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【信じちゃダメ!】権力者は必ず国民を見捨てる。
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2016年8月14日 お役立ち情報の杜(もり)
敗色濃厚のフィリピン戦線では、作戦といえるようなものは無く、指揮命令系統も崩壊していた。国家から見捨てられた旧日本軍の兵隊たちには補給もなく、食料は現地で自力で調達するしかなかった。アメリカ軍の攻撃、過酷な自然環境、そして飢えに苦しみ正気を失っていく。
作家の大岡昇平氏が、自身の戦争体験を元に著した小説「野火」を学生時代に読んだことがあるが、餓死から逃れるために人肉を食らう様が衝撃的で、強く記憶に残っている。
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小説の映画版も最近見てみたが、末端の兵隊たちが戦場で苦しむ様子がよく描かれている。というよりも、描かれているのは、極限状態で苦しむ人間の姿だけである。
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小説も映画も事実を元に描かれているが、見ていて救われる場面が全く無い。戦後70年以上が経過して戦争体験者や語り部が少なくなり、戦争の悲惨さを後世に伝えることが課題だと言われているが、大岡昇平氏の著作はその意味でも貴重であると考える。
組織の末端で、戦場で苦しみ犠牲になった者たちの視点は確かである。国家権力は、美辞麗句を述べて徴兵し戦地に送り込むが、意思決定はいい加減・無責任で、状況が不利になれば末端の人間などは簡単に見捨てるのである。飢餓などで犬死させられても、国家権力者は責任を取ることがない。この本質は、戦後70年経過しても変わることが無い。
太平洋戦争における日本人の死者は、厚生労働省の推計によると約310万人である。そのうち、約240万人が海外で亡くなったが、帰還した遺骨は127万体に留まる。帰還した遺骨のうちの多くは戦友会や遺族などの民間活動によるものであり、政府事業によるものは約34万体に過ぎない。未収用の遺骨は約113万体にも及ぶ。これは、驚くべき事実ではないか?
写真(遺骨収集活動)出典:野口健氏のブログ
2016年8月11日付の現代ビジネス記事(下記リンク先)には、世界の地域別遺骨未収用数が示されている。
「113万体」世界に眠る戦没者の遺骨をどうするのかという、この国の宿題
引用:
「中国(23万)▽インド(1万)▽ミャンマー・タイ・マレーシアなど(4万6000)▽フィリピン(37万)▽インドネシア・北ボルネオ(2万5000)▽中部太平洋(17万)▽ビスマーク・ソロモン諸島(6万)▽ロシア・モンゴル(3万)▽北朝鮮など(5万)。」
自衛隊が常駐している東京都小笠原村硫黄島ですら、依然として1万体以上が放置されている。
意外に思うかもしれないが、遺骨収集は国家の責任で行うという根拠法が戦後70年近く存在していなかったのが大きな原因だ。歴代自民党政権は、遺骨収集に幕引きを図ることばかりに熱心であった。戦争で亡くなった人たちの遺骨を帰還させるための超党派議員立法「戦没者遺骨収集推進法案」が可決したのは、2016年3月24日である。2024年までに集中実施することになっているが、遅きに失したと言わざるを得ない。
上記の事実は、権力者は必ず国民を見捨てることを示している。美辞麗句を並べてダマし、生命財産を搾取することには熱心だが、結果には責任を取らないのである。日本の自国民に対してすら冷淡なのだから、侵略戦争で殺した千数百万人のアジア諸国民に無関心なのは当然である。搾取する側の政治権力者の背後には、財閥系企業(三井・三菱・住友・安田など)が存在し、暴利を貪っていたことも忘れてはならない。
権力者の棄民政策は、戦後、様々な分野で無数に繰り返されてきた。公害、薬害、原発事故・・・。権力者は何度でもダマし、何度でも失敗し、何度でも見捨てるのである。国民が無関心である限り、権力側の高笑いが止まることは無いだろう。
以上
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