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なぜ小池氏はなぜ勝利したのか、その謙虚な分析が共産党に求められている。都内で選挙演説をする小池百合子氏(2016年7月30日撮影、資料写真)。(c)AFP/KAZUHIRO NOGI〔AFPBB News〕
共産党の総括ではなぜか鳥越俊太郎が「大健闘」 都知事選、小池勝利の要因を今こそ謙虚に学ぶべき
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47738
2016.8.30 筆坂 秀世 JBpress
東京都知事選挙が終わった5日後の8月5日、日本共産党は党創立94周年記念講演会を都内で開催した。ここで志位和夫委員長が「野党と市民の共闘と、日本の政治の展望」と題して記念講演を行ったのだが、相変わらずの牽強付会と言うか、ご都合主義と言うか、およそ客観性のない内容であった。
中でも呆れてしまったのが、都知事選挙についての総括である。若干長くなるが、その部分を「しんぶん赤旗」(8月7日付)の記事から引用する。
「野党と市民が統一候補として推した鳥越俊太郎さんは、勝利はできませんでしたが、134万票を獲得し、大健闘されました・・・勇気をもって出馬され、大奮闘された鳥越さんに心からの敬意を申し上げます」
都知事選挙の結果は、小池百合子氏の291万票に対して鳥越氏は135万票と半分にも満たなかった。ご存じの通り、大惨敗である。それが共産党にかかると「大健闘」になってしまうのである。
■とても科学的とは言えない総括
直近の参院選挙での東京選挙区の各党候補の票を見ても、大惨敗は一目瞭然である。
鳥越氏は、民進党、共産党、社民党、生活の党などによって担がれた。これらの党は、参院東京選挙区で何票獲得していたか。民進党の蓮舫氏、小川敏夫氏、共産党の山添拓氏、社民党の増山麗奈氏の獲得した票を合算すると239万票である(生活の党は候補者を立てていない)。この選挙で蓮舫氏は、112万票獲得しているが、鳥越氏の票はせいぜいこの蓮舫氏の分程度に過ぎない。100万票も減らしているのである。「市民の票」は一体どこへ行ってしまったと説明するのだろうか。
同じように惨敗を喫したのが、自民党である。自民党、公明党は参院東京選挙区で230万票を得ていた。だが両党が担いだ増田寛也氏は179万票に終わった。参院選票を約50万票減らしたことになる。鳥越氏よりはまだましだが、それでも自民党東京都連の役員は、責任をとって辞任した。8月4日、首相官邸に出向いた小池知事に対し、安倍首相は「きつい一本を取られました」と述べ、率直に敗北を認めた。「大健闘」などという負け惜しみはまったく述べていない。
共産党の不破哲三氏は、しばしば「科学の目」で物事を見ることを強調してきた。共産党の一大イベントである「赤旗まつり」では、不破氏の「科学の目」講座が目玉企画の1つになっているほどだ。科学の目とは簡単に言えば客観的、科学的に物事を分析するということである。“共産党は科学的社会主義の立場に立脚し、物事を科学的に見る眼力を備えているので、正しい結論を導き出せる”というのが、共産党の拠り所のはずである。ところが、都知事選の総括すら正しくできていない。「科学の目」などというのは、結局は口先だけに過ぎないということだ。
■鳥越氏を担いだことに何の意味もなかった
さらに志位氏は続ける。
「1つは、鳥越俊太郎さんが、都民の願いに応えた政治の転換の旗印を堂々と掲げたことです。鳥越さんは、『都民の声を聞く』姿勢を貫き、『住んでよし、働いてよし、学んでよし、環境によし――4つのよしの東京』を掲げ、これまでの大型開発優先から、都民の暮らし優先の都政への転換の旗印を掲げました。さらに、『非核都市宣言』を公約し、平和と憲法を守り、安倍暴走政治ストップの旗印を掲げました。鳥越さんが、これらの大義ある旗印を堂々と掲げて戦い抜いたことは、今後の戦いに必ず生きる」
