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安倍首相を待ち受けるプーチンの「罠」 領土交渉の危うさ
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/189247
2016年9月5日 日刊ゲンダイ 文字お越し
亡国外交(C)AP
専門家はヒヤヒヤしながら見ている。安倍首相が2、3の両日、ロシアのウラジオストクを訪れて、プーチン大統領と会談。領土問題の進展に「手応え」と報じられている件だ。
経済協力をテコに平和条約の締結に弾みをつけ、領土問題を動かすというのが日本側のシナリオで、通訳だけを同席させた1対1の話し合いで「突っ込んだ議論ができた」「交渉を具体的に進める道筋が見えてきた」などと安倍は言うのだが、過度な期待を持つのは禁物だ。国際ジャーナリストで早大客員教授の春名幹男氏が言う。
「現地での演説や会見の様子を見ても、安倍首相は高揚していましたが、プーチン大統領は冷静だった。安倍首相は手応えを強調していますが、『新しいアプローチ』などと抽象的な言葉に終始し、具体的な解決策はまったく見えません。そもそも、2島返還でよしとするのか、4島返還でなければ応じないのかというような基本方針について、官邸と外務省の間で共通認識ができているのかも疑問です。何しろ5月にソチで日ロ首脳会談を行った際、8項目の経済協力を日本側から提示したにもかかわらず、その後も事務レベルでは何も進展していない。安倍首相とプーチン大統領が親密なのは確かですが、これは友情で解決するような問題ではありません。温暖化で北極の海氷が解け出し、北極海航路の通年利用や海底資源採取の可能性が見えてきた現状で、北方領土の重要性は増す一方です。ロシアが簡単に手放すはずがない。ロシアの専門家も『危うい外交に見える』と心配していました」
■経済分野協力担当相を新設の噴飯
安倍とプーチンとの会談は今回が14回目。さらに年内、11月にペルーで開かれるAPECで会談し、12月15日にはプーチンが来日して安倍の地元・山口県の温泉で首脳会談を行うことが決まった。プーチンの来日は実に11年ぶりだ。互いに行き来するのが首脳外交の原則なのに、安倍はこれまで5回連続でロシアを訪問している。このことだけでも両者の力関係が分かるというものだが、安倍はロシアとの連携に前のめりになっている。果たして日本の大メディアは、今回の日ロ会談も「安倍外交」の成果のごとく持ち上げてみせるのだ。
3日の各紙は1面トップでこう見出しを掲げていた。
「領土問題 交渉加速を確認 日ロ首脳11月にも会談」(朝日)
「日露首脳11、12月再会談 首相 領土交渉強い意欲」(毎日)
「プーチン氏来日合意 12月山口で 11月にも会談 首相、領土交渉に『手応え』」(読売)
「首相『領土発展へ手応え』プーチン氏来日12月15日会談」(日経)
「首相『領土交渉に道筋』、日露11月に再会談」(産経)
これを見れば、国民の多くは年内に領土問題が進展するかのような印象を持つだろう。だが、プーチンは2日の米ブルームバーグのインタビューで「島を(経済協力と)取引しない」と断言している。経済協力は喜んで受けるが、領土問題は別だとハッキリ言っているのだ。日本側が提示した8項目の経済協力は実行しても、年末の会談でロシアの譲歩を引き出す見通しはまったく立っていない。
ところが安倍は、日ロ会談直前の1日、「ロシア経済分野協力担当相」を新設して、腹心の世耕経産相を任命した。すでに北方対策担当の大臣職があるのに、わざわざ経済協力を切り離した。領土問題とはリンクさせないことを態度で示したのだ。しかも、今回の日ロ会談には例によって多くの民間企業を同行させ、日本が提示したエネルギー開発や港湾整備など8項目の経済協力についての覚書を、ロシア側と交わしている。すでにカードを切ってしまっているのだ。これで、どうやって交渉するのか。経済協力だけ食い逃げされる可能性もある。
日本は蚊帳の外(米中でパリ協定を批准)/(C)AP
ロシアには食い逃げされ、国際社会から不信を持たれるだけ
