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慰安婦問題でベタ降りした安倍政権が教えてくれる事
http://xn--gmq27weklgmp.com/2016/07/29/post-5041/
29Jul2016 天木直人のブログ
少女像の撤去がなされないまま、安倍首相は政府予算から10億円の拠出をする方針を決めたという。
これは慰安婦問題で安倍首相がベタ降りしたということだ。
それをいまごろになって話が違うと怒る右翼は愚かだ。安倍首相はすでに昨年12月28日に突如発表された日韓合意でベタ降りしていたのだ。
その事を菅官房長官がきのう7月28日の記者会見で見事に白状した。
すなわち日韓合意について「日韓両政府が責任を持って実施する事が重要だ」と語った。
これだけでは、国民は何の事かわからないに違いない。
それを、安倍政権の代弁メディアの読売新聞がきょう7月29日の紙面で次のように解説してくれている。
「・・・日本政府が早期の10億円拠出に踏み切る最大の理由は、昨年12月の日韓合意の文言にある。合意には、日本政府の予算から財団への10億円拠出を確認すると同時に、少女像の問題は韓国側が『適切に解決されるよう努力する』と盛り込まれている。合意は少女像の撤去まで約束したものではなく、資金拠出時期との関連も示されていない
(日本政府高官)こともあり、資金拠出が遅れれば『日本側が合意を破棄した』との口実を韓国側に与えかねない・・・」
しかし、日韓合意と言っても、我々はその全貌を知らされていない。
日韓合意は、歴史の検証に耐えられる、まとまった公文書ではなかった。
これが日韓合意だという公式な成文はない。
当時の日韓両外相の共同記者会見の言葉であるとか、両政府の説明であるとかの合わせ技のようなものだった。
だから本当の事は誰も分からないのだ。
米国政府と、日韓両国のごく一部の者しか知らないのだ。
稲田朋美をはじめとした安倍政権のタカ派は、少女像撤去もされないまま政府予算で拠出する事は認められとないと怒っている。
当然だ。
しかし、安倍首相は、これら「身内」までも欺いて、日韓不可逆合意を急いだのだ。
もちろんその背後には米国の強い圧力があった。
安倍首相は、賠償問題は決着済みだという建前を維持すると言いながら、政府予算を出す事を決め、少女像に撤去がなくても政府予算を拠出する事を認めていた、つまり昨年12月28日にベタ降りしていたのだ。
こんな事は安倍政権の中でも知らされておらず、ましてや国民はまったく知らない。
これは象徴的だ。
およそ米国の圧力によって合意させられるものは、ことごとく密約である。
あの安保条約がそうだった。
後に首相になった中曽根議員は若かりし頃吉田茂に国会で密約だと噛みついた。
その中曽根議員がまさにロッキード事件で米国と密約して田中角栄を追い落とし、みずからを守ったのだ。
あのロッキード贈収賄事件の本丸はP3C戦闘機の売り込みだったことはもはや明らかだ。
田中内閣の直前まで防衛庁長官をやっていた中曽根氏が知らないはずがない。
そして、クリーンを売り物にしたバルカン政治家三木武夫は検察に命じ、米国司法と取引して田中角栄逮捕に踏み切ったに違いない。
これも政治の浄化と言うよりは、弱小政治家三木の権力欲のなせるしわざだ。
これを要するに、日本の政治家たちは、権力争いと保身を優先し、仲間や国民を裏切ってまで米国に従属してきたということだ。
対米従属を引き受けてくれる政治家であれば、犯罪者であろうが気にくわない奴であろうが、それを助けて米国の国益に役立たせ、じゃまになったら切り捨てる、というのが、いまも昔も変わらない米国のやり方だ。
慰安婦問題のベタ降りが教えてくれるもの。
それは安倍首相が、自らの保身の為に、国民を裏切り、同僚議員さえも欺いて、米国と密約を繰り返す姿である。
それでも慰安婦問題が正しく解決するなら私は歓迎すると書いた。
どうやら韓国内部の動きを見ていると、それもかなわないようだ。
対米従属は一時的にはうまく行っても、必ず最後は関係者を不幸にさせる。
これもまた歴史が教えてくれる厳然たる事実である(了)
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