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株買い支えの無意味 黒田日銀が踏み込んだ悪魔の選択
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/186931
2016年8月2日 日刊ゲンダイ 文字お越し
イカサマ相場を維持しようと躍起(写真は黒田日銀総裁)/(C)日刊ゲンダイ
連日続いた嵐のようなテレビの「都知事選ショー」番組の裏で、亡国の経済政策がどんどん進行している。
先月29日の金融政策決定会合で、日銀が公表した追加の金融緩和策。ETF(株価指数連動型上場投資信託)の買い入れを現在の年3・3兆円から年6兆円に倍増させる――とてもじゃないが、中央銀行が打ち出すマトモな金融政策とは言えない。
〈物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する〉
国内唯一の中央銀行である日銀がホームページで掲げている理念だ。「セントラルバンク」と呼ばれる中央銀行は銀行券の独占発行権を有し、金融政策の運営にあたる。当然、政府機関から高い独立性が維持されなければならない。ところが、今の黒田日銀は、高い独立性どころか安倍政権の手足となって株価維持にせっせと励んでいる。
今回のETF購入額の増額なんて象徴的で、株価維持の目的以外に〈国民経済の健全な発展に資する〉意味はどこにもない。黒田日銀はなぜ、こんなバカげた緩和策を打ち出したのか。経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「日銀は、追加緩和に踏み切った理由に英国のEU離脱問題などによる海外経済の不透明感や国際金融市場の不安定さを挙げていますが、不安定どころか安定しているというのがマーケットの認識です。それなのになぜ、日銀が追加緩和したのかといえば、何らかの策を出さないと株価が大暴落するのが分かっていたから。今のマーケットは日銀の独立性など全く信じておらず、安倍政権の『金庫番』と見ている。
今回も麻生財務相が決定会合前に『(日銀に)引き続き最大限の努力を期待したい』などと発言したため、市場の期待はかなり膨らんでいました。黒田総裁はETF購入増の効果は期待薄と承知しつつも、やらざるを得なかったと思います」
最近の決定会合は、黒田総裁が何らかの「サプライズ」を演出して市場を円安・株高に誘導するのではないかとの期待感が広まり、前後に円相場や株価が乱高下する事態が常態化している。
今回は「期待外れ」として市場に失望感が広がったわけだが、よくよく考えると、「日銀の政策=株価」と捉えられている現況そのものが極めて異常と言っていい。
■「戦力の逐次投入は行わない」は大ウソ
あらためて振り返れば日銀が「異次元緩和」と称して「量的・質的金融緩和」に踏み切ったのが2013年4月。「アベノミクス第1の矢」として、「デフレ脱却」「2年間で2%の物価上昇」を目標に掲げ、国債を年60兆〜70兆円、ETFを年1兆円、REIT(不動産投資信託)を年300億円それぞれ買い入れることを決定した。黒田総裁は当時の会見で「戦力の逐次投入は行わない」「必要な政策は全て講じた」と胸を張ったが、わずか1年半後の14年10月には、国債買い入れ額を年80兆円に増やすことや、ETF、REITともに買い入れ規模を3倍に拡大することを公表。さらに今年1月には“禁じ手”とされるマイナス金利政策の導入を打ち出した。
「戦力の逐次投入は行わない」なんて嘘っぱちで、しょっちゅう戦力を「小出し」にしてきたのだが、肝心の「2%の物価上昇」の達成は3年3カ月経っても実現せず、直近の消費者物価指数(6月、生鮮食品を除く)も前年同月比0・5%下落し、4カ月連続マイナスとなった。もはや異次元緩和は誰の目から見ても失敗なのに、いまだに“株価連動内閣”といわれる安倍政権を買い支え、イカサマ相場を維持しようと躍起になっている。これが今の黒田日銀なのだ。
「物価や経済の安定を重視するという本来の日銀の役割を忘れ、株価重視の政府に唯々諾々と従っている。このまま政府と一体となって突き進めば恐ろしい状況になります」(前出の斎藤満氏)
国民生活がズタズタになる(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ
万策尽きてバブルを招く悪魔の選択にすがる
〈政府の取り組みと相乗的な効果を発揮する〉
今回の追加策で、こう声明を公表した黒田日銀。「相乗的」なんて言葉でゴマカしているが、要するにこれまで以上に安倍政権と日銀がタッグを組んで突っ走る――と宣言したのに等しい。
しかし、すでに万策が尽きたとみられる中で、果たしてアベクロ・コンビが打つ手はあるのか。
埼玉大名誉教授で経済学博士の鎌倉孝夫氏はこう言う。
「金融緩和策をいくら繰り返しても2%の物価上昇は達成せず、今の手法の限界を露呈しています。すでに日銀が買い入れた国債保有残高は約380兆円と国債発行残高の4割にも達しており、これ以上、国債の買い入れ額を増やすのは難しいでしょう。となれば、あってはならない最悪の事態ですが、考えられる策はバラマキしかない。いわゆる『ヘリコプターマネー』(ヘリマネ)に向かうと考えられます」
ヘリマネとは一言で言えば、中央銀行が通貨、紙幣をバンバン刷って政府の財源を賄うことだ。財政法で原則禁止された、政府の借金を中央銀行が直接肩代わりする「財政ファイナンス」と言っていい。貨幣の流通量が増えれば、当然、通貨価値が下落するため円安になり、物価高につながる。しかし、ヘリマネは資産バブルや急激なインフレ(物価上昇)を招く“悪魔の選択”だ。
■やるべきことは異次元緩和の軌道修正
1969年に論文でヘリマネを発表した米国の経済学者ミルトン・フリードマンも「所得増を伴わないマネーの増加は、悪性インフレを通して社会に災いをもたらす」と警告している。前出の斎藤満氏も「国民は『タダでカネがもらえればいい』とヘリマネを安易に考えがちですが、とんでもない」と言い、こう続ける。
「財政需要と貨幣価値の大幅低下でハイパーインフレが起き、国民の実質所得、実質資産は大きく目減りします。つまり、『インフレ大増税』となって国民生活に跳ね返ってくるのです。戦時中も日銀が戦費調達のために国債の引き受けを行った結果、戦後に家計の貯蓄を紙くずにして生活を破壊しました。黒田日銀は9月の次回会合で、緩和策の『見直し』を示唆し、政府と組んで危険なバクチに出ようとしているように見えます。政府が需要をつくり、日銀がマネーを供給する“連携”は広義のヘリコプターマネーになる。大変な一歩を踏み出すことになります」
すでに出口戦略が見えない中で国債の“爆買い”を続けている日銀は事実上の「ヘリマネ状態」にあると言っていい。アベクロ・コンビのこれ以上の悪辣を許せば国民生活の破滅は必至だ。
「今やるべきことは一刻も早く『異次元緩和』を総括し、軌道修正を図ること。さらに『ふかす』なんてとんでもありません。国民生活は取り返しのつかない状況に追い込まれます」(前出の鎌倉孝夫氏)
こんな暴挙が許されていいわけがないが、大メディアは沈黙だから怖くなる。
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