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森喜朗〈親密企業〉が五輪案件を続々受注 〈都議会のドンとは20年来の盟友〉
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「週刊文春」2016年9月15日号 :東京新報
新国立競技場に始まり、建設費の膨張が目立つ東京オリンピック。膨らむ予算の原資が、都民の税金となれば、厳しい精査が必要なのは言うまでもない。五輪を仕切る大会組織委員会の森喜朗会長と受注業者はどのような関係なのか、小誌は徹底調査を開始した――。
九月二日に都庁で開かれた東京五輪・パラリンピックの重要事項を協議する調整会議。この日で十二回目を迎える調整会議はいつもと違う空気が漂っていた。座長は、これまで会議を取り仕切ってきた五輪組織委員会の森喜朗会長(79)ではなく、小池百合子都知事(64)。会議の中身も初めて報道陣に公開された。
「八月末の非公式会議で小池氏が『なぜ森さんがいつも座長なのか』と注文をつけた。すると、森氏は『自分はもう座長をやらないから』と言い、小池氏が『では、私が』と手を挙げたのです。ただ、九月二日の会議では築地市場の移転延期を決めた小池氏に対し、森氏が『(築地市場を通る)環状二号線の工事は、五輪に間に合うようにきちんと着手できるのか』と釘を刺し、ピリピリムードが漂いました」(都政担当記者)
■内田氏を最も信頼する森氏
“犬猿の仲”で知られる小池氏と森氏。小池氏は都知事選前、小誌の取材にこう語っていた。
「以前(所属していた派閥の)清和会の会合で、環境大臣を勝手に受けたと面罵されました。総裁選にも勝手に出馬した。私は旧来の派閥のお作法に関心がないので、(森氏の)お叱りの対象になるのでしょう」
その小池氏が最も力を注ぐのが、五輪予算の透明化だ。これまで小誌で報じてきたように、五輪事業を巡っては“都議会のドン”こと内田茂都議(77)の影響力が見え隠れしている。
「『内田のドンと戦う』と漏らす小池氏ですが、彼女が内田氏の背後にいると睨んでいるのが、“五輪のドン”森氏です。『森さんともしっかりやり合わないといけない』と語っていました」(小池氏の知人)
小池氏が“改革”のターゲットと見定めている森氏と内田氏。自民党幹部によれば「森氏が最も信頼する都議が内田氏。何かあれば、電話一本でやり取りする間柄」だという。
その盟友関係は二十年近く前に遡る。キッカケは九九年の都知事選だった。
当時の都連会長、島村宜伸元農水相が振り返る。
「内田さんと森さんが結びついたのはこの頃からでしょう。私は都連幹事長の柿沢弘治氏を擁立しようとしましたが、森さんがなぜか明石康元国連事務次長を引っ張ってきた。内田氏は都連を無視して、これに同調するのです。結局、当選したのは石原(慎太郎)さんだった。私は会長を辞任しましたが、森さんは『地方自治体のことだから』と言って逃げてしまいました」
二人の“ホットライン”が最も機能しているのが、森氏の悲願でもある東京五輪招致だった。
「五輪のメインスタジアムは(旧国立競技場が位置する)霞ヶ丘にしろよ。国立は建て替えないといけない」
招致に携わった元都幹部の一人は今から十年近く前、内田氏からかけられた一言が忘れられない。
「当時、一六年の五輪招致を目指していた石原都知事は、メインスタジアムを臨海部に建設する計画でした。一方、森さんはスポーツの聖地・神宮外苑の再開発を主張し、国立の建て替えにこだわっていました」
結局、臨海案で挑んだ一六年招致はリオに敗退。再挑戦となった二〇年招致では、森氏の唱えてきた国立の建て替え案が浮上する。
だが、国立建て替えには高いハードルがあった。神宮外苑が、風致地区に指定されており、建築物には十五メートルという高さ制限があったのだ。
「そこで一三年六月、都は容積率を緩和し、高さ制限を七十五メートルに引き上げるのです。これによって、新国立の建設を中心とした神宮外苑の再開発が可能になった。この計画を主導したのが、内田さんと親しい当時の都市整備局の技監。内田さんは、地元の千代田区長選(来年二月)に、この元技監を擁立しようとしていると言われるほど親密な関係です。こうして、国立の建て替えが可能になり、新国立案で挑んだ二〇年招致は成功。森氏、内田氏の狙い通りの結果になりました」(同前)
