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民進党の代表選から見た党是の実体
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2016.09.13 きっこのブログ
15日投開票の民進党の代表選は、当事者と民進党の関係者以外、ほとんどの国民が興味ないと思うけど、代表選も終盤になって、ようやく少しだけ国民の注目を集めることになった。しかし、それは、各候補の政策や民進党への期待感などではなく、皮肉にも、代表選でトップを走る蓮舫氏の「二重国籍問題」という、一部の差別主義者だけが喜々としてハシャギまわるだけのバカバカしいスキャンダルだった。ま、こんな低次元のスキャンダルなど、ここでいちいち取り上げる価値もないのでスルーしてくけど、それより何より、あたしが呆れ返ったのは、今回の代表選の遊説場所だった。
今回の代表選は、2日に告示され、蓮舫代表代行(48)、前原誠司元外相(54)、玉木雄一郎国対副委員長(47)の3候補が、11日までに全国10カ所を遊説して回ったワケだけど、その場所が、大阪府大阪市、福岡県久留米市、岡山県岡山市、香川県高松市、長野県長野市、静岡県静岡市、宮城県仙台市、北海道札幌市、埼玉県さいたま市、東京都豊島区だったのだ。
この10カ所を見て、「何で愛知県名古屋市がないの?」と思った人も多いだろうけど、あたしはそれよりも、「沖縄県那覇市」がないことに驚いた。現在の安倍政権に対抗する野党第一党として、政権奪取も視野に入れての代表選だと言っておきながら、安倍政権によって最も苦しめられている沖縄県に行かないなんて、普通は考えられないからだ。3候補が沖縄入りして、安倍政権による沖縄差別、米軍基地建設の強行などについて批判合戦を繰り広げていたら、本土とは比較にならないほど注目を集めていただろうし、その効果は全国へと波及していたと思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、民進党の代表選は、民進党に所属する国会議員146人と、無所属で民進党会派に所属する川田龍平参院議員の計147人が、1人2ポイントで294ポイント、国政選挙の公認候補予定者が1人1ポイントで計118ポイント、その他、1586人の地方議員に計206ポイント、約23万5000人の党員とサポーターに計231ポイントが割り振られていて、合計849ポイントで争われる。だから、一般の有権者には投票権のない「内輪の選挙」だ。
でも、「内輪の選挙」と言えども、自民党の総裁選を見れば分かるように、代表選は党の宣伝としては絶大な効果があるし、ある意味、次期代表のお披露目の場でもある。ひいては、次の国政選挙への呼び水でもあるのだから、党員やサポーターの多い地域を遊説して回るよりも、現在、政治的問題を抱えている地域を回り、自分たちの政策をアピールすることが重要になる。
それなのに、今回の民進党の代表選では、現在、最大の政治的問題の渦中にある沖縄県をスルーした。それだけでなく、未だに原発事故で苦しみ続けている福島県もスルーした。原発事故の責任は、欠陥を指摘されながら何の対策もせず、原発政策を推進し続けて来た歴代の自民党政権にあることは周知の事実だけど、少なくとも事故時の政権は民主党だったのだから、いくら看板を「民進党」に掛け替えたとしても、まずは福島県に行くのが筋なんじゃないのか?
ま、わざわざ九州に遊説に行ったのに、玄海原発のある佐賀県や川内原発のある鹿児島県ではなく、原発のない福岡県を選んだワケだし、わざわざ四国に遊説に行ったのに、伊方原発のある愛媛県ではなく、原発のない香川県を選んだワケだから、この辺からも党の方向性が透けて見えて来るけど、さすがに沖縄県と福島県をスルーしたのは、あまりにも国民を軽視してると感じた。
‥‥そんなワケで、遊説の最終日、11日のさいたま市での公開討論会で、米軍の普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画についての討論が行なわれた。蓮舫氏は、辺野古への移設計画は旧民主党政権が米国側と確認した内容だということを前提に、「結論は基本として守るべきだ。どんなに米国と話をしても選択肢は限られてくる。基軸はぶれるものではない。それが外交の基本戦術だ」と述べて、辺野古への移設計画の「堅持」を主張した。一方、前原誠司氏は、「辺野古以外で、本当に日米で合意できる場所がないか、違う案をしっかり議論すべきだ」と述べた。また、玉木雄一郎氏も、「民主党から民進党になったので、沖縄政策は大胆に見直して米国としっかり対話すべきだ」と述べ、民主党政権時代の結論に拘束されるべきではないとの見解を示した。
