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民進党・岡田代表に期待する辞任という「最後の一仕事」
http://diamond.jp/articles/-/96031
2016年7月20日 山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員] ダイヤモンド・オンライン
■参院選は惨敗、都知事選は準備不足
参院選が終わって、政治の関心は都知事選に移った。今回の都知事選は、もともと首都東京の顔としての都知事の存在感の大きさに加えて、2020年の東京オリンピックの準備を遂行する知事としての重みもあり、格別に注目される。
さて、気持ちは都知事選に向かいつつも、終わった参議院選挙の結果を整理しておく必要があろう。今回の参院選は、与党二党が改選議席から勢力を伸ばしており、野党が阻止を掲げた「改憲勢力による三分の二」獲得がなされたことを考えると、与党の勝利であり、野党側の敗北と捉えるべきだ。
民進党の岡田克也代表は、大惨敗した前回参院選の獲得議席数よりも改善していることをもって、今回の結果を「善戦」と捉えているように見受けるが、これは全く不適当だ。
現在、都知事選の真っ最中なので、今、辞任を表明すべきだとは思わないが、都知事選後の遠くない時期に、岡田氏は民進党の代表を辞任すべきだと筆者は考えている。
また、率直に言って、都知事選に対する対応もまずい。過去数ヵ月の動きを見ると、舛添前知事が長くは保たないことは、彼を攻める側にいた民進党としても十分分かっていただろうし、知事が辞任してからも、最大野党である民進党は候補者選びを主導すべきだった。結局、石田純一氏、古賀茂明氏などの名前が上がったものの、最後に手を上げた鳥越俊太郎氏が、おそらくは彼の高い知名度と、「是非とも自分がやりたい」という個人的な意志の強さが評価されて野党側の候補となった。
しかし、選挙戦が始まってからの評判がいいとは言えない。いかに短期間に決まったとしても政策的な準備が乏しく、記者会見や演説の際に失点を重ねている。また、そもそも高齢であることと健康状態の問題から、十分な選挙戦が行えるかどうかも危ぶまれている。いずれも推薦の主体となる党が、事前にチェックすべき問題だし、不足有りと見た場合にはこれをカバーすべき問題だ。
つまり、二つの重要な選挙で、民進党は十分機能していない。
本連載で何度も書いているように、筆者は、野党が与党にとって十分な脅威となるような実力(議員数でも、政策の内容でも)を備えた存在であることが、日本の政治の健全性にとって是非とも必要なことだと感じている。
そのために、現在の最大野党・民進党の党首である岡田氏に、辞任プラス・アルファの貢献を期待したい。
■辞任することのプラス面
岡田代表が辞任することのプラス面は大きく言って二つある。
一つには、野党、特に最大勢力である民進党にとって、国政選挙の際に、与党に脅威を感じさせない獲得議席数は敗北なのだという線引きを明確に行うことの意義だ。
企業で言うと、業績を悪化させた経営者、あるいは業績の回復を目指しつつも自らが掲げた目標に遙かに届かない結果に終わった経営者が、「経営責任」を取って辞任することは、組織が停滞しないために必要なことだ。「経営を立て直すまで頑張ることが私の責任だ」などと言って居座る経営者がいると、社員の志気は大いに下がる。
本連載の前々回(http://diamond.jp/articles/-/94536)に書いたが、参院選での民進党の根本的な敗因は、理解が不正確なまま「アベノミクスの可否」という与党側が提示した争点に乗せられてしまったことであり、また、その論戦が有権者に民主党政権時代の経済政策を思い起こさせたことだ。民進党執行部の作戦ミスであり、十分引責辞任に値する。
また、現実問題として、何よりも大事なことは、「民進党は変わった」という印象を、代表者の交代を通じて、有権者に伝えることだ。実際に変わるのでなければならないことはもちろんだが、それだけでは足りない。党首は党の顔だ。政党の候補者というビジネスで言うなら言わば商品にとって、商品名の一部でもあり、包装紙でもあるというくらいの重要性を持っている。
安倍政権の内閣支持率にとって、現在も最大の資産は有権者が持つ「民主党政権時代の悪い記憶」だろう。有権者から見て、民主党政権時代に要職にあり、長く民主党の幹部を務めてきた実力者である岡田氏には民主党政権の臭いが染みついている。
率直に言って、過去の民主党の党首経験者は次の党首には不適当だ。枝野幹事長や細野剛志氏も「あの頃」を思い起こさせる。
なお、筆者は、岡田氏自身も含めて、過去に要職にあった方々が、未来永劫代表に就いてはならないと言いたい訳ではない。人によっては、将来、要職に再登場する機会があっていい。しかし、今は、半歩下がって「党の顔」となることを遠慮すべきではないか。
■「期待の人材」のサプライズが欲しい
一政治家にとっては間違いなく痛手である党代表の辞任に加えて、岡田氏に何を願うかといえば、清新なイメージを持つ新しい党の顔の推挙だ。「自分は、代表から身を引く。しかし、我が党には彼(彼女)のような有能な人材がおり、私は一歩下がった立場から、彼(彼女)をサポートしたい」といった趣旨の下に、真に有能で、かつクリーンで、有権者にフレッシュな印象と党を変えるのではないかという期待感を持たせるような人物を抜擢し、岡田氏が持つ党内勢力を後ろ盾として使ってその人物をサポートしてほしい。
原理原則に忠実な岡田氏としては、秋に予定されている代表選挙に、個々の議員がそれぞれの判断で臨むことが正道だと考えていそうに思われる。しかし、そもそも、今の民進党の党内力学では、積極的な担い手がいなかったから岡田氏が代表の職にある党の現状を考えてみてほしい。次世代のホープとなり得る人材を強く推してみるのは、現トップに可能な大きな貢献の一つではないだろうか。フレッシュな印象のサプライズ効果があって、党の代表を担えるくらいの能力を持った人材は、党内に何人かいるのではないか。
もちろん、人選は岡田氏の眼鏡にかなった人ということになるが、民進党が政権交代を目指す以上、衆院に議席を持っている方がいいだろう。
筆者が個人的に推薦するのは、例えば、元ニセコ町長でニセコを発展させ、先般の参院選では北海道選挙区で民進党に二議席目をもたらした鉢路氏を応援した逢坂誠二氏は魅力的だ。また、旧維新の党からの合流した方だが、もともとは民主党にいて民主党政権時代に消費増税の閣議決定に抗議して党を離れた木内孝胤氏は、経済に詳しく政策的に筋が通っているし、若くてバイタリティがあっていい。
岡田氏が進めた共産党との野党共闘は、一部に「共産党アレルギー」の持ち主からの批判があるが、与党にとっては潜在的な脅威になり得る新機軸だったと筆者は評価している。共産党とは、政策ベースで連携できる部分を連携すればいい。選挙で明らかに不利な死票を出して負けるのは愚かだ。今回の構想を今後につなげるためにも、岡田代表には、党代表の辞任と若手の抜擢の二つを期待したい。
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