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バラマキに転じたアベノミクス 10兆円経済対策の怪しさ
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/185795
2016年7月15日 日刊ゲンダイ 文字お越し
ASEMサミットに出席する安倍首相(C)AP
選挙前から言われていた通り、今年度の第2次補正予算は10兆円規模になる見込みだという。安倍首相が12日、石原経済再生担当相らに策定を指示した10兆円の経済対策。都知事選の報道に隠れて、あまり話題になっていないが、その中身があまりにひどい。「未来への投資」をうたいながら、港湾整備、整備新幹線、リニア新幹線などロコツな公共事業バラマキのオンパレードだからだ。
安倍は参院選前の会見で、「消費税10%への引き上げを延期する以上、社会保障の充実策すべてを実行することはできない」なんて言って、しれっと福祉を切り捨てた。「増税延期で財源がない」と言いながら、土建屋にバラまくためには、10兆円ものカネをどこからか用意してくる。この政権がどこを向いているのか、よく分かる。
参院選が終わった途端、「応援サンキュー」とばかりに、大型クルーズ船が寄港できる港の整備などを名目に、公共投資でゼネコンにカネを落とす。そこには、「また献金ヨロシク」の意味もある。政財癒着が白昼堂々、まかり通っているわけだ。
「安倍政権は、これまでも高度経済成長期のような公共事業バラマキに予算を回してきましたが、こういう古典的な手法に景気浮揚効果がないことは、もはや明らかです。現在、土木関係での人手不足は約80万人に上るといわれている。何兆円とつぎ込んでも、土木建設をする人手が足らなければ、“真水”の資金は無駄にブタ積みされるだけで、事業効果は得られない。そのうち、なんだかよく分からないことに転用されていくのがオチです。案外それが最初から狙いなのかもしれませんが、10兆円の予算を組めるなら、もっと未来につながることに投資すべきです。例えば待機児童をゼロにする、介護報酬を大幅増額する、国立大学の学費を無料にする、私立大生への奨学金を贈与型にするなど、10兆円もあれば、やれることはたくさんある。それこそが『未来への投資』ではないでしょうか」(シグマ・キャピタルのチーフエコノミスト、田代秀敏氏)
■オトモダチ企業に巨額予算
安倍の経済対策の柱は「1億総活躍」の関連施策、リニアなど「21世紀型のインフラ整備」、英国のEU離脱で金融市場が不安定化したことへの対策としての「中小企業や海外進出企業の支援」、熊本地震、東日本大震災からの「復興・防災」の4つ。具体的に中身が決まっているのは、バラマキ公共事業のインフラ整備だけだ。他は体裁を整えるためのお題目にすぎないのだろうが、バラマキの中でも見過ごせないのが、リニア中央新幹線への巨額の予算措置である。
これは、政府が低金利で貸し出す財政投融資の枠組みを使って3兆〜5兆円をJR東海に融資し、リニア中央新幹線の大阪延伸を最大8年前倒しするというものだ。経済ジャーナリストの有森隆氏が言う。
「これからの少子化、人口減時代にリニア新幹線がペイするのか甚だ疑問です。しかも、既存の東海道新幹線もリニアと並行して走らせるという。今だって、東海道新幹線の乗車率は減っているのです。バクチみたいな事業なのに、政府がほぼゼロ金利で民間企業に数兆円も融資するのは正気の沙汰ではない。JR東海は年間数十億円の利子を削減できて丸儲けですが、本当に収益回収できるのか。JR東海の株式は外国人投資家がかなり持っていますが、リニアの採算性への懸念から株を売った投資家も少なくありません。そこへ超低金利での巨額融資、しかも“政府保証”がつくとなれば、JR東海の株価対策にもなる。問題は、JR東海の葛西名誉会長が安倍首相の応援団だということです」
オトモダチの企業だから政府のカネを回すなんて、究極の癒着だ。
安倍応援団のJR東海・葛西名誉会長(C)日刊ゲンダイ
■大企業のための10兆円経済対策のツケは国民に回される
