http://www.asyura2.com/16/senkyo209/msg/659.html
Tweet |
【 自民党一党支配がもたらす危険な未来 】
http://kobajun.chips.jp/?p=28508
星の金貨プロジェクト
現在の日本経済の不振が景気循環論による単純なものでないことを、就任4年目にしてやっと理解できた安倍首相
選挙中『本格的構造改革』を約束した安倍首相、選挙後実際に指示したのはまたもや借金が元手のバラマキ『景気刺激』策
アベノミクスがどんな効果も発揮できなかったにもかかわらず、野党の批判が空振りに終わった理由は?
エコノミスト 7月11日
7月に実施された参議院議員選挙の結果を見た安倍首相は満足そうに微笑みました。
『ついにやったぞ?』
今回の選挙の投票率は明らかに低いものでした。
しかし2012年に自民党が政権の座に返り咲き、安倍氏が首相に就任して以降、今回の選挙結果は3度目の決定的な勝利になりました。
しかもそれはガタガタとうまく進まない日本経済、そして安倍首相が平和憲法を書き換えるという宿願を抱いていることに国民が懸念を抱いている中での勝利でした。
自民党と連立与党の公明党は、121議席中70議席をやすやすと手に入れました。
その結果連立与党が手に入れたものは、参議院における絶対多数の議席だけではありません。
安部首相にとってもっと重要なことは、今回の勝利により平和憲法によって戦争行為について厳しく制限されている日本を解き放つため、議会内の小規模な右翼政党と連携することにより、衆議院と参議院の両院において3分の2の絶対多数を制することが出来たという事実です。
これによって安倍首相は、制度的に宿願としてきた憲法の改定を国民に問うための手続きの実行が可能になりました。
日本国憲法は制定以来、これまで一度も改訂されたことはありません。
安倍首相自身の発言によれば、目下の政権の最大の課題は不振をかこつ経済の復活にあります。
これまで3年間、ことあるごとに金融緩和策と景気刺激策を組み合わせた彼の経済政策『アベノミクス』の宣伝が繰り返されてきました。
しかし現実の景況感は一向に回復せず、労働者の賃金は – 選り好みさえしなければ職を見つけることは難しくは無いにしても - 上がる気配がありません。
そして消費支出も相変わらず伸び悩んでいます。
経済顧問たちはここに来て安倍首相は、今日の日本の経済不振が景気循環説に基づく単純なものではないことをやっと理解したと語りました。
そして縮小を続ける人口規模と固定化され柔軟性の無い雇用形態、すなわち終身雇用によって手厚い保護を受けている正社員と低い賃金と貧弱な保障に甘んじなければならない非正規雇用の労働者という労働市場の二重構造こそが、本質的な問題であるという事実に目覚めたというのです。
すでに予定されていた消費税の引き上げは延期されましたが、安倍首相は財務省に対し、この秋の『緊急補正予算』として約10兆円規模の財政刺激策を立案するよう指示しました。
その金額は日本のGDPの約2%に等しい金額ですが、その費用はすべて負債額がすでにGDPの250%を超えてしまっている国債によって賄われることになります。
しかし秋の国会で本当に検討されなければならないのは、不平等なままの日本の労働市場を真正面から改革する立法措置であるという指摘があります。
こうした本質的な政治改革は、これまで安倍政権とは無縁のものでした。
アベノミクスが一般市民の生活を改善することに何の効果も無かった割には、今回の選挙において野党側が政権与党に決定的な一撃を加えることが出来なかったことは注目すべき結果でした。
実際、野党第一党の民主党は12議席を失いました。
可能性として英国のEU離脱問題の混乱ですら、安倍政権が選挙中訴えた『安定』を有権者が選択することに有利に作用しました。
そしてそれ以上に問題だったのが民進党党首の岡田克也氏でした。
どんなに党首としてのふさわしい資質を持っているにせよ、彼にはカリスマ性が欠けています。
日本共産党を含む主張の異なる野党3党と候補者調整を行った戦術も、結局かつての支持者の一部の心を離れさせることになりました。
さらには自民党の経済政策に対抗し得る、民進党独自の経済再生プランを提示できなかった事も敗因の一つとなりました。
そして最後に、憲法改定に反対するというテーマを参議院議員選挙の争点としてほぼ1点に絞って設定したことも、大きな敗因となったかもしれません。
中国の軍事的台頭が続き、北朝鮮の核開発問題が深刻化する中、憲法の見直しの必要性を考え始めていた一定数の民進党の幹部議員の心理状態を微妙なものにしました。
岡田氏が党首を続行する意思を持っているかどうかは不明です。
選挙期間中、安倍首相は憲法改定についてほとんど取り上げないというずる賢さを見せました。
公共放送であるNHKによる調査は、回答者のわずか11%だけが目の前の生活に関わるような問題よりも、憲法問題が最大の懸念であると答えたことを明らかにしました。
1947年に公布制定された日本国憲法、中でも紛争解決手段としての戦争を放棄し、軍隊の常設を禁止する第9条は、多くの自民党議員にとっては、第二次世界大戦(太平洋戦争)に敗北し、アメリカの占領を受けていた時代の屈辱的な遺産です。
安倍首相にとって、憲法を改正することは生涯をかけた強迫観念です。
安倍首相は国会の夏期休会中に、憲法改定の選択肢について、党派を超えて議論する場を設けるよう求めました。
しかし政治顧問は、安倍首相は早期に憲法を改定しようとは考えてはおらず、理由としてEU離脱に関する英国の国民投票が安倍首相に厳しい教訓を与えたと語ります。
国民投票の結果、国が二分され、さらには誤った結論を導き出した可能性があるというものです。
また仏教徒であり名目上平和主義を掲げる公明党を含む一群の日本の政治家たちは、憲法を改定するとして何をどう変えるのかについてのコンセンサスはまだ無いと考えています。
憲法第9条の改定を懸念する人々がいる一方、基本的人権の制限や憲法改定手続きを簡略化する動きに対し、より警戒を強める人々もいます。
公明党の山口那津男党首は個人的見解であるとした上で、いち早く憲法第9条の改定に反対する立場を表明しました。
こうした背景から、直ちに憲法を変える動きが具体化することは無いと考えられます。
それだけに尚の事、安倍首相が選挙後問われなければならないのは、たとえ構造改革に対する既得権勢力の抵抗があっても、日本の雇用格差の改革を実行するのか、という事でしょう。
問題は安倍首相ははるか以前に解決することを約束していたにもかかわらず、未だ実行されていないということなのです。
http://www.economist.com/news/asia/21701960-upper-house-election-japan-goes-emphatically-favour-shinzo-abe-diet-control?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227
+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +
この訳文について、安倍首相に関する表現『ずる賢い(craftily)』も『強迫観念(obsession)』もすべて原文中にあるもので、私が何かを誇張した訳ではありません。
前回の選挙の際も、ガーディアン→ニューヨークタイムズ→エコノミストという準で記事を翻訳した記憶がありますが、前回同様エコノミストの指摘が最も鋭いと感じました。
それにしても、「ここに来て安倍首相は、今日の日本の経済不振が景気循環説に基づく単純なものではないことをやっと理解した」などいう一文はエコノミストでないと書けません。
「そこまでなのか?」と思ってしまいますが、その政治支配が強力になりつつある日本で暮らす身となれば、笑ってもいられません。
+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK209掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。