言われた鳥越氏の方が恥ずかしいのではないか。選挙戦で、3候補の中で街頭に出た時間が圧倒的に少なかったのが鳥越氏である。何カ所かで都民の声を直接聞く場を持ったようだが、これで「都民の声を聞く姿勢を貫き」などと言えるだろうか。落選後も都民の声を聞き続けているというのならともかく、選挙期間中にほんの数十人の話を聞いただけで、この評価なのである。
また志位氏は、鳥越氏が「平和と憲法を守り、安倍暴走政治ストップの旗印を掲げた」ことに対して、「これらの大義ある旗印を堂々と掲げて戦い抜いたことは、今後の戦いに必ず生きると、私は確信をもって言いたい」と述べている。だが、もともと鳥越氏が立候補を決意したのは、都政の問題に関心を持っていたからではない。参院選の結果、衆参両院で改憲派が3分の2以上の議席を占めたことへの危機感からであった。だから「4つのよし」などという、まったく練られていない安直な公約を適当に作ったに過ぎない。
当然のことながら「平和と憲法を守り、安倍暴走政治ストップの旗印」などは、知事選挙でまったく争点にもならなかった。これが「今後に生きる」などということは、あり得ない。
民共は、大慌てで鳥越氏を擁立したが、ただ大惨敗という結果が残っただけで、何の意味もなさない知事選挙を戦ったということだ。
■市民との共闘に成功したのは小池百合子氏
志位氏は記念講演会でこうも述べている。「・・・『4野党プラス市民』という共闘の枠組みが、都知事選挙でも発展したことです。首都・東京でも野党と市民が肩を並べて戦い、協力の関係は市区町村段階まで多面的な形で発展しました」
「市民との共闘」というのは、この間、共産党が最も強調してきたことである。安保法制反対の運動でもSEALDsなどの動きも含めて、日本の政治で初めての「市民革命的な運動」などと評価してきた。だが、この評価自体が情緒的なものでしかなかったことは明白だ。
確かに、マスコミにも大きく取り上げられたSEALDsなどの動きは目新しいものではあった。だがその数は、せいぜい数十人か、十数人の学生の運動に過ぎなかった。国会周辺に集まっていた人々の大半は高齢者であった。おそらくその多くが共産党員であっただろう。これまでと違ったのは、シュプレヒコールがラップ調になったことぐらいだ。これをもって「市民革命的」と言うのだから、いいかげんな分析と言うしかない。そして、そのSEALDsはすでに解散してしまった。共産党が言う「市民革命的」な運動はどうなるのだろうか。
そもそも知事選挙の結果を見れば、市民の運動が鳥越陣営に結集していなかったことは明らかだ。選挙運動を見ても、民進党や共産党、社民党の女性議員を並べ立てて“市民らしさ”を演出したかったようだが、どこから見ても政党が前面に出ていた。ここには「比較的若い女性議員を並べれば、票が増えるだろう」というなんとも卑しい、そして都民を見下した姿勢が見え見えであった。
政党や労働組合が大動員をかけて行うような選挙に市民が入る余地などそもそもないのである。
これと正反対だったのが、小池百合子陣営であった。組織動員はゼロである。それでも行く先々で多くの聴衆が集まった。シンボルカラーが緑だということを知った都民は、それぞれに緑のものを身に着け、小池氏の応援に駆け付けた。中には緑の野菜を掲げた聴衆もいた。ラップ調の掛け声はなかったが、最後の池袋駅での訴えには5000人を超える人々が駆けつけた。
まさに都民が立ち上がったのである。これこそが本当の「市民革命的」な運動であろう。しかもそれは共産党のように敗北したのではなく、見事に勝利を手にした。
牽強付会な選挙総括ではなく、「なぜ小池氏は勝利したのか。なぜ都民は小池氏を勝たせるために立ち上がったのか」、このことを謙虚に学ぶことこそ、今、共産党に求められている。
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