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安保法制1年 忖度マスコミのアリバイ的検証記事の無意味
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/190278
2016年9月21日 日刊ゲンダイ 文字お越し
引きつる笑顔(C)AP
戦後日本が70年かけて築き上げた「平和国家」のブランドをかなぐり捨て、安倍政権が安全保障関連法の成立を強行してから、19日で丸1年経った。憲法9条に反する違憲法制ゴリ押しの際、安倍首相が壊れたレコーダーのように繰り返したのは「抑止力」だ。
なぜ、憲法が禁じてきた集団的自衛権の行使を認める必要性があるのか。昨年の法案審議で批判されるたび、安倍はこう言い繕ってきた。
「安保関連法の成立によって、日米同盟が強化されることで抑止力は高まり、我が国の平和と安全を一層確かなものにする」――。あれから1年、日本を取り巻く安全保障環境はどう変化しただろうか。
北朝鮮は今年に入り、日本海一帯に計21発もの弾道ミサイルをぶっ放し、2度の核実験を強行した。中国も飽くなき海洋進出と軍備増強に余念がない。朝鮮半島情勢など東アジア一帯が緊迫化し、安倍が安保法制制定の“大義”に掲げた「抑止力の強化」の言葉がむなしく響く。
この1年で日本の安全保障環境は厳しさを増し、平和と安全は一層不確かになっているのが現状だ。軍事評論家の前田哲男氏はこう言った。
「日本の安保法制定は北朝鮮や中国との緊張関係をむやみに高め、いわゆる『安全保障のジレンマ』をもたらしてしまった。日本のトップが曲がりなりにも『日米間の軍事同盟強化』を声高に叫べば、それを脅威に感じる周辺諸国はさらなる軍拡に走らざるを得ません。北朝鮮の反応が好例で、安倍首相は散々『抑止力を高める』と訴えながら、終わりなき軍拡競争を引き起こしたのです。
しかも、日米同盟強化によって真の抑止力が持てるのは、米国の“核の力”が非保有国にニラミを利かせられるケースのみ。今や中国の核ミサイルは米国全土を射程に収め、北朝鮮のミサイルも着々と射程を延ばしています。自国が核攻撃される恐れがあっても、同盟国を守るのが集団的自衛権のタテマエですが、そんな危険を冒してまで、本当に米国は日本を守るのでしょうか」
まさに「抑止力」の大安売りで、安倍が念仏のように唱えたのも、しょせん安保法制を押し通すための「机上の空論」。デッチアゲに過ぎなかったということだ。
いずれ米軍に駆り出される(C)AP
なぜ尻尾フリフリの同盟深化を批判できない
「抑止力」なるワンフレーズで国民を堂々と欺き、その上、国民の平和と安全を著しく毀損させたのだ。どう考えたって平和憲法を侵した安保法制に“大義”は存在しない。それなのに、制定から1年の節目に掲載した大新聞の検証記事の手ぬるかったこと。
「9・19を忘れない」と大特集を組んだのは、東京新聞くらいなもの。「なお懸念」と半端な見出しを掲げた朝日以下、どの記事もなおざりな検証にとどまり、年に1度の現状報告のバカバカしさだ。いや、検証するだけまだマシで、テレビ報道は豊洲市場の地下空洞騒ぎにかまけて、「安保法制定から1年」のニュースは完全にスルーだ。
たった1年前に最大10万人が国会を包囲した反対デモの熱気も今は昔。安倍政権にすれば“のど元過ぎれば”となり、数の力で通してしまえば後はどうにでもなる。迫力不足の検証記事を読んだ安倍も余裕をかまして、さぞかし、ほくそ笑んだことだろう。
政治評論家の森田実氏は「騒動の渦中の時だけ批判し、いったん騒ぎが鎮まれば、すぐさま矛を収めるのが、日本のメディアの悪弊です」と嘆き、こう続ける。
「安保法制についても、反対行動の熱気を維持させるどころか、この1年間、安穏と無批判でやり過ごし冷や水を浴びせたに等しい。解釈改憲の禁じ手で日本を『戦える国』に変質させてしまう政権は言語道断なのに、腰抜けメディアが批判精神を失っているから、やりたい放題。第2次安倍政権の発足以来、特定秘密保護法の制定、国家安全保障会議の設置、武器輸出の解禁、集団的自衛権の行使容認の閣議決定、日米一体化の新ガイドライン、安保法制定と続き、ついには共謀罪まで出してきた。戦前回帰路線を着々と進めているのに、メディアの警戒心は極めて薄く、逆に中国や北朝鮮の脅威を必要以上に煽って、暴走政権の軍事路線に追い風を吹かせている。もはや権力の監視役としての自覚すら存在しないかのようです」
安保法制定1年目の検証記事はやはり、腐敗メディアの言い訳とアリバイに過ぎない。
■「両思い」を望むほど無理難題を求められる
安倍政権が安保法制定を強行した理由は、至ってシンプル。米国にいい顔をしたい。ただ、それだけだ。ひたすらシッポを振り続け、“飼い主”を振り向かせる。そんな卑屈な魂胆である。
「米国の一極支配の時代はとうに終わったのに、安倍政権は世界の趨勢を掴もうとしない。長期政権を保証して欲しいという下心だけで、常に『世界の警察』の地位を保ちたがる米国の言いなり。ひたすら軍事戦略の一翼を担おうと買って出ている印象です。“ポチになるぞ”と外交方針の中心に据えているかのようで、ますます米国をつけ上がらせ、無理難題を押し付けられる恐れがあります」(森田実氏=前出)
国連総会出席のため訪米中の安倍はきのう(20日=現地時間19日)、民主党のヒラリー大統領候補と会談したが、握手を交わす安倍の顔は引きつっていた。ギクシャクした理由は、事前にヒラリーが自分に好意を持っていないことを知っていたからではないか。13年末の安倍の靖国神社参拝を受け、ヒラリーが「日本の指導者は誤った道に進んではいけない」と発言したのは有名な話だ。
追い打ちをかけるようにヒラリーは会談で「TPP反対」の考えを伝えたというから、5年越しで大筋合意に至った安倍の努力も水の泡。いきなりハシゴを外しにかかった次期大統領候補と“両思い”になりたければ、安倍政権はカサにかかった米国になお一層、足元を見られて軍事的要求を吹っかけられるに違いない。どんな危険が待っているのか。前出の前田哲男氏に改めて聞いた。
「米側は今、これまで以上に日米の共同艦隊化を促す『米艦防護』というオペレーションを日本に強く求めています。安保関連法で拡大した任務のひとつで、米軍が『日本の防衛に資する活動』を行っているという前提で、米艦隊を海自の艦船が護衛することになる。いざ米艦が偶発的に攻撃を受ければ、自衛隊が自らの武器を守るのと同じ『武器等防護』が適用されます。米軍の戦闘に巻き込まれるのは必至です。これだけ危険な任務なのに明確な地理的制約もなければ、集団的自衛権のように『武力行使の新3要件』や『国会承認』もありません。任務の内容は米軍の要請次第で、南シナ海への“航行の自由作戦”に駆り出される恐れもある。その場合、海自の護衛艦は米第7艦隊の指揮下に置かれ、文字通り米軍の下請け・属軍化の完成を意味します」
こんな一方通行の関係で「同盟深化」とは笑わせる。これだけ安保法制の危うさを目の当たりにしても、政権の欺瞞を何ひとつ批判できないメディアは本当に腐り切っている。
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