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安倍政権を世界はどう見ているか 終戦記念日裏側の緊迫
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2016年8月16日 日刊ゲンダイ 文字お越し
終戦記念日、安倍首相は千鳥ヶ淵戦没者墓苑に参拝(C)日刊ゲンダイ
終戦記念日の15日、安倍内閣から高市早苗総務相と丸川珠代五輪相の2閣僚が靖国神社に参拝したが、姿が見えなかったのが稲田朋美防衛相だ。衆院に初当選した翌年の2006年以降、行革担当相時も含め毎年8月15日の参拝を欠かさなかったのに、今回ばかりは行かなかった。いや、行けなかった。
表向きは、自衛隊の派遣先であるジブチを視察中のため。だが、全国戦没者追悼式も行われる終戦記念日をわざわざ選んで“身内”を訪問する必要はない。苦肉の策で“海外逃亡”したのは間違いない。
「稲田さんのジブチ訪問は13〜16日の日程。本人が行きたいと周辺に伝えたのは、今月9日です。あまりに急な話で、防衛省は大慌てでした。タカ派と警戒されている防衛大臣が終戦記念日に靖国を参拝すれば、中国を刺激するのは確実。しかし参拝しなければ、日本会議など右翼のシンパを落胆させる。公務で日本にいないということでしたら、なんとか言い訳がたつ、ということです」(自民党関係者)
安倍首相は9月に中国で開かれるG20首脳会合に出席し、習近平国家主席と会談するシナリオを描いている。ただでさえ尖閣周辺で中国の漁船や公船の動きが活発化し、日中間の緊張が高まっているのに、そんなタイミングで稲田が靖国参拝したら、全て台無しどころか、日中関係が抜き差しならない事態に悪化しかねなかった。
というのも、今月3日の内閣改造後、中国は外交ルートを使い、あえて稲田の名前を挙げたうえで、閣僚が靖国参拝をしないよう申し入れをしてきていた。
参拝の後の抗議はこれまでもあったが、事前の警告、それも外交ルートで正式にというのは異例中の異例だ。弁護士時代に「南京大虐殺」の名誉毀損裁判に参加し、当選後も「百人斬りはなかった」と訴えていた稲田である。中国が警戒するのは当然で、来月の安倍の訪中を考えれば、稲田が靖国になど行けるはずがなかったのだ。
■ドイツ人が「日本は戦争する国になるのか」
しかし、だったらなぜ、安倍はそんな稲田を防衛相に就けたのか。日本ではあまり伝えられていないが、稲田への懸念は欧米メディアでも報じられている。改造直後、英タイムズは〈戦中日本の残虐行為否定論者が防衛トップに〉と報じ、米AP通信も〈日本が戦争の過去を軽視する防衛トップを据える〉と配信しているのである。
欧米は安倍を「歴史修正主義者」と見て、戦前回帰路線の日本会議と安倍政権との関係にも関心を持っている。7月の参院選で安倍自民が勝利し、衆参で改憲勢力3分の2を獲得したことで、平和憲法の改正が現実味を帯びてきた。そんな矢先の稲田防衛相だ。日本は海外でますます奇異の目を向けられている。
経済アナリストの菊池英博氏がこんな話をしてくれた。欧州訪問で「日本は戦争をする国になろうとしているのか」と真顔で質問されたというのだ。
「ドイツの金融財政学者や金融関係者と定期的に非公式の意見交換会を持っていまして、先月末から今月初めにかけ、フランクフルトに行ってきたのです。そこで、ドイツ人から『日本は憲法を改正して戦争をする国になるのか。中国と戦争をするつもりか』と聞かれました。参院で改憲勢力が3分の2を取ったことで、憲法9条を改正する可能性が出てきたことを欧米のメディアも報じているからでしょう。尖閣問題のことも知っていて、『領土問題で争うなんて、日本は国際性の低い愚かな国だ。欧州は第1次、第2次大戦で卒業した』と嘆いていました。ドイツの後、イギリスにも行ったのですが、そこでも『日本はもっと平和的に物事を解決するようにしなければならない』と諭されましたよ」
これが現実なのである。
全国戦没者追悼式で黙祷する天皇、皇后(C)AP
天皇発言への欧米の視点は「日本の政治を揺るがす問題」
大マスコミが海外メディアの見解を報じないのは、生前退位を望む天皇の「お気持ち」を巡っても同様だ。国民に向けた天皇発言の事実を海外メディアがこぞって速報したことは伝えていたが、社説などで細かく論評されていることについてはほとんど書かれていない。実は、欧米メディアはこの天皇発言に極めて関心が高く、日本の右傾化や憲法改正問題と絡めて論じたものが少なくなかったのだ。
聖学院大教授(憲法・フランス法)の石川裕一郎氏のフェイスブックの書き込みが興味深い。
〈欧米メディアに共通するのは、この問題が日本の政治を大きく揺るがすものになりうるという視点である。単なる天皇個人、あるいは皇室のみの問題とは理解していない〉
〈もう一つ欧米メディアに共通するのは、「安倍首相VS天皇明仁」という基本的な視座の設定である。この点も日本のメディアとは全く違う〉
例えば仏ルモンドはこう報じたという。
〈筋金入りのナショナリストである安倍首相は天皇の退位希望表明によって苦しい立場に置かれた。皇室の制度改正の議論を始めることは、彼にとってより重要な憲法改正の先送りにつながりかねないということを知っている。実際、日本の政治階級の最も反動的な部分に支持されている安倍氏は、ここ数年来憲法、とりわけ国際関係において日本の武力行使を放棄した9条を改正したがっている〉
〈天皇明仁は、いかなる政治権力も公論に関与する権利も持たないにもかかわらず、権威主義的かつ帝国主義的な日本に郷愁を持つ者たちの一大野心を揺さぶり、さらには押しとどめることができるということを巧みに示したといえる〉
■平和主義で好意的VS好戦的で危険
あらためて石川裕一郎氏に聞いてみた。
「天皇の『お気持ち』の文章を当然政府は事前に確認しているわけで、天皇の国事行為は内閣の助言と承認を必要としますから、『お気持ち』も安倍政権の責任において発表していることになります。象徴天皇制ですから、その点で、安倍首相と天皇の両者に対立があってはならないという前提です。とはいえ、欧米では両者を対比する報じられ方がされている。加えて、あの『お気持ち』は『皇室典範を変えてほしい』と読み取れ、憲法違反ギリギリともいえます。紙面スペースの都合もあるのかもしれませんが、日本のメディアは、欧米メディアが踏み込んで報じていることやさまざまな議論があることについて、もっと読者に伝えてもいいのではないかと思います」
15日の全国戦没者追悼式。天皇は「過去を顧み、深い反省とともに、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願う」と「お言葉」を述べ、昨年に続き「深い反省」という表現があった。一方安倍は、今年も「反省」に言及することはなかった。
いまや海外メディアにとって、日本の天皇は「平和主義で好意的な人物」、かたや日本の首相は「好戦的で危険な人物」という位置づけだ。想像以上に海外は安倍政権への危機感を強め、「本気で平和憲法をかなぐり捨てるのか」と緊迫感をもって見つめている。
知らぬは日本国民だけ。連日、新聞やテレビを埋め尽くす五輪報道に能天気に浮かれている場合じゃないのである。
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