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「憲法改正は、まず『入門編』から」安倍政権の改憲戦略を予測する
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49206
2016年07月19日(火) 田崎 史郎「ニュースの深層」 現代ビジネス
憲法改正を認める自民、公明両党、おおさか維新の会、日本のこころを大切する党の4党の議席が参院でも非改選を含め3分の2を占めたことによって、憲法改正がいよいよ現実味を帯びてきた。
だが、4党はどこをどう改正するかで一致していない。一方、反対しているかに見える民進党も旧民主党時代の2005年10月末、憲法調査会で「憲法提言」をまとめており、憲法改正を否定しているわけではない。
ならば、参院選後の最大の政治課題である憲法改正論議は今後どのように進み、安倍官邸はどの条項の改正を目指しているのか。
■目的は「レガシー」作り
首相・安倍晋三は安全保障法制を論議している最中の昨年6月、次のように語り、憲法改正に慎重だった。
「憲法改正は2代、3代あと、次の次の世代じゃないですか。橋下さんが言っていたけど、何百回も住民に対する説明会をやっても、あの結果だった。大阪都構想の住民投票は、憲法に関する国民投票のモデルケースだった。私がやるとしたら、辞める直前ぐらいですよ」
このころ、昨年5月の「大阪都構想」をめぐる住民投票で否決された直後だったせいか、憲法改正への熱意は冷めていた。しかし、今回は先月23日の英国での国民投票で欧州連合(EU)からの離脱が多数を占めた後も、安倍は意欲的だ。これは安保法制をめぐる混乱が沈静化したこと、自民党則を順守するなら18年9月に総裁を辞めなければならないことから、政権の「レガシー」(遺産)づくりに入ったからだろう。
ならば、どの条項を改正しようとしているのか。まず、衆院解散後に緊急事態が起こった場合に、衆院選を中断し、暫定的に前職議員の任期を延長するか選挙期日を変更することだ。
■「お試し」と批判を招いても
11年3月11日、東日本大震災が起こった時、4月に統一地方選を控え、選挙を行うことが困難な被災地で首長、議員の任期と選挙日程を延長・延期できるようにした。しかし、大震災などによって国政選挙を行うことが不可能になった場合の規定はなく、現行憲法では予定通り行うほかない。
憲法は54条で「衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行う」と規定しているからだ。この条項に基づき、政府は野田内閣当時の11年11月、自民党衆院議員の質問主意書に対する答弁書で次のように答えている。
「法律を制定することにより、『国政選挙の選挙期日を延期するとともに、国会議員の任期を延長すること』はできないものと考える」
このことを知らない人が多い。地方の首長、議員でできるのだから、国会議員も当然できると考えがちだ。しかし、国政選挙の選挙期日の変更や国会議員の任期を延長するには憲法を改正するほかないのである。
緊急事態という言葉を聞いて、戦争、大震災の場合に政府の権限を強化することだと連想しがちだ。これは、自民党が野党時代の11年12月に決めた「日本国憲法改正草案」に原因がある。この草案だと、緊急事態の章で次のように書かれている。
「内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律に定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる」
この草案では、政府の権限が拡大されることが懸念され、国民の理解も各党の理解も得られまい。憲法論議を進めるためには、自民党はまず、この草案を棚上げすることが必要だろう。政府高官はこう語る。
「国民の大半がそうだな、必要だなと思うところから入っていく。憲法改正の『入門編』をやっていくということだ」
この方針は「お試し改憲」という批判を招くかもしれない。しかし、これほど大地震が多いと、憲法で大震災に備えて選挙期日の変更、議員の任期延長を定めておくとしたら理解を得やすいのではないか。
■憲法の空白を埋める
憲法改正のもう一つの論点は、先の参院選で実施した合区だ。島根と鳥取、徳島と高知を合区した。しかし、候補者を出せなかった鳥取、高知県民の間では不満が渦巻き、島根を除く3県で投票率が過去最低を記録した。次に合区の対象となるのは石川と福井県で、おそらく参院選のたびに合区が増えていくとみられている。
日本の政治制度は都道府県単位で成り立っている。有権者が投票したくなくなるような制度を放置するのはいかがなものか。これも憲法を改正しないとできない。憲法で「法の下での平等」をうたい、@両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織するA(議員、選挙人の資格は)人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない−と規定されているからだ。
この2点は、各政党の対立を超えて憲法の空白を埋める喫緊の課題だろう。安倍は参院選後、11日の記者会見で「どの条文をどう変えるべきか。(衆参の) 憲法審査会でまずは真剣に議論していくべきではないか。議論が進み、成熟し、収れんしていくことが期待される」と述べた。
安倍政権下での改憲を拒否してきた民進党代表・岡田克也も14日の記者会見で、条件付きながら「私は9条改正は必要ないと明言しているが、それ以外は、なるほどと思えるものが出てくれば議論することはないわけではない」と述べた。
安倍および自民党が憲法9条の改正を考えていないことを明確にして、衆参両院の憲法審査会で冷静に議論すれば、18年に国会が発議して国民投票にかけることができるのではないか。(敬称略)
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