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政界地獄耳 称えるべきは堪え忍ぶ国民
http://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/1716624.html
2016年9月28日9時50分 日刊スポーツ
★今までこんな所信表明演説があっただろうか。大政翼賛会が議会の主流を占めようが、議場では言論の府として律するという緊張と覚悟があったと思うが、野党各党が指摘するような異様な雰囲気に議場は包まれた。26日の衆院本会議で首相・安倍晋三は日本領域の警備を続ける海上保安庁、警察、自衛隊に「今この場所から心からの敬意を表そう」と呼び掛けた。すると自民党議員が段取りのようにほぼ総立ちで拍手しだした。
★「こんな光景は米大統領の新年の一般教書で、喝采を浴びる時ぐらいしか見たことない」とはある野党議員。加えて「大統領自身に国民の信頼や尊敬があればこその拍手だ」とその違いを説明する。日夜、国防や安全保障に命を懸けている人たちがいるのは分かる。労をねぎらい安心して生活を営むことへの敬意もある。しかし、国防以外にも、この国をさまざまな形で担い支えている人たちはいる。そこには公務員だけにとどまらず民間人もたくさんいる。国防が最大の国家の守りではない。経済や技術、朝、安全な牛乳が届けられ、子供を保育園に預け、1日全力で働くお母さん。ダイヤ通りに運行される電車。国防以外にも日本を支え、秩序を保ち、形作っているたくさんの人たちがいる。中途半端なアベノミクスで国民に犠牲を払わせている政府がたたえるべきは、よく耐え忍んでくれている国民に対してであり、そこに敬意を払うべきでないのか。それこそが1億総活躍社会というものではないのだろうか。
★国防を担う関係者たちは照れながらも思いを新たにしたかも知れない。しかし、彼らは「任務だから」と答えるだろう。「演説に手をたたいたり、やじが飛んだりということはよくある。(野党が)あの程度のことをやっても、我々は抗議しない」とは自民党幹事長・二階俊博。このピントのずれっぷりも追記しておきたい。(K)※敬称略
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