あたしから見たら、沖縄県での遊説をスルーした政党の代表候補3人が、沖縄から遠く離れた埼玉県で何言ってんだ?‥‥って感じだけど、少なくとも、少しは期待してた蓮舫氏のこの発言には、正直、心の底からガッカリした。そして、一時的にでも「蓮舫氏を代表にすべき」と主張していた自分を恥じた。また、党内で最も議員票を集めてる蓮舫氏に「辺野古への移設を堅持」と主張させるためにも、あえて民進党は沖縄県を遊説から外したんじゃないかと勘繰ってしまった。
そう考えると、原発事故問題の最中(さなか)にある福島県をスルーしたことも、稼動一時停止問題の最中にある川内原発を立地する鹿児島県をスルーしたことも、プルサーマルを再稼動させたとたんにトラブルが相次いでいる伊方原発を立地する愛媛県をスルーしたことも、すべてツジツマが合う。ホントに政権奪取を目指しているのなら、鹿児島県で遊説して、川内原発の一時停止を模索している三反園訓知事と連携して、現在の安倍政権の原発政策の見直しを提言すれば、党自体が大きな支持を得られただろう。
でも、それができなかったのは、蓮舫氏が原発推進派である野田佳彦前首相の愛弟子であり、今回の代表選でも、野田佳彦氏率いる「花斉会」が全面的に支援しているからだ。野田佳彦氏は、ご存知の通り、民主党政権時の最後の首相だったけど、福島第1原発の事故からわずか1年3カ月後の2012年6月8日、「原発を再起動しないと電力不足で日常生活や経済活動は大きく混乱してしまう。このままでは日本の社会は立ち行かなくなってしまう。私は国民の生活を守るために大飯発電所3、4号機を再起動すべきと判断した」と大嘘をついて原発の再稼動を強行した。そして、蓮舫氏を支持している岡田克也前代表も、これまでに何度も「安全性が確認された原発は再稼動させて行く」と明言している。
また、全国には、東京電力の社員であることを隠して市議や区議をやっている「隠れ東電議員」が少なくとも20人以上いて、それぞれの議会で「原発推進」を主張しているけど、この半数以上の議員が「旧民主党所属」なのだ。民主党の支持母体が労組だということから考えると、東京電力を始めとした電力会社は、上層部は自民党に高額の献金を繰り返して蜜月関係を築き、電力会社の労組サイドは民主党と癒着して「原発推進」への根回しをして来たと思われる。
だから、これは蓮舫氏に限ったことではなく、基本的に「原発推進」なのが、過去の民主党であり、現在の民進党なのだ。もちろん、少しでも安倍政権との違いをアピールするために、原発の安全性に対する文言を強化したり、エネルギー政策の細かい部分には異論を唱えてるけど、結局は「再稼動ありき」の姿勢が党是であり、スポンサーである労組への配慮なのだ。
そして、「米軍基地問題」、「原発問題」と並ぶ国民の関心事、「憲法問題」に関しても、蓮舫氏は「平和主義の堅持は国民の切なる願いだ。9条は絶対に守るべきだ」と述べたけど、9条以外は改憲派だ。前原誠司氏も「新たに第3項を加えて自衛隊の位置付けを明記すべきだ」と述べ、玉木雄一郎氏も「世界中のあらゆるところで武力行使が可能になるような改正には反対だ」と述べ、安倍政権の現行姿勢や自民党の改憲草案には反対してるけど、基本的には改憲派だ。
だいたいからして、約7割の議員が改憲派の民主党と、ほぼ全員が改憲派の維新の党が合流して誕生したのが現在の民進党なんだから、「憲法改正」が党是であることは明らかだし、党の基本的政策にも「時代の変化に対応した必要な条文の改正を目指す」と明記してある。つまりは、このまま自民党政権が続いたとしても、何らかのミラクルが起こって民進党が政権を奪取したとしても、どっちにしても「憲法改正」が進められるってワケだ。
‥‥そんなワケで、現在の安倍政権に不満を持ってる多くの人たちが、それでも野党第一党である民進党を支持しきれないのは、ハッキリ言って、まったく対立軸になってないからだと思う。安倍政権を支持してる人たちにしても、その大半は安倍政権の経済政策や外交を一定レベルで評価してるだけであって、「原発推進」や「辺野古移設」や「憲法改正」に関しては、未だに反対派のほうが多数を占めている。それなのに、野党第一党の民進党も「原発推進」で「辺野古移設」で「憲法改正」なんだから、これで国民の支持など得られるワケはないし、安倍政権に不満を持ってる人たちの受け皿にもなりえない。
旧民主党は、どうして、こんなことになってしまったのか?それは、自分たちを客観視する目が皆無であり、政権時の失敗を総括せず、反省もしていないからだ。いくら看板を掛け替えても、内容が同じなら、国民の信頼など回復できるワケがない。何しろ、民主党政権時の最後の代表だった野田佳彦首相(当時)は、一時は自民党との連立を模索するほどのKYぶりを発揮した上に、自民党と公明党にスリ寄り、消費税の増税で手を組んで衆議院を解散、総選挙へ打って出るという、最悪の「国民への裏切り」を犯したからだ。
