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28兆円アベノミクス加速の愚 今や経済成長は神話的幻想
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2016年8月17日 日刊ゲンダイ 文字お越し
夏休み後半もゴルフ三昧(C)日刊ゲンダイ
五輪のお祭りムードに便乗ということか、ロコツな印象操作が横行している。
内閣府が15日に発表した4〜6月期の実質国内総生産(GDP、速報値)は前期比年率で0.2%増。これを大メディアは「2期連続のプラス成長」と大々的に報じた。NHKなどは五輪中継の最中に速報テロップを流す騒ぎぶりで、2期連続プラスと喧伝されると、まるで景気が上向いているかのように錯覚してしまうが、実態はまるで違う。
「年率0.2%ということは、単純計算で四半期での成長率はわずか0・05%。五輪の短距離競技じゃあるまいし、統計の誤差の範囲で、ほぼゼロ成長です。それより問題なのは中身の方で、個人消費の低迷がいよいよ鮮明になった。帰属家賃を除く家計最終消費支出は、前年同期比の成長率が3四半期連続のマイナスです。設備投資や外需も振るわず、事前予想を大きく下回りました」(シグマ・キャピタルのチーフエコノミスト、田代秀敏氏)
設備投資は0.4%減と大きく落ち込んだ。想定を上回る円高のため17年3月期の業績見通しを引き下げたトヨタ自動車は、通期の研究開発費と設備投資費を100億円ずつ下方修正。きのう(16日)は一時、1ドル=100円を割り込むなど、さらに円高は進んでいる。企業は先行き不安から国内での設備投資を一段と減らす。7〜9月期はますます悪い数字になりそうだ。
■効果は続かず再対策の無間地獄
GDP速報値を受け、石原経済再生担当相は日本経済について、「このところ弱さも見られるが、雇用・所得環境の改善は続いており、緩やかな回復基調は続いている」と強弁。その上で、「(8月2日に閣議決定した)新たな経済対策をしっかりと実施し、内需を拡大していくことが肝要だ」と話した。
麻生財務相も、15日の閣議後会見で「経済対策を踏まえ、構造改革も含め取り組みたい」と言っていたが、効果のない経済対策は財政赤字を増やすだけだ。景気低迷を打破するための「経済対策に期待」とか言う大マスコミも正気なのか。中身をよく見れば、マヤカシの経済対策なのが明らかではないか。
政府が閣議決定した事業規模28・1兆円の経済対策は、財政措置をフル活用し、10年先のリニア中央新幹線事業まで盛り込んで膨らませたハリボテだ。時代錯誤なインフラ整備を積み増したところで、GDPの一時的なかさ上げにはなるかもしれないが、効果が切れれば反動減が生じ、また経済対策が必要になるという無間地獄。事実、安倍政権が発足した12年度以降、経済対策と銘打った補正予算が毎年編成されている。
「公共事業や低所得者へのバラマキは、これまでの補正予算で繰り返しやってきた対策ですが、結局のところ効果がなく、だから安倍政権になってからマイナスか、ほぼゼロ成長が続いている。大規模な財政出動は、実際の成長率が潜在成長率に追いつかない場合には有効ですが、日本の場合は潜在成長率そのものが低い。旧来型の財政出動では効果が得られません」(筑波大名誉教授・小林弥六氏=経済学)
IMFの分析では、日本経済は16年、約0.3%の緩慢なペースで成長し、17年には0.1%に低下すると見込まれている。潜在成長率を高めることが重要なのに、この政権が打ち出しているのは、トンチンカンな政策ばかりだ。
トンチンカン政策(C)日刊ゲンダイ
■この政権が居座って失策を続ける限り景気回復はない
閣議決定によれば、今回の経済対策の主眼は、「日本銀行とも連携しつつ、金融政策、財政政策、構造改革を総動員してアベノミクスを一層加速する」ことだという。破れかぶれのヘリコプターマネーがチラつくが、恐ろしいのは、それを市場が期待するムードになっていることだ。
「異次元緩和は想定通りにいかず、マイナス金利も弊害ばかりで、日銀は手詰まりです。ヘリコプターマネーしかないということでしょうが、国債を直接引き受けるか、形だけ市場を介するかの違いだけで、すでに実質的な財政ファイナンスの禁じ手に陥っている。これを加速させても、一時的なバブルで市場は沸くかもしれませんが、長続きせず、大きな傷を負うだけです。すでに日本経済はアベノミクスによって破壊され、負の遺産は計り知れないまでに増えてしまった。これ以上、加速化させるなんて自殺行為です」(小林弥六氏=前出)
この経済無策ペテン政権を駆逐しなければ、傷口は広がる一方だ。
「2020年にGDP600兆円」を掲げ、それまで「道半ば」と言い続けてゴマカすつもりだろうが、アベノミクスの失敗は、この3年半でハッキリしたはずだ。実質賃金は減り続け、消費は落ち込み、目標の物価上昇に届きそうもない。実質GDPの伸びは、安倍首相が「暗黒の時代」と呼ぶ民主党政権時代の半分以下だ。
暗黒以下の今は一体、何なのかと言いたくなるが、驚くことに安倍政権は、数字が悪いのは、経済政策ではなく、統計の出し方が間違っているからだと言いだし、計算方法を見直すという。
今年12月8日に発表する7〜9月期の改定値から、GDPに企業の研究開発費のほか、防衛装備費や不動産の仲介手数料、特許使用料なども加算し、過去にさかのぼってGDPを計算し直す。これでGDPは自動的に3%程度増えるというが、姑息というか詐欺的というか、防衛装備をガンガン売り買いしてGDP底上げなんて、そんなのアリか。悪い冗談としか思えない。
■世界の潮流は成長から再分配へ
大体、人口減・超高齢化社会を迎えた日本で、経済成長なんて幻想なのだ。メディアもそろそろGDPの呪縛から解放された方がいい。異常で無謀な政策を総動員して、無理やりGDPを増やすという発想がナンセンスなのだ。
先進国では高度経済成長は望めない。これが世界的なコンセンサスだ。米国でサンダース旋風が起きたことで分かるように、世界の潮流は成長から再分配に向かっている。税制や社会保障制度を通じて、貧富の差を緩和させることが、社会の活力を維持するという考え方だ。
政府は2日に公表した今年度の経済財政白書で、個人消費の実態を世代ごとに分析しているが、各世代の中でとりわけ節約志向を強めているのが20〜30代の若年層だ。可処分所得に占める消費の割合が、他の世代に比べて5ポイントから30ポイントも低い。「今後、安定的に収入を確保していけるのか」「老後の資金が心配」などといった将来への不安が、他の世代よりも高く、貯蓄に走るのだという。
社会保障を削り、年金資金を株式市場にブッ込んで溶かしていたら、将来不安は高まる一方。消費低迷は改善されず、日本経済は沈んでいく。
「個人消費を引き上げ、内需を拡大させるためには、特に若い世代の可処分所得を増やし、将来不安を払拭する政策が必要です。しかし、インフレを起こし、実質賃金を減らすアベノミクスには逆の効果しかない。安倍政権の根拠のない経済政策の失敗が、将来への不安を生み出し、消費を減衰させ、GDP成長率を引き下げている。要するに、この政権が居座って、同じ経済政策が継続される限り、景気回復は見込めないということです」(田代秀敏氏=前出)
この国の経済を本気で立て直すなら、安倍退陣が最大の景気対策だ。刹那の景気対策を煽る大マスコミは、亡国の徒の類いということになる。
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