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安倍首相によって握りつぶされようとしている天皇のお言葉ー(天木直人氏)
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6th Sep 2016 市村 悦延 · @hellotomhanks
きのう9月5日の産経新聞が一面トップで、「『生前退位』で特措法」という大きな見出しの記事を掲げた。
すなわち、政府は「生前退位」を特別措置法の制定で可能にする検討に入ったことが
4日わかったと報じたのだ。
安倍政権が皇室典範の改正を避けて、特別立法で事態を収拾しようと考えている事は、
お言葉が発表された直後に、すでに憶測報道されていた。
しかし、その思惑をここまではっきり書いたのは、この産経のスクープ記事がはじめてだ。
その産経新聞のスクープ記事の要旨はこうだ。
安倍政権は、当初は特措法単体の制定で生前退位を認めようとしたが、
それでは、
「皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する」(憲法第2条)
と定めている憲法に違反することになる。
だから皇室典範も変えなければいけないが、皇室典範の本文を変えれば、文字通り皇室典範の変更になり、
安倍首相の支持層である右翼が反対する。
だから附則の変更で処理し、附則の変更は皇室典範の改正ではない、という右翼を説得するというわけだ。
どこまでも姑息である。
しかし、私がこの産経新聞の記事で一番注目したのは、
有識者会議を設けることを来年に先送りすると書かれていたところだ。
国民的関心が高い天皇陛下の「生前退位」について、
その結論を安倍政権だけで決めては世論の反発を買う。
だから有識者会議をつくってその結論に従った形を取ることにする。
そこまではいつもの常とう手段だ。
しかし、それならば、なぜ早く有識者懇談会をつくらないのか。
安倍首相が天皇陛下の健康を心配し、天皇陛下の生前退位の覚悟を尊重するなら、
しかもそれを支持する8割以上の世論に従うつもりなら、
有識者会議を一刻も早く開いて、生前退位の準備を急ぐのが筋だろう。
ところが、有識者会議の設置を来年に先送りするという。
それは、明らかに世論の関心を冷ますためだ。
生前退位が発表された直後はメディアも大騒ぎしたが、
いまではメディアは、その後の安倍政権の検討状況について、ほとんど書かなくなった。
このままでは、天皇陛下の懸命の訴えは、まるで何事もなかったかのように握りつぶされてしまう。
そう懸念していた矢先に産経新聞がこのようなスクープ記事を報じた。
もし他のメディアが、この産経新聞のスクープ記事の後追い記事を書かないなら、
ものごとは、このまま産経新聞のスクープ記事の通り進む。
安倍首相のペースで進んでしまうのだ。
安倍改憲に異を唱えた天皇陛下の渾身のお言葉が、
安倍首相の強い改憲志向によって、潰されようとしているのだ。
これだけは許せない。
天皇陛下のお言葉の衝撃が冷めないうちに、
憲法9条を国是とする新党憲法9条の設立宣言をして、
安倍改憲政治に異を唱えられた天皇陛下の渾身のお言葉に、応えなくてはいけない。
安倍首相の「お言葉潰し」を潰さなければいけない。
◇
「生前退位」で特措法 皇室典範に付則追加 政府検討、有識者会議は年内見送り
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160905-00000034-san-pol
産経新聞 9月5日(月)7時55分配信
政府が、天皇陛下の「生前退位」について、特別措置法制定で可能にする検討に入ったことが4日、分かった。ただ、憲法は皇位継承について「皇室典範の定めるところによる」と規定していることから、皇室典範の付則に「特別の場合」に限定して特措法で対応できる旨を追加する。複数の政府関係者が明らかにした。また、皇室に関する問題は慎重な上にも慎重な協議を必要とすることから、年内に有識者会議を設けることは見送る。
政府は当面、内閣官房の皇室典範改正準備室を中心に、識者などから幅広い意見を聴取し、特措法案の内容を詰める。提出は年明け以降になる見通しだ。
今回、特措法を制定するのは、陛下のご意向について国内の各種世論が高い割合で理解を示していることから、政府としてはあまり時間をかけずに対応する必要があるためだ。また、皇位継承のあり方への影響を最低限に抑える狙いもあるとみられる。
政府は当初、特措法単体の制定による対応も検討したが、憲法は「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する」(2条)と定めていることから、単独では憲法違反になると判断した。
そのため、皇室典範の付則を追加する方法での調整を進めている。この場合、皇室典範の本則部分の改正に当たらないことから、典範改正に慎重な世論にも配慮できるとみている。
一方、政府は安定的な皇室制度のあり方に関しても今後対応する必要があるとみている。
安倍晋三首相や菅義偉(すが・よしひで)官房長官は皇位が例外なく父方の系統に天皇を持つ男系で引き継がれてきた歴史的な重みを指摘しており、それを踏まえた上で女性皇族の身分や「女性宮家」などについて引き続き検討していく。
天皇陛下は先月8日、高齢となった象徴天皇のあり方について、約11分間にわたるビデオメッセージで表明し、「生前退位」の実現への強い思いをにじませられた。皇室典範で規定された「摂政」にも否定的な考えを示された。
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