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自由主義の基本は、徹底した批判精神である。
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16年08月27日 永田町徒然草
夏は何故か哀しい。こういう思いを持つのは私だけだろうか。リオ・オリンピックが最高潮を迎えたため、8月15日前後に数多く報道される戦争回顧番組は例年よりも少なかった。「夏は哀しい」と私が述べたのは、戦争回顧番組だけのせいではないのだろう。夏に多くの人々が懐かしい思い出があり、それらが思い出され、それがいまは帰らぬ日々となったからではないのか。どうもそんな気がする。
春夏秋冬にそれぞれの忘れがたい出来事があり、それらは懐かしい思い出となっていると思う。しかし、夏の思い出はちょっと違うようだ。思い出の数が多いこともひとつの理由であろうが、その体験・印象が鮮烈だったからではないのか。夏は万物の命がいちばん盛んな時期である。万物の命が奏でだす勢いというか迫力は、人々を圧倒する。そして鮮烈な印象を与える。それが夏の思い出である。
ところで多くの日本国民にとって今年の夏の思い出は、いったい何なのであろうか。リオ・オリンピックで日本人が数多くのメダルを取ったことだろうか。4年後には東京オリンピック・パラリンピックを迎えるという高揚感であろうか。北朝鮮が弾道ミサイルをわが国に向けて発射したことだろうか。それとも中国の多数の公船と漁船が尖閣列島の領海侵犯したことだろうか。一部の人々には今年の夏の思い出となるだろうが、国民一般のそれとはならないであろう。
多くの国民にとって今年の夏の思い出となるのは、憲法との向き合い方になる、と私は思っている。憲法改正に絶対反対という国会議員が衆参両院で3分の1を割り込んでしまった。すなわち、憲法を改正しようという勢力は、憲法改正を発議することができるということになったのだ。もちろん「憲法のどこをどう改正するか」合意することは、そんなに簡単ではない。しかし、それができれば憲法改正を発議するが可能になったのだ。
憲法改正を目論む勢力は、狡猾である。これに対峙するためには、日本国憲法に対する正しい理解がなければならない。日本国憲法がいちばん大切にしているのは、自由主義である。自由主義の基本は、徹底した批判精神である。この徹底した批判精神が欠けているのが、わが国の国民ではないだろうか。私は長い政治生活を通じてそう感じている。政治だけでなく、あらゆる分野で“批判精神”を活性化することが必要である、と痛感している。
今日はこのくらいにしておこう。それでは、また。
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