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米グレンデール市の慰安婦像の撤去訴訟で慰安婦像の設置をもし控訴審での再審でも認めた場合(原告敗訴の時)、米国の同盟国である日韓の合意した慰安婦問題をぶり返し、
控訴裁の判決の前例から、米連邦政府の外交権への侵害になっても不思議では無い判決になるようです。
http://gansokaiketu.sakura.ne.jp//20160927-bei-grendaileshino-ianpuzouno-tekkyososhoude---kousoshindeno-saishindemo-mitometabaai---beirenpousaino-gaikoukenheno-shingaininaru--hanketuyoudesu.htm
【目良浩一の米西海岸リポート(5)】
グレンデール市の慰安婦像の撤去を求める裁判は敗訴…しかし訴訟からは撤退しません、ご支援を!
控訴審は敗訴
米国連邦裁判所の第9地区控訴裁判所は8月4日、カリフォルニア州グレンデール市にある慰安婦像の撤去を求める裁判で、われわれ原告・上告者にはグレンデール市の慰安婦像撤去を求める根拠が十分に認められないと判断しました。敗訴でした。
ただ、控訴裁は第一審が認めなかった原告の訴訟を起こす資格があることを認めると判定しました。これは、第一審の判決とは大きな違いでした。
米西海岸では法的な正義は得られないとして、撤退することも一つの方針です。しかし、われわれが起こした訴訟が2014年以降、米国における慰安婦像の設置を阻止してきた抑止力になっていることを思えば、簡単に撤退することはできません。戦いを続けるために残された道は、米連邦最高裁判所に上訴するか、判決を下した控訴裁判所に再審査を請求するかのどちらしかありません。
弁護士を交えて慎重に検討した結果、控訴裁判所に再審査を請求する方が好ましいと判断しました。最高裁に上訴しても審査してもらえる可能性が低いという客観的な理由もありますが、再審査であれば訴訟を扱う判事の数が通常の3人よりも増えるので違った結果が出る可能性があると判断したからです。控訴裁の判事3人が下した判決の内容はかなり偏向していました。
判事の人数が増えるというのは、第9地区控訴裁判所の判事29名全員が参加して審議する方法のことで、アンバンク(En Banc)と呼ばれます。再審査を請求する際には、以前担当した3人のチームとアンバンクの審査のどちらかを請求できます。
われわれは全員参加の審査を求めて9月16日に申請書類を提出しました。控訴裁の担当判事以外の判事が関心を寄せれば、アンバンクの審査が可能となります。どの判事も関心を示さなければ、今までの判事による再審査となります。
再審査を請求したもう一つの理由は、控訴裁は慰安婦像については審査したものの、碑文についてはほとんど議論をしていないからです。慰安婦像については、一緒に設置されている碑文の内容が大変な問題なのです。慰安婦像は苦労をした元慰安婦を記念するために建てられたもので、表現の自由の範疇にあるとする控訴裁の判決は、慰安婦問題を単純化し問題の解決を避けたものです。
自治体の表現の自由は無制限なのか
さらに言えば、この裁判の結果によって米国内の州や地方自治体に対する表現の自由に関する規則が出来るのです。この判決に書かれている「強制性を伴わない州や自治体の意見の表明はすべて表現の自由の範囲内にある」という法解釈は、もしわれわれがこの判決に対して行動を起こさなければ、判例となります。
問題点を具体的に指摘しましょう。碑文には「旧日本軍は1932年から1945年にかけて20万人を超えるアジアやオランダの女性を強引に家から連れ出し、性奴隷となることを強制した。2007年の米下院決議121号を記念して、日本政府にこれらの罪悪に対する歴史的な責任を認知することを求める」と書かれています。日本政府が認めていない「慰安婦の強制連行」「性奴隷化」「慰安婦20万人以上」といったことなどはすべて事実で、旧日本軍は人権侵害の罪を犯したとして日本政府を糾弾しているのです。