まさに、内田氏の“予言”通りとなった国立の建て替え。そして、森氏は、五輪組織委員会のトップに就任する。
「組織委は政府や都、財界ほか関係団体と共にオールジャパン体制の中心となる組織。その会長は、五輪の準備、運営における最高責任者です。五輪開催が決まると、安倍晋三首相は森氏を官邸に呼んで『相応しい人を選んで下さい』と伝えました。首相の念頭にはスポンサーを集められる財界人がありましたが、森氏は『みんな尻込みしてしまって』と言う。結局、頼まれれば断らない森氏しか残っていなかったという構図です」(政治部デスク)
会長に就任した森氏は周りを“身内”で固めた。
「事務総長に親しい武藤敏郎元財務事務次官、副会長にはラグビー人脈から河野一郎氏を据えました。理事の都議枠は高島直樹前議長、川井重勇(しげお)現議長という内田氏側近の二人です」(同前)
大きな影響力を持つ元首相が、東京五輪を仕切るとなれば、そこには新たな“権力”が生まれる。巨額の税金が投入される東京五輪の施設整備に、疑義はないのか。小誌は内田氏同様、受注企業と森氏との関係について調査を行った。
まず、メインスタジアムの新国立競技場の建設工事である。総工費約千四百九十億円で受注したのは、大手ゼネコンの大成建設を中心としたジョイントベンチャー(JV)だった。
かつて森事務所で、資金集めにあたっていた関係者が語る。
「多くのゼネコンとお付き合いがありましたが、最も近いのが大成です。親しい順に大成、清水建設、地元石川の真柄建設でしょう。特に、森氏の元金庫番と大成の幹部とはズブズブと言っていいほどの親しい関係でした」
大成の元副社長も小誌の取材にこう認める。
「政治資金パーティが開催されれば、私たちは営業活動として森さんに挨拶に行きました。あれだけ力のある政治家ですから」
森氏と大成の関係がうかがい知れるのが、森氏の後援会機関誌「春風」だ。
「年一、二回発行の春風は百五十ページを超えることもありました。中身は、視察などの“写真集”ですが、一ページあたり百万円の広告料をとっていました。我々は企業をまわって金集めをするわけですが、相手の希望によって、パーティ券にしたり、春風の広告にしたりするわけです。百万円を出せないという企業には、半分にしたり、四分の一にしたりしていました。大成には、春風にたびたび広告を出してもらい、見開きの広告をもらったこともあったと記憶しています」(前出・森事務所関係者)
■公平性・透明性に欠ける受注
その大成が並々ならぬ意欲を示していたのが、新国立競技場の受注だった。
「旧国立も大成の事業ということもあり、山内隆司会長をはじめ、『新国立は必ず取る』と力が入っていました」(大成関係者)
大成は、ザハ・ハディド氏(故人)の当初案でもスタンドの施工を受注していた。ところが、総工費の膨張や巨大なキールアーチに批判が殺到し、ザハ案は白紙撤回を余儀なくされる。
「大成はすでに下請けの一部手配を済ませていた、と言われていました。一五年七月、ザハ案の白紙撤回が決まった際、森氏は安倍首相に『業者のことも考えてほしい』と言ったそうです。記者団には『国がたった二千五百億(の建築費)も出せないのか』とも言い放ちました」(官邸関係者)
結局、発注元のJSC(日本スポーツ振興センター)は設計コンペをやり直すことになった。大成のJVと、竹中工務店が中心のJVが争った末に、再び大成が受注に成功する。だが、建築エコノミストの森山高至氏はこう疑義を呈する。
「工期短縮という項目で大成は竹中を大きく上回りました。結果としてこれが影響して大成が落札することとなった。ところが、両者の技術提案書を見比べると、むしろ竹中の方が着工してから完成するまでの期間が二カ月短いのです。不可解と言わざるを得ません。一方で、建築確認申請の取得は大成の方が二カ月早かった。ザハ案の時にスタンド工区を一度受注しているので許認可も下りやすかったのでしょう。ただ、そのことで大成の工期短縮の得点が高くなったとすれば、端から大成ありきの審査だった可能性も否めません」
しかも、この期に及んで約千四百九十億円という総工費が、さらに膨らむ可能性もあるという。
