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当選を決め、喜ぶ伊波洋一氏(中央)と翁長雄志・沖縄県知事(左から2人目)。大幅な基地の整理縮小を訴えた伊波氏が自民党現職に大差をつけて初当選した (c)朝日新聞社
沖縄と東北で現職閣僚落選は何を意味するのか〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160715-00000295-sasahi-pol
AERA 2016年7月25日号
与党が大勝した参院選。だが、沖縄選挙区と福島選挙区では安倍政権の現職閣僚が落選、被災地を含む東北でも野党統一候補が勝利した。異相の背景を探る。
全国の選挙区で最も速い「当確」だった。
参院選の投票が締め切られた7月10日午後8時。マスコミ各社は、沖縄選挙区で野党統一候補の伊波洋一氏の「当確」を競うように流した。改選数1の同区ではこの瞬間、自民公認の沖縄北方担当相、島尻安伊子氏の落選が確実になった。
初当選を決めた伊波氏が真っ先に握手を交わしたのは、傍らの翁長雄志知事だった。伊波氏の選対本部筆頭共同代表を務めた翁長知事は、余裕の口ぶりでこう強調した。
「沖縄県民の良識の勝利だ」
●許さなかった争点回避
沖縄選挙区は最終的に、伊波氏が35万6355票を集めたのに対し、島尻氏は24万9955票。10万6400票という大差だった。これにより、自民は沖縄の衆参選挙区で唯一の議席を失った。
沖縄の政治アナリスト、比嘉良彦氏は伊波氏の勝因について、「安倍政権と翁長県政の代理戦争の側面が県民に明白」だった点を挙げる。
島尻氏は選挙中、基地問題にはほとんど触れず、沖縄の振興策や県民所得の向上を訴えた。それでも沖縄の有権者は、両候補の明確な政策の違いである「辺野古」を争点回避することを許さなかった。
その背景について、比嘉氏はこう指摘する。
「両候補は、沖縄では辺野古新基地建設の推進と反対の象徴的人物として知られています」
伊波氏は普天間飛行場を抱える宜野湾市の市長時代から、辺野古新基地建設に反対し、県内移設なき普天間返還は可能だと訴えてきた「筋金入りの辺野古反対論者」だ。
一方の島尻氏は、沖縄の有権者には辺野古新基地建設を強行する安倍政権の操り人形のようにしか映らなかった。
それにはこんな経緯がある。
2010年7月の2期目の参院選で島尻氏は普天間の県外移設を掲げて当選。「国会で県外・国外移設を求めて頑張りたい」と唱えていた。
ところが、第2次安倍内閣が発足すると、態度を豹変させる。13年4月の参院予算委員会で「沖縄の取るべき道は、間違いなく日米合意の道だ」と表明。沖縄で「県外」を掲げて当選した自民党国会議員5人の先陣を切る形で公約をかなぐり捨て、辺野古推進に邁進する。
「しっかり向き合って」
14年2月の参院予算委員会では、「危険な行為には先んじて対策を打つことが必要だ」などと述べ、辺野古の反対運動を事前に抑え込むべきだと政府に対応強化を求める一幕もあった。
島尻氏はこうした「実績」が評価され、昨年10月の第3次安倍政権の内閣改造で沖縄北方担当相に就任した。
衆参の沖縄選挙区選挙では09年以降、辺野古容認を打ち出す候補者の当選は皆無だ。地元の民意よりも、政権に取り入ることを優先した島尻氏への風圧が強まるのは必然だった。
参院選から一夜明けた11日早朝、政府は「伊波勝利」の余韻に浸る沖縄社会に冷や水を浴びせた。
沖縄防衛局が沖縄本島北部にある米海兵隊北部訓練場のヘリコプター着陸帯建設のため、資機材を基地内に搬入したのだ。地元住民らの根強い反対で停滞している懸案の工事である。
翁長知事は同日夜、記者会見し「用意周到にこの日を待っていたというのが見え見えで、到底容認できない」と批判した。
沖縄以外の地域ではほとんど報じられていないこうした動きを捉え、
「翁長知事が反発するのは当然」
と語るのは東京大学大学院教授で哲学者の高橋哲哉氏だ。
米軍属事件に抗議する6月19日の県民大会。登壇した大学生の玉城愛さんは「安倍晋三さん、日本本土にお住まいの皆さん。今回の事件の第二の加害者は誰ですか? あなたたちです。しっかり沖縄に向き合っていただけませんか」と訴えた。高橋氏はこの場面を心に刻み、こう確信した。
「本土のわれわれからすると非常にきつい言葉ですが、沖縄の人々の感覚からすれば、やはりこの言葉が当を得ているんだと思います」
●本土の有権者の責任
基地問題に関する政府対応に、沖縄の人々が怒りをあらわにする状況が重ねて報じられる中でなお、安倍政権を選挙で大勝させる。その当事者はほかでもない、本土の有権者だ。高橋氏はきっぱり言う。
「これまで沖縄に基地を集中させる政治体制を支えてきた責任は、本土の有権者の側にあるのです」
今回の参院選で、現政権に異議を申し立てる民意を示したのは沖縄だけではない。
東北6選挙区は、与党が東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島の3県を落とすなど、1勝5敗の惨敗を喫した。特に注目されるのは、東京電力福島第一原発事故の影響が続く福島選挙区(改選数1)の現職閣僚の岩城光英法相が、野党統一候補で民進党の増子輝彦氏に僅差で敗れたことだ。
ただ、地域別の得票率を見ると、複雑な内実も浮かぶ。岩城氏は沿岸部の全自治体で優勢だった。原発事故の被害を最も受けた双葉郡では内陸部も岩城氏が制し、川内村ではほぼダブルスコアで引き離した。
世代別では、岩城氏は10〜50代の全世代を制した一方、増子氏が上回ったのは60代、70代のみだった。
こうしたデータを示した立命館大学衣笠総合研究機構准教授の開沼博氏は、
「『復興に一定のめどがついた地域』と『高齢者』が、現職大臣の落選に影響を与えたことが見えてきます」
と指摘する。
岩城氏は12日の閣議後の記者会見で、参院選の野党共闘について「安倍政権を打倒するという意味での野党共闘だった。福島に限って言えばそれなりの成果をあげた」と振り返った。前出の高橋氏はこう話す。
「沖縄、福島両県は、国の政策によって今、最も厳しい状況に置かれた地域です。そうした地域で現職閣僚が落選したことは、安倍政権の政治に対する根本的な批判を明示しています」
参院選と同じ10日に投開票された鹿児島県知事選でも、脱原発を唱えた野党系候補が自民、公明両党の支援を得た現職を破り、初当選を果たした。
アベノミクスの恩恵を実感できない農村部は、TPPへの反発も根強い。地方では従来の保守層の液状化も浮かぶ。与党批判の受け皿にとどまらない、信頼に足る対案を打ち出せる野党勢力の確立が急務だ。(編集部・渡辺豪)
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