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豊洲新市場が抱える“時限爆弾” <第4回>市場建設で膨張 「隠れ借金」は5年間で100倍増
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/189249
2016年9月5日 日刊ゲンダイ 文字お越し
小池都知事(C)日刊ゲンダイ
まるでオリンピックが“人質”だ。2日、東京五輪主要組織のトップが集まった会合の場で、都心と選手村を結ぶ予定の「環状2号」について、「工事がきちんと着手できるのか。早く我々にご明示いただきたい」と、小池都知事にクギを刺したのは、五輪組織委会長の森元首相だ。
環2は築地市場跡地に敷設する計画で、移転延期により来年4月予定の着工は遅れる。そのため、移転推進派は「五輪に間に合うのか」の大合唱だが、ホンネは五輪よりも跡地売却の優先だ。
■ハナから築地の一等地売却ありきの計画
「豊洲新市場の整備計画はハナから築地市場跡地の売却ありき。都心の一等地に23ヘクタール、東京ドーム5個分の広大な土地を売りさばかなければ、建設費捻出でベラボーに膨らんだ都の“隠れ借金”を返済できないのです」(臨海部開発問題を考える都民連絡会の市川隆夫事務局長)
都の財政には一般会計とは別に切り離して、都営住宅事業など15項目の「特別会計」と、水道・地下鉄・バスなど11項目の「公営企業会計」がある。
豊洲の整備費を負担するのは、公営企業会計の「中央卸売市場会計」。その財政状況は当初予算から3倍弱、2752億円に拡大した新市場の建設費の影響によって、ズタボロだ。
2011年度決算で45億1756万円だった「負債」は、14年2月末の着工後、新市場の建設が本格化した同年度決算では2675億6486万円まで拡大。その後もうなぎ上りで、今年度末には4777億5119万円、ナント5年前の105倍に達する見込み。ついに資本の合計額3783億3615万円を1000億円近くオーバーする債務超過状態に陥ってしまうのだ。
この間、11年度決算で1500億円を超えていた剰余金は底をつき、それでも高騰する建設費を賄い切れず、国の国債にあたる「企業債」をジャンジャン発行。11年度末に約1054億円だった発行残高は、今年度末には約3763億円に膨らむ見通しだ。
築地市場の使用料など今年度の事業収入は270億8100万円と、負債総額の5・5%に過ぎない。
しかも「公営企業会計」は独立採算制が原則で、一般会計からの補填は許されない。市場会計を預かる都の中央卸売市場財務課に返済計画を聞くと、「築地市場跡地の処分収入を充当することを想定しています」と悪びれもせず答えた。
80年以上にわたって培われた築地の歴史と文化、世界に誇るブランド力が、都の一般会計から切り離した「隠れ借金」のカタに取られてしまって、いいのか。
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