、ロシアとの友好関係を強化して、日本の安全保障の確保に努めるべきである。
英国では主権者がEU離脱を決めた。
これもグローバリズムに対する明確な反旗であった。
巨大資本はうろたえたが、英国民は英断を下した。
米国民もハゲタカ強欲資本が推進するグローバリズムに反旗を翻す可能性がある。
それは、世界の新しい時代幕開けの宣言を意味することになる。
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