きっと本人は、郵政解散時の小泉純一郎気取りだったのかもしれないけど、ここまで有権者をバカにした首相は前代未聞だったため、2012年12月16日に行なわれた総選挙では、選挙前の230議席を大きく下回る57議席しか獲得できず、民主党政権は消滅した。もちろん、野田佳彦代表だけに原因があるワケではなく、その前の菅直人代表にも、その前の鳩山由紀夫代表にも問題はあった。でも、大嘘をついて原発を再稼動し、自公にスリ寄って消費税増税を進め、多くの国民の期待を裏切り、民主党政権を破壊した戦犯のトップは、やはり野田佳彦代表だろう。
それなのに、総選挙で惨敗した翌2013年5月11日に行なわれた民主党の「公開大反省会」に、野田佳彦氏の姿はなかったのだ。菅直人氏、枝野幸男氏、長妻昭氏を始め、民主党政権を担ってきた元閣僚らの大半が出席したのに、カンジンの前代表であり前首相である野田佳彦氏は、この「公開大反省会」を欠席して、大好きなプロレスの小橋建太選手の引退記念試合を観戦しに行ってたのだ。
おいおいおいおいおーーーーい!‥‥って、これだけでも呆れ返るのに、野田佳彦氏は、今年2016年3月3日に、プロレスの聖地である後楽園ホールで行なわれた、最大の支持母体である「連合」の集会で、新日本プロレスの赤いタオルを首にかけて、プロレスのリングを模したステージに上がり、プロレスラーのマイク・パフォーマンスよろしく、「小沢一郎批判」を繰り広げたのだ。
この集会は、今夏の参院選に向けての重要な場で、安倍政権を倒すための野党共闘が最大の課題だったのに、こんな場で、今度は赤いタオルを首にかけてアントニオ猪木気取りになったのか、野田佳彦氏は、「一番足を引っ張った(小沢一郎)元代表さえ来なければ、後は全部のみ込むつもりだ」「これまで一番ごちゃごちゃ行ってきたのが元代表だった」などと述べ、生活の党の小沢共同代表の新党参加を拒否したのだ。
これほどまでに国民を裏切っておきながら、反省の「は」の字もなく、いい年こいてプロレスごっこにウツツを抜かしているなんて、この人、きっと死ぬまでこのままだろう。そして、こんな最低の人物が、未だに国会議員として国民の血税で贅沢三昧な生活を続けているばかりか、看板が「民進党」に替わっても党内で大きな力を持ち、自分の愛弟子の蓮舫氏を次期代表に据えるための根回しに余念がない。
野田佳彦氏にしてみれば、自分のマリオネットである蓮舫氏が次期代表になれば、「原発推進」も「辺野古移設」も「憲法改正」も、多少の変更案を出しつつも、基本路線は自民党政権と同調して進めて行けるので、将来的に狙っている「自民党との連立」という理想郷にも近づけると考えているのだろう。そして、こんな人物に利用されている蓮舫氏にしても、産経新聞のインタビューで「私はバリバリの保守派です」と明言するなど、その視野には国民などまったく入っておらず、党内の保守派勢力の取り込みしか見えていない。
それなのに、民主党から看板を掛け替えた民進党は、またまた懲りずに「国民とともに進む」などとノタマッてる。でも、残念ながら、国民のほうは、「民進党とともに進む」などと思ってる人など、ほとんどいないのが現状だろう。今夏の参院選で、何とか惨敗だけは免れられたのは、民主党時代に失った信頼が回復されたからではなく、共産党がほとんどの選挙区で独自候補の擁立を行なわずに選挙協力してくれたからだ。それなのに、相変わらず空気が読めていない岡田克也代表は、「一定の結果を得ることができた」などとコメントした。まったく、このKYぶりには脱力してしまう。
それでも、あたしには、まだ最後に「淡い期待」が残ってる。それは、今の蓮舫氏の発言や行動などは、すべてが「代表になるための作戦」であって、代表に選ばれたアカツキには、野田佳彦氏の支配から逃れ、自身の派閥を作り、党利党略にとらわれずに、ホントに自分が目指していた「国民のための政治」を始めてくれるんじゃないかという「淡い期待」だ。もちろん、こんなことは現実的には極めて難しいし、今回の代表選で自分を支持してくれた党内勢力の一部を裏切ることにもなるから、急ハンドルを切ることはできないだろう。でも、蓮舫氏がホントに国民のための政治を目指しているのなら、ジョジョに奇妙にハンドルを切って行くことは可能だと思う。
‥‥そんなワケで、党から野田佳彦氏を追放し、「原発反対」と「辺野古移設反対」と「憲法改正反対」を掲げれば、野党共闘などしなくても大きく議席を増やせるし、野党共闘すれば政権奪取も可能なのに、それをしない政党、それができない政党、それが民進党だ。それどころか、自分たちの過去の失敗を総括することも反省することもできず、党利党略を最優先し、野党共闘には水を差し、ほとんどの政策の基本路線が安倍政権と同じなのが、今の民進党という政党なのだ。こんなに情けない政党が野党第一党なんだから、安倍政権が余裕マンマンなのは当然だろう。政権与党が憲法を無視しても、国会を軽視しても、野党第一党は指をくわえて見ているだけで、誰も安倍政権の暴走を止めることができない。だから、安倍晋三首相の任期を延長する話までもが平然と出て来るほど、自民党が図に乗り始めた今日この頃なのだ。
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