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安倍首相も続投に意欲…あと4年も続く五輪の狂騒と結末
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/188277
2016年8月22日 日刊ゲンダイ 文字お越し
閉会式で五輪旗を受け取る小池百合子東京都知事(C)真野慎也/JMPA
17日間にわたった祭典が幕を閉じた。日本時間の22日午前、リオ五輪の閉会式が行われ、開催前から数々の問題を抱えていた大会も何とか無事に終わった。
この間、新聞もテレビも報道は日本選手団のメダル獲得一色で、「ときどきSMAP解散」といった調子。同じ熱意で1カ月前の参院選を報じていれば結果は違ったかもしれないが、それはさておき、金メダルの数こそ目標の14個に2個足りなかったものの、日本選手団のメダル獲得数は計41個に上り、前回ロンドン大会の38個を抜いて史上最多となった。
それでもトップの米国には3倍近くも離されているのだが、メダルラッシュに浮かれっぱなしの日本のメディアに、冷静な分析を期待するだけムダだ。この国では、日本選手がメダルを逃した競技はほとんど報じられないため、国民の間で「4年後の東京五輪はゴールドラッシュだ!」という熱狂ムードが、ますます燃え広がっていく。
日本中が五輪の熱病にかかっている最中に自民党内で浮上しているのが、18年9月で切れる安倍首相の党総裁任期の延長論だ。任期延長の牽引役を務める二階幹事長は、現行の「1期3年、連続2期6年まで」から「連続3期9年」に改める意向のようだが、その口実も「五輪」である。
党内の安倍シンパは「東京五輪は招致に成功した安倍首相で迎えるべき」と主張する。前回1964年の東京五輪を誘致した際の首相は、安倍の祖父・岸信介氏だった。しかし、誘致から間もなく安保闘争の混乱で退陣を余儀なくされ、開会式には後任の池田勇人首相が出席した。安倍にとって東京五輪の開会式に首相として出席するのは「改憲同様、祖父が実現できなかった夢をかなえる悲願」(自民党関係者)という。
安倍は記者団に「次の東京五輪・パラリンピックは世界に感動や夢、希望、勇気を与えるものにしたい」と語り、意気揚々とリオの閉会式に出席した。次回開催国トップのパフォーマンスからは祖父への倒錯した敬愛や五輪に名を借りた政治的延命が透けて見える。
ただ、リオの熱戦に沸き立ち、金メダル選手を凱旋将軍のように持ち上げるメディアと国民を見ると、五輪に便乗した安倍の居座り策も「この国民にして」という気がしてならない。
今後4年間、日本全体が「東京五輪にかこつければ何でも許される」という風潮に包まれていくのだろう。
「国の威信」とやらを懸けた五輪によって理性を失った熱狂が、どれだけ日本の経済と社会をマヒさせるのか。その先に何をもたらすのか。
閉会式に入場する日本人選手団(C)真野慎也/JMPA
■20年までノーブレーキで突っ走る狂乱の祭典
洪水のようなリオ五輪報道に隠れて、すっかり忘れ去られているが、東京五輪招致を巡る裏金疑惑が噴出したのは、たった3カ月前のこと。日本の招致委が国際陸連の前会長側に約2億円を払ったとされる重大問題を、改めて検証し直すメディアは皆無だ。
招致時に「選手村を中心とした半径8キロ圏内に85%の競技会場を配置する」とうたった“コンパクト五輪”も全くのデタラメ。今や会場予定地は箱根の山を越え、静岡・伊豆市にまで広がる。招致段階で約3000億円に過ぎなかった関連予算も、2兆円とも3兆円ともいわれるまでに膨れ上がっている。コンパクト五輪なんて口先の方便に過ぎなかったのだ。
そもそも、福島原発の汚染水は「アンダーコントロール」という安倍の大ボラで勝ち取ったような大会だ。「返上」を求める大手メディアが一社くらいは出てきてもよさそうなものだが、一向に現れない。普段は議員の不倫すら許さず、やたらと政治に「清廉さ」を求めるのに、まるで禁句のように「五輪返上」と口にするのさえ、ためらわれるようなムードだ。