「JSCと大成の契約では、急激に人件費や資材価格が高騰した場合、請負金額も変動すると定められている。その可能性は決して低くない」(ゼネコン関係者)
JSCの回答。
「技術提案書の審査結果については、審査講評を公表しております」
大成建設が受注した巨額予算の五輪施設は新国立だけではない。
都が予算を負担する恒久施設の一つ、カヌー・ボート会場の「海の森水上競技場」も、大成のJVが約二百四十九億円で落札した。
だが、この落札劇は異例ずくめだった。まず入札に参加したのは大成のJVのみ。予定価格の約二百四十九億円に対し、入札価格はそれより僅か三十一万円ほど安い価格だ。落札率で言えば、九九・九%である。
法政大の五十嵐敬喜名誉教授は驚きを隠さない。
「二十年以上公共工事をウォッチしてきましたが、官製談合を疑われても仕方がないケースです。落札率が九九・九%で価格点は限りなくゼロに近く、技術点も六十点中三十六点と非常に低い。しかも、これだけの大規模工事にもかかわらず、業者からの技術提案書締切以降、技術審査委員会は二回しか行われていません。他の恒久施設の審査では外部有識者がいるのに、今回は審査委員六人のうち五人が都港湾局の職員です。こうした点からも、公平性・透明性に欠けると言わざるを得ません。入札過程を検証する必要があります」
■得をするのは建設業者だけ
海の森は、大きく膨れ上がった予算が問題視されている“問題施設”だ。
立候補段階の予算は約六十九億円。だが、これには、周辺工事などが含まれていなかったとして、その後の試算で約千三十八億円まで膨れ上がった。結局、試算を見直し、約四百九十一億円となっているが、それでも当初計画の七倍だ。
海の森を視察した小池知事は「五百億円を海に捨てるようなもの。素人がこの場所を選んだのでしょう」と言い放ったが、元東京都港湾局の市川隆夫氏は“予算のカラクリ”を指摘する。
「コース内に小さな橋が設置されているのですが、橋ゲタがあってこのままだと競技が出来ない。そのため、橋を架け替える必要があるのです。その費用が三百億円弱。ところが、都はこの橋の撤去費を環境局の予算に付け替えました。しかし、それも都民の負担には変わりはない。つまり、海の森の実質的な建設費は八百億円近くにのぼるのです」
ボート元五輪日本代表の岩畔道徳氏は「横風が強い、騒音が大きいなどの問題があり、一流コースが出来るとは思えない」と嘆く。
「莫大な予算を投じたところで、選手も喜ばず、ボートやカヌーの競技団体も五輪後の使用を不安視しています。新施設を建設するより、埼玉県戸田市の彩湖などを使う手もある。このままでは、得をするのは、工事を請け負う建設業者だけです」(前出・市川氏)
都港湾局の回答。
「落札者の決定は適正に行われております」
大成の山内会長は、森氏との関係をこう語る。
「森さんとは、国立競技場の件なんかで何回もお目にかかっていますけど。一番最近会ったのは昨年末。新国立(の受注)が決まり、森さんにもお世話になったので、組織委の部屋に行きました。(海の森の落札率が九九・九%ということは)そうでしたか、承知していません。現実的に、社長以下執行部がやっていますから。(パーティ券や広告については)知らない。ウチより親しくしているゼネコンさんがあると、私は承知していますけども」
大成広報の回答。
「(春風には)八五年から九三年にかけて、計六回の広告を掲載しておりますが、かなり前のことであり、掲載事由については、確認できません。工事受注者の選定につきましては、適正な手続きに基づき行われているものと認識しております。
尚、弊社といたしましては、森喜朗氏と特別に親しいという認識はなく、工事受注等への影響は全く無いと考えております。(新国立の受注が決まる前に)専門業者へ、発注していたという事実はございません」
だが、神戸学院大の上脇博之教授はこう指摘する。
「広告費という形をとった、事実上の政治献金と言えます。ただ、収支報告書に広告主が記載されず、関係性が隠されている。癒着を疑われても仕方がありません。しかし、多額の税金が投入される五輪工事には高い透明性が求められる。森氏の説明責任が問われます」