「12月に首相の地元の山口県でプーチン大統領と会談し、それを成果に解散総選挙に打って出るなどという臆測も流れていますが、自分の政治的野望のために利用するには、ロシアでは相手がしたたか過ぎます。まず、プーチンがこのタイミングで訪日することの意味を考える必要がある。米国は政権移行期にあり、EUの対ロ経済制裁が来年1月に期限を迎えるという、絶妙な時期の訪日です。米国の同盟国でG7の一角でもある日本の協力を取り付ければ、欧米諸国への揺さぶりになる。プーチン大統領は何とかして、米国にひと泡吹かせてやろうと考えているはずです。経済協力をチラつかせてプーチンを手玉に取るつもりが、逆に利用されて終わりかねません。ただでさえ、ロシアに接近する日本の動きは欧米諸国から警戒されているのに、ヨコシマな思惑でロシアにスリ寄れば、国際社会の不信感を高めるだけです」(春名幹男氏=前出)
プーチンを手玉に取ろうとは、安倍も大物になったものだ。
アベノミクスはニッチもサッチもいかず、国政は八方塞がり。それでロシアとの領土問題に目先を変え、国民の関心を引きつける――。「得意の外交分野で得点を狙う」などと大新聞は分析するのだが、これも笑止千万というものだ。安倍はいつから外交が得意になったのか。外遊のたびに気前良くバラまいてくるが、それに見合った成果が一つでもあったか? 国内に持ち帰ったのは、テロの脅威だけではないのか。
北朝鮮との拉致問題解決だって、政権の最優先課題とブチ上げておきながら、暗礁に乗り上げてしまった。勇み足で制裁解除に踏み切った結果、北朝鮮の3代目にいいようにやられた。功を焦って足元を見られたのだ。この程度の外交力で、ロシアと渡り合える気になっていることが不思議だ。
■アベノミクスも外交も無責任の極致
過去60年間、何も進展のなかった領土問題を自分なら解決できるという妙な自信、この大宰相気取りはどこからくるのか。結果が出なければ、ただの誇大妄想狂だ。元外交官の天木直人氏もこう言う。
「外交政策でことごとく失敗している安倍政権に、解決できる問題でないことは確かです。政権の最優先課題と言っていた拉致問題がポシャったら、こんどは戦後最大の課題などと言って、北方領土問題に前のめりになる。そんな場当たりが通用するような軽い話ではない。無謀な異次元緩和にしてもそうですが、できもしないのに大言壮語で期待を持たせ、失敗したら、後は知らないという態度は、あまりに無責任です。特に外交には中長期的な戦略が不可欠なのに、安倍政権がやっていることは支離滅裂で、あれこれ手を出しては、積み重ねてきたことを壊してばかりです」
中国憎しに凝り固まっている安倍にしてみれば、ロシアとの連携強化は中ロ関係にくさびを打ち込む狙いもあるのだろうが、外交はそんな単純なものではない。事実、プーチンは安倍との会談後、4日に中国・杭州で習近平国家主席と会談。国際政治における連携を再確認した。プーチンは6月にも訪中していて、両国の緊密さに揺るぎはない。
3日には、米中両政府が地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」を批准することで合意したと共同発表している。世界が注目する外交の舞台で、日本は蚊帳の外なのだ。
「安倍首相の中国包囲網構想をあざ笑うように、習近平主席はパリ協定で日本を包囲した。習主席が議長を務めるG20が4日から開催されていますが、この直前に、カナダがAIIBへの参加を表明したことも大きい。いずれ米国が参加する布石とも考えられ、G7でAIIBに加盟していないのは日本だけという事態になりかねません。中国包囲網どころか、国際社会で日本だけが孤立しつつあるということに気付くべきです」(天木直人氏=前出)
いい加減、誇大妄想外交から目を覚まさないと、取り返しのつかないことになる。曲芸政治もここまでくると、国益に百害あって一利なしだ。危うい領域に前のめりの安倍をいさめるどころか、期待をあおり、手柄話に仕立てようとする大メディアの罪深さは度し難いものがある。現実を直視しない大本営発表の先に何があるのか。それは歴史が示している。
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