それもそのはずで、朝日、読売、毎日、日経の主要4紙は、東京五輪組織委と「オフィシャルパートナー」という大口スポンサー契約を締結。「公正・中立」のタテマエを捨て、五輪ビジネスの当事者になっている。
「日本のメディアがメダルラッシュだけを伝え、リオ五輪の負の側面を積極的に報じなかったのも納得です」と言うのは、経済評論家の斎藤満氏だ。こう続けた。
「リオの州と市は五輪開催前に財政が破綻し、公務員に給与を払えず、五輪期間中も市民の抗議デモはエスカレート。財政に穴があいた要因は五輪施設への過剰投資で、国力はすっかり疲弊しています。当然、日本は過剰投資を避けるべきなのに、安倍政権はブラジル政府と同じ轍を踏もうとしています。先日、閣議決定した事業規模28兆円超の経済対策も、中身は不要不急の過剰投資だらけ。リニア開業の前倒しや大型クルーズ船の停泊可能な大型港湾造りなど、訪日外国人の増加を狙った観光インフラ整備にこだわり、列島上空から日銀のカネをばらまくようなヘリコプターマネーも辞さない雰囲気です。『とりあえず東京五輪までは突っ走ろう』という無軌道さには危うさを感じます」
破れかぶれな経済政策を批判すべきメディアも、「東京五輪の成功」という国是の前では政権と利害が一致してダンマリだ。
4年後のゴールを目がけてノーブレーキの暴走政権とメディアが足並みそろえての五輪狂騒曲。国民が踊らされ、全ての悪材料を熱狂の渦でカキ消してしまえば、あらゆる無理筋が「五輪の成功」を免罪符にまかり通ることになる。
■無謀な戦争に突入したのと同じ偏狭な精神論
五輪フィーバーには大手ゼネコンも高笑いだ。関連施設の工事だけでなく、東京の中心部は2020年を目指した再開発や大型ホテルの建て替えが目白押し。都心には次々とクレーンが立ち並び、1平方メートル当たりの建築着工単価も昨年度は約21万円と、90年代バブル期のピーク値を超えた。
現在、五輪組織委が入居する虎ノ門ヒルズの隣接地には東京五輪に間に合わせるべく、新たに3棟の超高層タワーが林立。渋谷駅の直上には高さ約230メートルもの巨大ビルが出現する。ホテルオークラも味わい深いモダニズム建築をぶち壊し、五輪までに地上38階建てのタワービルに生まれ変わる予定だ。
東京五輪のころには完成間もないピッカピカの摩天楼がそびえ立ち、世界中のアスリートや観光客を出迎えることになるが、深刻なのは“宴の後”だ。今でさえ、都心部のオフィスは飽和状態にあるのに加え、東京は五輪後に人口減少の本番を迎える。供給過多に陥るのは目に見えている。
「問題はオフィス需要だけに限りません。人口減社会で、ムリに需要を求めれば外資系企業やインバウンド頼みとなる。彼らを誘致するには円安政策を続けるほかなく、日銀の異次元緩和の出口戦略は永遠に遠のきかねません。実質的な財政ファイナンスの禁じ手から延々と抜け出せなければ、日本の財政は常にデフォルト危機と隣り合わせの状態になりかねない」(斎藤満氏=前出)
アテネ五輪から数年後に債務危機に陥ったギリシャの二の舞いだ。筑波大名誉教授の小林弥六氏(経済学)はこう言った。
「今の日本の国力を冷静になって考えれば、五輪開催で負の遺産を抱え込むことになるのは誰にでも分かる。『国の威信』のために国の借金を増やすのはナンセンスなのに、すでに『東京五輪は間違っている』と言いだしにくいムードが醸成されているのは異常です。私のような先の大戦を知る世代にすれば『この戦争は間違っている』と言えば“非国民”扱いされた時代を想起させるほど。こうした偏狭な精神主義がまかり通るのも、あのころと同じ。一度動きだしたら立ち止まらず、引き返せないレベルまで突き進んでしまう国民性が災いしているのでしょう。その背景には日本人の同調圧力への屈しやすさがある。安倍政権は常に『東京五輪の成功を望まない国民はいない』と決めつけ、巧妙に同調圧力を仕掛けてくるだけに厄介なのです」
金メダルを逃して「取り返しのつかないこと」と嘆いた選手には、「そこまで思い詰めなくても」と言いたくなる。4年後の五輪開催こそ本当に「取り返しのつかないこと」なのだ。無謀な大会に「待った」をかけられるのか、今こそ国民の真価が問われている。
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