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小林節「自民党改憲草案を糺す」 <第10回> 権力を固定化するため選挙制度にも手をつける
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/188764
2016年8月29日 日刊ゲンダイ 文字お越し
小林節氏(C)日刊ゲンダイ
現行憲法の47条は、「選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める」と規定している。確かに、それは議院の存立の根本にかかわる事項である以上、国会が自律的に決めるべき事項である。とはいえ、国会がそれを不合理、不公正に定めて良いというものではない。
ところが、自民党改憲草案は、前記の文言に続けて、「各選挙区は、人口を基本とし、行政区画、地勢等を総合的に勘案して定め『なければならない』」と明記している。つまり、それは、選挙の区割りと定数配分は「人口以外の要素も勘案して定めなければならない」と命じている。
このことの法的効果は、現在も法廷で激しく争われている議員定数不均衡訴訟が全て訴えの利益(根拠)を失うことになる。
民選議院(わが国では衆参ともにこれである)は「人口」の代表であり、川や林の代表ではない……という、1960年代にアメリカで確認された公理に従って、今ではわが国でも議員定数の均衡(投票価値の平等)が憲法の要請として厳格に求められている。ところが実際には、自由な社会である以上、人口の変動により、議員定数の均衡は常に脅かされ続け、常に区画と定数の改正が議論され続けている。しかし、それは代議制の正当性を維持するために当然のことである。
ところが、憲法上、議員定数配分には人口の他に地勢「等」も配慮せよと命じられたら、現在の不平等には、例えば「過疎地域に対する配慮」等、簡単に「言い訳」を見つけることができてしまう。
選挙制度というものは、それがどんなに不公正なものであっても、現にそこから選出されている多数派(権力者たち)にとっては最も居心地の良いものなのである。その権力者たちが、現行憲法の下では明らかに違憲とされる選挙制度を今後は合憲だと説明できるように憲法を改正しようと提案するなどとは、これも憲法「改悪」の悪巧み以外の何ものでもない。
ここでも、自民党は、自分たちを縛るはずの憲法を使って自分たちの権力を固定化して自分たちだけを自由にしようとしている。
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