森氏と関係が深い企業の受注は他にもある。石川県に本社を置く空調設備会社の菱機工業(金沢市)だ。
タカマツ(高橋礼華・松友美佐紀)ペアの金メダル獲得が記憶に新しいバドミントン。その会場となるのが「武蔵野の森総合スポーツ施設」だ。
「五輪の施設整備の第一弾となる注目プロジェクト」(建設通信新聞)として、一四年五月、入札が実施された。空調工事を約三十三億五千万円で受注したのが、菱機のJVである。
一方で、菱機は〇八年から一二年にかけて、森氏が率いた清和会のパーティ券を計四百万円分購入。さらに、森氏が政界引退した後も、一三年七月と十二月に各五十万円分、一四年十二月には百万円分の森氏のパーティ券を購入している。
菱機工業に見解を尋ねたが、締め切りまでに回答はなかった。
競技会場以外にも、五輪案件に深く関わる親密企業がある。
組織委がオフィスを構える虎ノ門ヒルズ。一四年六月に開業したこの超高層ビルを手掛けたのは、大手デベロッパーの森ビルだ。
■若狭氏は高額家賃を問題視
森氏は、森ビルの故・森稔前社長と非常に親しい関係にあった。稔氏の社長時代に、森ビルは前出の「春風」に広告も出している。
「月刊BOSS」(〇八年八月号)では森姓同士で対談。森氏が〇四年から〇七年まで、森ビルの六本木ヒルズに居住していたことや、同じ理髪店に通っていたこと、稔氏の娘の結婚式で森氏が来賓として挨拶したことなどを語り合っている。
「一二年三月に亡くなった稔氏のお別れの会では、森氏が弔辞を読みました。森氏は引退後に事務所を構えていた平河町の砂防会館が閉鎖すると、虎ノ門ヒルズから程近い高層ビルに事務所を移していますが、ここも森ビル系列です」(不動産関係者)
そして、森氏率いる組織委は、その森ビルに高額な賃料を払っている。小池氏のブレーンで、元東京地検特捜部副部長の若狭勝衆院議員はこう指摘する。
「財務諸表によれば、組織委が虎ノ門ヒルズに払う賃料は月額四千三百万円にのぼるそうです。年間で約五億円。なぜそれほどの賃料を払う必要があるのでしょうか。私は特捜の副部長時代、道路公団の副総裁を背任罪で起訴したことがあります。組織委も道路公団同様、半ば公的な組織でしょう。正当な理由もないまま多額の家賃を払っていれば、責任者が背任罪に問われる可能性もあり得ます」
森ビルの回答。
「個別の賃貸借契約の内容については、一切開示していません。(森氏との親密な関係は契約に)影響しておりません」
都民の税金が投入されているにもかかわらず、透明性を欠いている組織委。その理由を小池氏はこう見ているという。
「組織委はJOC(日本オリンピック委員会)と都が一億五千万円ずつ出資して設立された組織です。その後、都が五十七億円を追加出資しました。本来なら、都の管理下に置かれ、情報公開義務もある『監理団体』扱いです。ところが、IOCによる関与が強いという理由で、単に運営状況を報告するだけの『報告団体』と位置づけられた。結果、監視の目が行き届かず、関連予算はどんどん膨らんでいきました。小池氏はそこにメスを入れようとしているのです」(小池氏側近)
一方、森氏はどう答えるのか。電話で直撃した。
――大成建設と親しいと聞いています。大成がパーティ券を買ったり、「春風」に広告を出したり。
「私は知りませんが、第一、電話の取材には応じないことにしていますから」
そう言って、電話はガチャッと切れたのだった。
改めて森事務所に取材を申し込むと、弁護士を通じ、次のように回答を寄せた。
「新国立競技場はJSC(国)が、海の森水上競技場は東京都が、それぞれ適正に発注・入札したものであり、森喜朗氏個人及び組織委員会は、かかる手続に関与していません」
立候補段階では七千三百億円程度と想定されていた五輪予算だが、森氏自身が「二兆円を超える」と認めるほどに膨張している。
「組織委の収入はせいぜい五、六千億円程度。増額分の大半は税金の投入で賄われる見込みです。ところが、当の森氏は『国や組織委におんぶに抱っこはおかしい。都の事業なんだから』などと開き直っています」(前出・官邸関係者)
果たして、このままで東京五輪は国民の祝福をもって迎えられるのだろうか。
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