日本政府は強制連行などを明確に否定しています。それなのに、単なる地方自治体であるグレンデール市が外交的に重要な慰安婦問題について無制限に意見を表明することは許されるべきでしょうか。外交問題について、一つの市がこのような意見を表明すれば、米国の外交政策は混迷を極めるでしょう。特に地方自治体がアメリカの重要な同盟国の日本に対して「罪悪国」呼ばわりしても良いのでしょうか。日米間には安全保障条約があり、両国は友好関係を保つことを誓約しています。日本の同盟国である米国の自治体が日本を「罪悪国」と呼ぶのは米国の方針に背くことになります。意見の表明の自由は、同盟国を誹謗することも含むのでしょうか。われわれは「否」と考えます。
参考になる判例
州を含む自治体がどの程度外交について公的に意見を表明できるかについては、いくつかの関連した判決が出ていますが、米国ではまだ明確な指針が出ていません。われわれの訴訟はこの問題の指針を出そうとしているのです。
参考になるのが同じ第9地区控訴裁が2012年に下した「モブセシアン対ビクトリア保険会社」の判決です。この裁判は、カリフォルニア州が20世紀初頭にトルコによって虐殺被害を受けたとされるアルメニア人に対し、「特別に保険支払い請求期間の時効に猶予を与える法律」を制定したことに端を発したものです。
裁判の結果、カリフォルニア州が外交に関する措置を取ることは許されないという理由で、州法自体は無効になりました。通常、保険に関する事柄は州が規則を定めることが出来るのですが、訴訟になった州法は明らかにアルメニア人およびその子孫を特別扱いにするものであったために、連邦政府の外交権の侵害と判断されました。
注目すべことは、このケースでは法律の「真の目的」が問題とされたことです。裁判では、「真の目的」はアルメニア人に危害を与えたとされるトルコを非難することだと解釈されたのです。判決は第9地区控訴裁の女性判事、スーザン・グレイバー氏が書き、多数の判事が承認しました。われわれは再審査の申請にあたって、この判例を主要な根拠として用いています。
ポイントは2つあります。連邦政府が態度を決めていない場合でも、地方自治体の行為が連邦政府のみが持つ外交権限を侵害したと判断できること。もう一つは、州や自治体の行動の「真の目的」を知ることが重要な意味を持つことです。慰安婦像について連邦政府は態度を決めていません。むしろ、日本と韓国が協議して決着する問題だと伝えています。そうであれば、現在の状況下でのグレンデール市の慰安婦像は「権限の侵害」であるといえます。
「真の目的」は、元慰安婦を記念することではなく、日本をおとしめることにあります。それは慰安婦像設置を推進した韓国系団体やそれを支援している中国系の団体の言動から判断できます。さらにいえば、日米の強い絆を崩壊させ、アジアを中国の支配下に置くことであるともいえるでしょう。このような世界的な力関係があることを、再審査のために提出した文書で述べています。
新たな展開に期待
われわれの訴訟が始まってから、グレンデール市を支援するために、「カリフォルニア州韓国系米国人フォーラム」(KAFC)と中国系在米反日組織「世界抗日戦争史実維護連合会」(抗日連合会)が「アミカス」という参考資料を裁判所に提出しています。最初は連邦裁判所での第一審の時でした。このときは判事がこれらの書類は無関係であるとして却下しました。しかし、控訴審で両団体が提出したアミカスは、公判の直前になって判事が提出を認めました。
両団体のアミカスは慰安婦が旧日本軍の性奴隷であったことの説明ですが、その内容は元慰安婦の口述書などで信頼に値しない資料です。しかし、慰安婦問題について知識のない人たちには、性奴隷説を印象付ける格好の材料になったでしょう。
今回は再審査請求と同時に、日本の協力団体にアミカスの提出を検討するようにお願いしました。日本のほかの団体からのアミカスが再審査にどのような影響を与えることになるかも関心事です。
再審査の請求は控訴審への訴状に比べても、内容がかなり強化されています。結果が出るには相当な日数がかかると思いますが、今までとは異なった結果に期待したいと思います。最高裁への上訴は、その結果をみてからにする方針です。
訴訟にはかなりの費用がかかります。すでに弁護士には1億円を超える額を支払っており、再審査の要請書作成費の支払いにも困難が生じている状態です。みなさまのご協力・ご支援を得ることができれば幸甚です。われわれはグレンデール市の慰安婦像の撤去と今後の慰安婦像の設立防止に邁進していく考えです。
ぜひホームページ(gahtjp.org)をご覧ください。寄付口座サイトは(https://gahtjp.org/?page_id=165)です。
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