葛西名誉会長は、安保法制懇のメンバーも務めた。安倍とは定期的に食事を共にする親密な間柄だ。安倍は5月27日、伊勢志摩サミットを終えて広島に飛び、米国のオバマ大統領と平和記念公園で献花。実はその夜、わざわざ名古屋に移動している。「歴史的」な訪問が実現した広島ではなく、名古屋駅直結のホテルに泊まったのだ。名古屋駅で出迎えたのは葛西氏である。
それに加えて、リニア建設の背後には大手ゼネコンや製鉄、電機メーカーなど大企業群が連なっている。リニアは東海道新幹線の約3倍もの電力を食うとされるから、原発再稼働の理由づけにもなる。当然、原子力ムラは大喜びだ。結局、10兆円の経済対策は大企業のためのものでしかないということだ。
JR東海は、リニア構想を「自己資金でやる」「国の支援は受けない」と言い続けていた。葛西氏の著書「国鉄改革の真実」にも、「国のカネでつくると実現に時間がかかるし、政治介入を招く。経営の自主性を守るために自己資金でリニアをつくる」と書かれている。だから国交省も、採算性に不安の残るリニア中央新幹線の事業認定をし、工事実施計画を承認した経緯がある。
だが、財政投融資を活用すれば、事業者が損失を出した場合は国税で補填されることになる。運賃の超高額化か、あるいは国費投入。いずれにせよ、国民にツケが回されるのだ。本当にそれでいいのか。首相と財界筋の蜜月の裏に漂う腐臭がなぜ、問題視されないのか。リニアの巨額予算は徹底的に検証する必要がある。
「そもそもリニア計画は環境破壊の問題も大きい。地下トンネルを掘る際に出てくる大量の残土の行き先も決まっていないのです。巨大で長い穴を掘れば、地下水脈にも影響が出てくる。トンネル内に湧水が発生したり、河川流量が枯渇する恐れもあります。何より、東京―名古屋間のトンネルは、あちこちの活断層に穴を開けなければならない。近い将来、南海トラフ地震の発生が確実視されているのに、危険極まりないリニアに巨額投資するのは、未来へのリスクを大きくするだけです」(有森隆氏=前出)
■国債追加発行も「新しい判断」か
もっとも、財政投融資を活用しても、10兆円規模の補正予算を組む財源はてんで足りない。アベノミクスの失敗が顕在化し、15年度の法人税収は6年ぶりに減少。補正に回せる剰余金は2544億円しかない。今後も税収は伸び悩む可能性が高い。それで政府は国債の追加発行を検討しているが、これもフザケた話だ。
参院選で安倍は、社会保障の財源を当面は赤字国債で賄うという民進党の方針を「無責任だ」とこき下ろしていた。「安倍政権は赤字国債に頼らない」と叫んでいたが、選挙に勝った途端、方針転換だ。社会保障ではなく経済対策だからいいのか。建設国債ならいいのか。それとも、これもまた「新しい判断」なのか。
バラマキのための国債発行は、一層の財政悪化を招くだけだ。社会保障に回した方が、どれだけ将来のためになるか分からない。
なぜ、財源もないのにバラまくのかといえば、それが目先の株価対策になるからだ。だが、無謀な異次元緩和を続けながら、国債発行での積極財政を実施すれば、事実上のヘリコプターマネーと同じことになる。
「ヘリコプターから紙幣をバラまくように中央銀行が政府に必要な資金を全て提供する“ヘリコプターマネー”を、日本銀行が『するかしないか』ではなく、『いつするか』に海外投機筋の関心は移っています。ヘリコプターマネーを提唱したバーナンキFRB前議長が来日し、月曜に日銀の黒田総裁に会っただけで急速な円安となり、株価が急騰しました。その後もブルームバーグが本田悦朗前内閣官房参与、ロイターが浜田宏一内閣官房参与の名前を出して、ヘリコプターマネーの可能性を報じるたびに円安・株高が起きています。しかし、本当にヘリコプターマネーが行われたら、猛烈な円安だけでなく、国債は大きく格下げされ、株式も債券も不動産も何もかもが売られる“日本売り”が始まるでしょう」(田代秀敏氏=前出)
目先のバラマキと株価しか考えていない経済対策が日本を破滅に導くとすれば、もはや犯罪的というほかない。
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