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政権の安定を最優先して「不安定の種」を播いた安倍人事ー(田中良紹氏)
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4th Aug 2016 市村 悦延 · @hellotomhanks
安倍総理が「未来チャレンジ内閣」と名付ける第3次安倍再改造内閣がスタートした。
メディアは「安定性を最優先」と評価し、
安倍総理が経済重視を継続しながら「任期中の改憲」と「長期政権」を目指していると報じている。
「安定性最優先」とみられるのは主要人事の骨格に手を付けず、
安倍総理に近い人材を多く登用しているためだが、
フーテンはむしろ自民党が民主党政権を反面教師に「挙党一致」を最優先にしてきたのが、
この人事で崩れ始めたとみている。
この人事は「安定」ではなく「不安定」の種を播き、それが近い将来に花開く可能性を想像させるのである。
以前のブログでも書いたが安倍政権は微妙なバランスの上に成り立っている。
第1次政権以来の盟友である麻生副総理と、第2次政権以降の大番頭である菅官房長官との間に
抜き差しならない確執が生まれ、一方で党内で力を増した二階総務会長が無視できない存在となっている。
この三者はいずれも安倍総理を神輿に担ぎ、それを利用しながら自らの権力基盤を固め、
政権を裏から支配すべく虎視眈々としている。
安倍総理に対する国民の支持率が高いうちは支えるが、
支持率に変化が生ずれば態度を変える可能性もある。
一方、自民党総裁選で地方票では安倍総理を上回った石破地方創生担当大臣と、
保守本流を自認する宏池会の流れの岸田外務大臣は、
いずれも「ポスト安倍」を睨む存在で、そのため安倍総理は両者を閣内に取り込み、
また党の要である幹事長に自分とは思想的立場を異にする谷垣氏を配することで「挙党体制」を保ってきた。
これは民主党政権が政治的未熟さから「挙党体制」を構築することができず、
執行部と反執行部が常に対立を繰り返し瓦解したことを反面教師に、
主義主張の違いを表に出せば政権交代は容易に起こるとの危機感を全員が共有した結果である。
従って今回の人事でも安倍総理は自民党執行部をすべて留任させ、
「ポスト安倍」を睨む二人も閣内に取り込み、
主要閣僚の骨格を変えずに「目新しさ」より「安定感」を演出しようと考えていたはずだ。
ところが「安倍一強」とされる状況に変化が芽生えた。
参議院選挙でメディアは「改憲勢力3分の2超える」と国民に「安倍一強」を印象付けたが、
激戦区と言われ安倍総理が応援に入った11の選挙区で自民党候補は1勝しかできず、
安倍総理の神通力に疑問符がつけられた。
これは野党共闘が一定の効果を上げたせいでもあるが、
公明票が自民党候補ではなく野党候補に流れたという情報もある。
集団的自衛権行使容認までが協力の限界で、
改憲に前のめりになる安倍総理には協力できない姿勢を公明支持者が見せつけたというのである。
一方「改憲勢力3分の2超え」の報道を受け、
自民党内からも高村副総裁、谷垣幹事長から改憲に対する慎重論が出て、
フーテンは安倍政権を巡るバランスに変化が生まれたことを感じた。
そこに谷垣幹事長がケガで入院というアクシデントが起こる。
安倍総理の人事構想を揺るがす事故である。
安倍総理は谷垣氏の続投を諦めきれず本人と面会して説得しようと試みたが、
谷垣氏は面会を断り辞任に頑なだった。
政治家の病気ほど分からないものはないので断言はできないが、
ケガを口実に谷垣氏が安倍総理と距離を置いたとみることもできる。
これで人事構想の根幹が崩れる。
総理に次ぐ権力者である幹事長ポストを狙っていたのは
菅官房長官、岸田外務大臣、二階総務会長だが、
菅官房長官の起用には麻生副総理が絶対に反対で、
岸田外務大臣の起用には長期政権を狙う安倍総理自身が反対である。
そうした情勢を以前から察知して安倍総理の任期延長論を口にしていた二階氏に
幹事長ポストが回ることになった。
安倍総理としては政治技術の長けた二階氏に
総裁任期延長を実現してもらい2020年オリンピックを現職総理として迎えたいところだろう。
しかしフーテンの見るところ二階氏は中曽根総理を支えた金丸幹事長になる可能性がある。
つまり両刃の剣である。
かつて中曽根氏は総裁任期延長を実現するため衆参ダブル選挙に打って出て大勝するが、
開票日に選挙の功労者である金丸幹事長が突然辞任を表明して延長論に冷や水を浴びせ、
中曽根氏はわずか1年の続投しかできなかった。
かつて政界に君臨した田中角栄氏と戦い、かつ中曽根総理をも操った金丸氏を
二階氏は目指すのではないかというのがフーテンの見方である。
そして石破氏は今回の人事でついに閣外に出た。安倍総理に対抗する道を磨くことになる。
岸田氏は閣内に残るが、石破氏を意識しながらこれまでより「ポスト安倍」の立ち位置を鮮明にするだろう。
つまり自民党の「挙党体制」の終わりが始まったのだ。
そして「不安定」の芽はもう一つある。安倍総理は稲田朋美氏を防衛大臣に起用したが、
その背景には国内の右派勢力が安倍総理の姿勢に批判を強めている事情がある。
安倍総理は民主党政権を反面教師に米国政府に迎合することで政権基盤を強め、
そのため靖国参拝を自粛し、70年談話も慰安婦問題も米国政府に従った。いわば「調教」を受けた。
これに右派勢力は反発を強めている。
それを宥めるため右派政治家を後継者として育てる姿勢を見せなければならない。
そこで稲田防衛大臣が誕生するのだが、早速、靖国参拝が注目され、中国、韓国から批判されている。
しかし稲田防衛大臣は近隣諸国と摩擦を生むだけではない。米国政府と摩擦を起こす。
日米安保体制の一方の所管大臣が靖国を参拝すれば米国から非難されるのは間違いない。
おそらく稲田氏は年来の主張を変えざるを得なくなると思うが、
そうなれば国内の右派勢力の批判がこれまで以上に安倍政権に向けられる。
その批判を抑えるためか稲田氏以外の3人の女性閣僚は
いずれも靖国参拝を例年行っている議員から選ばれた。
国際社会から「アベノミクスは失敗」とみられ、
経済の舵取りに全力を挙げなければならない時に政権の安定を目指すのは当然なのだが、
今回の人事は「安定を最優先」して実は「不安定の種」を播いたとフーテンには見えるのである。
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