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北海道・奥羽越・鹿児島そして東京で変革の風−(植草一秀氏)
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12th Jul 2016 市村 悦延 · @hellotomhanks
参院選が投票日を迎えるまで、メディアは参院選争点を
「アベノミクス是非」
と報じた。
一部の健全性を保持するメディアだけが
「安倍政治の是非」
が争点だと伝えた。
「アベノミクスの是非」
は安倍氏が発言した参院選争点で、大半のメディアは権力の広報機関に堕しているのである。
他方、投票率は54.7%にとどまった。
権力も権力なら国民も国民とも言える部分がある。
国民のレベル以上の政治は実現しないと言われるが、
約半分の主権者が参政権を放棄する状況は、ウルグアイの元大統領が指摘するように、
「少数による支配」
を生み出す原因になる。
比例代表選挙での全有権者に対する得票率は、
自民が19.6%
公明が 7.4%
で、両社合計は
27.0%だった。
2014年12月総選挙の24.7%よりは上昇したが、
全有権者の約4分の1の投票で日本政治が支配されている現状は変わらない。
政治に無関心ではいられても、政治に無関係ではいられない。
その政治よって「いのちとくらし」、そして「みらい」を奪われぬようにするには、
政治に参加して権利を行使する以外に道はない。
メディアは投票日まで「アベノミクス」が争点だと言っていたが、
開票が始まると「アベノミクス」の文字が消えて、
「改憲」
一色になった。
「クリック詐欺」
というのがあるが、これよりひどい。
「アベノミクス」自体も詐欺だが、「アベノミクス」で一票を入れたら、もれなく「改憲」が付いてくる、というものだ。
安倍政治全体が「ペテンノミクス」と化しているが、その実行部隊が腐敗したマスメディアである。
すべてが安倍首相の思いのままに進んでいるようにも見えるが、
「好事魔多し」
である。
ペテンノミクスを打ち砕く、たしかな足音が響き始めている。
北海道、秋田を除く東北、新潟、長野、山梨の地続きの地域は、日本全体の44.8%の面積を占める。
この45%の地域では反自公が自公陣営に勝利した。
反安倍政権陣営が結束すれば勝利を得ることができることが立証された。
重要なことは政策路線を明確にすることだ。
そして、投票率を引き上げて、安倍政治を許さない!と考える主権者の背積極的な行動を促すことだ。
さて、政治の関心は東京都知事選に移った。
自公サイドが小池百合子氏と増田寛也氏の分裂選挙になることは、千載一遇のチャンスと言ってよい。
このチャンスを生かす必要がある。
民進党から古賀茂明氏擁立の声が上がったが、古賀氏は新自由主義肯定の主張の持ち主であると言ってよい。
「戦争か平和か」という軸では「平和」を選択する立場に立つが、
「弱肉強食か共生か」という軸では「弱肉強食」を選択する立場に立つと判断される。
この点がネックになって野党統一候補として擁立されにくい面がある。
そもそも、「オールジャパン平和と共生」の市民連帯運動は、
古賀氏の提唱する「改革」の内容が明確でなく、
「改革」が「新自由主義」、「弱肉強食」を肯定するものであるなら、
これに同意はできないというところから始動したものである。
民進党が鳥越俊太郎氏の擁立に進み、
すでに出馬の意思を表明している宇都宮健児氏との調整が順調に行われれば、
鳥越俊太郎氏を都知事選の4野党統一候補として擁立することが実現するかもしれない。
本日、7月12日中には候補者の擁立が確定するだろうが、
脱原発、反TPP、反格差
そして、
弱肉強食ではなく共生を目指す統一候補の擁立に全力を注ぐべきである。
野党統一候補が擁立されるなら、「安倍政治を許さない!」と考える主権者は
この候補者を全力で支えなければならない。
