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常軌逸したJOC宣言 東京五輪「金で3位以内」の危うさ
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/188465
2016年8月26日 日刊ゲンダイ
橋本団長は4年後に向け早くも鼻息が荒い(C)真野慎也
改めてキッパリと宣言した。
リオ五輪で41個のメダルを獲得した日本選手団が24日、都内で帰国会見を行った。橋本聖子団長(51)はそこで20年東京五輪のメダル目標について、「(金メダル数で)3位以内」と明言。さらに「最低でも(実施)33競技においては必ず1つでも2つでも各競技として確実にメダルを獲得しなければならないというのを最低目標に掲げたい。そのためにはメダルの数を倍以上にしなければならない」と語り、強化費の拡充に理解を求めた。金メダルの世界3位とは、20個から33個を意味する。リオの倍以上のメダル数といえば82個以上だから、かなりの「大風呂敷」といえるが、橋本団長はもちろん本気だ。
今年度のスポーツ予算は史上最高の324億円(前年度比34億円増)。日本オリンピック委員会(JOC)の選手強化部長でもある橋本団長はそれでも足りないと「18年度には(スポーツ予算を)1000億円にしたい」との希望を持っている。
東京五輪の先導役のひとりでもある橋本氏が何を言おうが勝手だが、国民はメダルラッシュに浮かれているわけにはいかない。
五輪につぎ込まれているカネは、もちろん選手の強化費(今年度約70億円)だけではない。スポーツ医・科学研究の中枢機関である国立スポーツ科学センター(JISS)は、01年の完成までに274億5000万円もの建設費が投入され、年間約20億円の運営費がかかる。
水谷隼(27)と男子団体が史上初の五輪メダルを獲得した卓球の代表選手が練習拠点にしているナショナルトレーニングセンター(NTC)は08年に完成。こちらも370億円の建設費がかかっている。ちなみに東京五輪に向けて、現在のNTCの隣に「第2NTC」を造る方針も明らかになっている。
リオ五輪では選手村からシャトルバスで30分の場所に、選手に和食や炭酸泉の風呂、トレーニングやケア施設を提供し、体調管理の設備も整えた「ハイパフォーマンス・サポートセンター」を約8億円かけて造った。
卓球の福原愛(27)やバドミントン、カヌーなどは、外国人の指導者のおかげでメダルが取れた。その指導者たちの人件費だってバカにはならない。要するにリオ五輪は湯水のように強化や施設にカネを使ったからこそ、その額に比例してメダルが取れたというわけだ。
■世界の流れに逆行する「金メダル至上主義」
しかし、橋本強化部長はこれでも足りず、さらにジャブジャブと金を使って、東京では金メダルの山を築きたいのだ。
「常軌を逸した話です」というのは、スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏だ。
「JOCのゴールドプランの中に、東京五輪の金メダル獲得数は世界3位を目指すとある。いわば国家プロジェクトですから、実現させるためには、多額の資金を投入するだけでなく、それこそ何でもやるはずです。例えば、ナショナルトレセンだけでなく、自衛隊体育学校を有効利用したり、海外に長期滞在する選手のために現地にトレセンを造る。元中国の卓球選手や元ケニアやエチオピアのマラソン選手が他国で代表になっているが、日本も有能な外国人選手を帰化させるかもしれない。国民の批判なんて気にしていたら金メダル30個なんて取れない。資金を惜しまず使って、これまでの枠を超えたことをどんどんやると思いますね」
橋本団長兼強化部長はこの日の会見で、「強化本部としましては、3年前から『人間力なくして競技力向上なし』をテーマにしてきましたが、今回の日本代表選手団はしっかりとした人間力をもってそれぞれの目標に向かっていく、その力を十分発揮できたと思う」と言った。
だが、4年後の東京五輪に向けて、民間やサッカーくじの売り上げ、多額の税金などにより「メダルを狙えるサイボーグ」が数多くつくられ、国威発揚の道具にさせられるのがオチである。
「金メダル30個という目標は、すなわち中国(リオは金26・銀18・銅26)を抜くことです。それはアジアの覇権争いに他ならず、露骨なナショナリズムです。欧州ではスポーツ・フォー・オール(みんなのスポーツ)運動を進めている。一部の才能や機会に恵まれた者だけではなく、性別や年齢、階層などを超えた全ての人々がスポーツに関わり、楽しめることは基本的人権であるという認識に基づくものです。代表候補にばかり金を使い鍛えあげる金メダル至上主義はそれとは対局にあり、人間性を剥奪するものです。それで多くの金メダルを取っても、国民を豊かにすることなどできません」(前出・谷口氏)
橋本団長兼強化部長は、前回の東京五輪開幕5日前に生まれ、聖火にちなんで「聖子」と名付けられたそうだ。それなら今の任務は天職かもしれないが、国民は「五輪教」にうつつを抜かしてはいけない。
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— 木村恒行 (@kousankousin) 2016年8月26日
有力選手を帰化させるのが手っ取り早いが、そこまでして金メダルが必要か?橋本を満足させるためにオリンピックがある訳じゃない。
「性別や年齢、階層などを超えた全ての人々がスポーツに関わり、楽しめることは基本的人権..代表候補にばかり金を使い鍛えあげる金メダル至上主義はそれとは対局」|常軌逸したJOC宣言 東京五輪「金で3位以内」の危うさ | 日刊ゲンダイ https://t.co/DAzbN6mbbR
— yoici fkui 福井洋一 (@yoici) 2016年8月26日
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