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3分の2議席を制し満面の笑み(C)日刊ゲンダイ
「分裂と抗争」の時代にこそ現行憲法の基本精神が大事 日本経済一歩先の真相
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/185674
2016年7月15日 日刊ゲンダイ
究極の後出しジャンケンである。悲願の改憲に賛同する勢力が衆参両院で3分の2議席を制し、安倍首相は満面の笑みを浮かべていた。再来年9月までの総裁任期中の改憲実現を胸の内に抱いているのは間違いない。
政権与党はこれまで「開店休業」状態だった憲法審査会で、秋の臨時国会から改憲の議論を活発化させるそうだ。選挙中は、トップが街頭で憲法を語ることをあれだけかたくなに避けていたのに、発議が可能となった途端、改憲の議論を盛り上げたいとは恐れ入る。
選挙の結果といえば仕方のないことだが、はたして、どれだけの数の有権者が「3分の2」という数字や憲法そのものを意識して投票したのだろうか。与党もメディアも改憲という重大なテーマを参院選の争点から巧妙にそらしてきたから、なおさら不安だ。
表向きの争点だったアベノミクスも満足に検証されなかった。消費は冷え込み、景気回復の兆しも見えぬままである。だから安倍政権は2度目の増税先送りに追い込まれたというのに、選挙が終われば財政再建はどこ吹く風の大盤振る舞い。10兆円規模の景気対策をブチ上げたが、財源として増発される赤字国債を引き受けるのは日銀である。
■無自覚に終わらせた戦後
まるで戦時型の危うい財政ファイナンスを見るにつれ、ますます戦後の時代は終わったのだと痛感する。しかも、今度の選挙で多くの人々がその自覚のないまま、戦後を終わらせてしまったと思えてならない。実にやるせない気持ちに駆られる。
戦後日本の政治、経済、国民生活の基本理念を担ってきたのは平和憲法だ。その基盤に立って日本は復興から高度成長を成し遂げ、バブルの膨張と崩壊を経てデフレに至り、今日にたどり着いている。
世界を見渡せば東西冷戦の時代からグローバル時代へと移ろい、第2次大戦後に堅持してきた「統合と協調」から「分裂と抗争」の時代を迎えつつある。欧州も中東もアジアもイスラムテロの脅威にさらされ、常に争いの渦中にある。発砲事件の相次ぐ米国では、銃社会がいよいよ深刻化し、五輪開催を間近に控えたリオの治安は悪化の一途だ。
こうして世界が新たな時代に突入する中で、日本も新時代を生き抜く基本姿勢を打ち出さねばなるまい。そこでこの国は憲法を変え、大きな抗争のうねりに深く関与していく道を選ぶのだろうか。
「分裂と抗争」の時代だからこそ、あえて平和国家を掲げ続ける意義は大きい。国民はこのまま、本気で戦後日本を失っていいのだろうか。新たな時代の濁流に巻き込まれる前に、現行憲法の基本精神が再評価されていいはずである。
高橋乗宣 エコノミスト
1940年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大(現・筑波大)に進学。1970年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、73年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった2000年より明海大学大学院教授。01年から崇徳学園理事長。05年から10年まで相愛大学学長を務めた。
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