参院選終了と同時に安倍政権は大型経済対策策定の方針を示した。
円高=株安の基本環境が定着するなかで、流れを転換するには、財政政策を活用するしかない。
これが、筆者の経済分析、政策提言であり、安倍政権はこの提言をそのまま採用している。
消費税再増税の再延期、そして、大型財政政策の策定は、
筆者が提示しているもので、この情報が官邸に伝わり、官邸がこれを活用している。
筆者としては忸怩たる思いであるが、
利用できるものはすべて利用するという安倍政権の貪欲さが滲み出ている。
安倍政権は年末にかけて日本経済を浮上させ、
そのタイミングで解散総選挙を実施する目論見であると推察される。
12月にはロシアのプーチン大統領の訪日が模索されており、
ここで何らかの成果を上げて、年内、または年初の総選挙を実施することが検討されていると思われる。
憲法改定に向けての作業は、この衆院総選挙の後に本格化すると思われる。
自民党憲法改定案は
日本国憲法の 平和主義 国民主権 基本的人権の尊重
を丸ごと転覆させる内容になっている。
戦争への積極的加担
国家のための国民への転換
人権の制限
が前面に出ている、憲法改定の範疇を超える、憲法違反の憲法改定案であると言わざるを得ない。
そのなかで、安倍政権が最初に手を付けると見られるのが、
第98条、第99条の「加憲」である。
これを制定してしまうと、本体を改定せずに、
内閣総理大臣が全権を掌握し、憲法停止状態を作り出すことができる。
「悪魔の条文」
と言ってもよい。
ドイツのナチスが1933年に全権委任法を制定し、ドイツの悲劇を生み出していった。
その歴史が繰り返されるリスクが全面的に高まる。
参院選での野党の最大責務は
「改憲勢力に3分の2議席を与えない」
であった。
しかし、無所属議員を含めると、改憲勢力が165議席を占有することになり、改憲勢力が3分の2を突破した。
民進党の岡田克也代表は、この責任を重く受け止めて、9月の任期切れをもって民進党代表を退くべきである。
そして、民進党の政策路線を明確化することが必要不可欠である。
原発、集団的自衛権、TPP、辺野古基地、消費税
の五つの問題に対する基本姿勢が明確でなければ、主権者はこの党に政策を委ねることができない。
経済政策では、
競争原理を重視して弱肉強食を推進するのか、
それとも
競争原理に対する制限をかけて、結果における最低保障ライン引き上げを重視するのか、
この点において、主権者に対して明確な選択肢を示す必要がある。
東京都知事選では、
参院選での4野党共闘が民進党に巨大なギフトを提供したことを忘れるべきでない。
4野党の共闘がなければ、民進党議席は30を大きく割り込んでいたはずである。
経済政策における最大の論点は、
弱肉強食推進政策の是非
である。
弱肉強食を推進するのか
それとも、
格差是正を重視し、
最低保障ラインの引き上げを重視するのか
この部分の基本姿勢明示が不可欠である。
4野党共闘のベースには、
小泉政権以来の新自由主義否定
弱肉強食から共生、友愛路線への転換
という大きな合意が存在したと見るべきである。
世界の政治潮流はいま、
1980年代以降、強化されてきた「新自由主義」の思潮から
「共生主義」の思潮への大転換を始動し始めているように思われる。
東京都知事選の野党統一候補には、
子育て、高齢化対応、災害対応
という都民の生活問題そのものへの対応がまずは求められるが、
同時に
「弱者切り捨て」、「弱肉強食推進」
に傾いてきた大きな流れを
「最低保障ラインの引き上げ」、「共生社会の構築」
にベクトルを大転換する人物を擁立することを目指すべきである。
野党サイドが分裂選挙になれば、せっかく生じた千載一遇のチャンスをぶち壊しにしてしまう恐れも生じる。
野党統一候補には、
弱肉強食推進の人物ではなく、
共生社会構築を目指す人物を
擁立することが強く求められる。
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