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改憲勢力3分2超に、それでも大健闘だった民進党 見通しを誤った共産党、野党共闘の行方は?
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47329
2016.7.11 筆坂 秀世 JBpress
今回の参院選挙の見どころは2つだったと思う。1つは、改憲勢力が衆議院に続いて参議院でも、憲法改正発議が可能となる3分の2以上確保できるか否か、ということ。もう1つが、4野党の統一候補がどれだけの戦績を収められるか、ということだった。
■「3分の2」問題争点化の効果は?
民進党の岡田代表は、改憲派に3分の2以上の議席を獲得させないことを選挙の大きな争点として押し出していた。これに対して、安倍首相は、あくまでもアベノミクスの推進を前面に押し出し、岡田代表ら野党の憲法争点化を無視する作戦を展開した。
開票日の記者会見で岡田代表が、「憲法の争点を隠すなど(与党は)逃げて逃げて戦いになっていなかった」と述べたが、そうだったのだろうか。
確かに、この問題で与野党が激突するような論戦はなされなかった。だが朝日新聞の出口調査によれば、投票に当たってもっとも重視した政策課題は、1位が「景気・雇用」の28%、2位が「社会保障」の15%、3位が「憲法」の14%となっている。4位の「子育て支援」の13%よりも「憲法」が上回っているのである。新聞各紙も「3分の2」問題を積極的に報道していた。改憲がここまで選挙の焦点になったことは過去にはなかった。
その意味では、野党側の作戦は、ある程度は功を奏していたのである。
朝日新聞の出口調査によれば、1人区で公明党支持層の24%が野党統一候補に投票している。憲法改正とも関わって、自民党議員を増やすことへの抵抗感があったのではないだろうか。民進党が3年前より前進できた背景に、この作戦が貢献していたのかも知れないということだ。
共産党の志位委員長は、「国会の結果で改憲に信任状が与えられたとは言えない」と語っているが、これはまったく無意味な発言だ。少なくとも野党は、「3分の2」問題を争点化した。その結果、改憲派が3分の2以上を参院でも確保することになった。これは厳然たる事実だ。だが、憲法をどう変えるかは、そもそもまったく別の問題である。
安倍首相自身が「この選挙で改憲の是非が問われていたものではない」と述べるとともに、「(憲法改正の国会発議に向けて)しっかりと橋はかかったんだろう。私の(自民党総裁)任期はあと2年だが、憲法改正は自民党としての目標だから落ち着いて取り組みたい」と語っている。
首相が言うように、今度の選挙結果は、「信任状」とか何とかではなく、国会が憲法改正を発議する条件ができたということなのだ。どう改正するかは、まったく次元の違う話なのである。
■野党統一候補は大成功だった
産経新聞(7月11日付)は、18面で「消沈 共闘空回り」という大見出しを掲げている。だが、これはいくらなんでも無理筋の見出しだ。
3年前の参院選では、31ある1人区で自民党の29勝2敗という完勝だった。だが今回は32ある1人区の勝敗は、自民党の21勝11敗だった。互角には程遠いが、3年前に比べれば大きく押し返したことは間違いない。
自民党や公明党からは、民進党と共産党が組むことに対して「野合」などの批判が行われた。特に、藤野前政策委員長の「(防衛予算は)人殺しの予算」発言以降は、特に民共共闘への批判が強められた。
この討論会では、民進党の山尾志桜里政調会長が藤野発言を批判しなかったことも批判された。ちなみに、その時の映像を見ていると自民党の稲田朋美政審会長も他の人の発言とかぶさるように、笑いながら小さな声で「国を守るための予算ですから」と述べただけで、とても厳しい批判などと言えるものではなかった。私の感想は、正直に言えば「なんというトロさだ」というものだった。
それでも1人区で9議席も増やしたのだから、客観的に見て大健闘というべきだろう。参院選は、政権選択選挙ではない。したがって、弱小野党同士がいくつかの違いを残しても選挙協力をするというのは、あり得ることである。したがって、与党側の「野合」という批判は成功しないだろうということを私は指摘してきた。選挙結果は、この指摘通りであったと思う。
またぞろ民主党内では、改選議席を大きく割ったことから岡田代表の責任を問う声があがっているという。6年前というのは、民主党が政権政党だった時代である。その時の獲得議席と比較するなどというのは、ナンセンスとしか言いようがない。比較すべきは、3年前の選挙である。3年前に民主党の比例での獲得票は、713万票だった。それが今回は民進党として、400万増の1175万票獲得した。議席も7議席から11議席に躍進した。少なくとも低落傾向を食い止め、上昇への大きなきっかけをつかんだということだ。
結論から言えば、民進党は想定された以上に健闘したというべきだろう。
■衆院選に向け野党共同の中身が問われる
野党共闘は、共産党が「安保法制(戦争法)廃止の一点での共同」を呼びかけ、それが契機となって実現していった。私は、「安保法制廃止」をメインスローガンにすると選挙は失敗するということを再三にわたって指摘してきた。
実際、出口調査では「外交・安全保障」が選択肢になったという回答は8%に過ぎなかった。北朝鮮のミサイル発射や中国の軍事行動を見れば、日米の軍事協力が必要だということを日々実感しているからである。
民進党も、共産党も、今度の選挙協力について、ある程度の手ごたえはつかんだはずである。小沢一郎氏らも、もっと協力を強めなければならないと強調している。それだけに、これからは衆院選での協力体制の構築が課題となってくる。
その際、重要なことは「安保法制」だけではなく、基本的な経済政策、税・財政政策、社会保障対策などで政策的合意を積み上げていく努力であろう。なぜなら衆院選は、政権選択選挙になるからだ。
民進党内には、共産党との選挙協力に懐疑的な勢力も依然として存在するが、だが自公と単独で戦って勝利することは、いまの力関係では不可能だ。
共産党が過去の小選挙区で当選者を出したのは、1996年総選挙で京都3区と高知1区でそれぞれ1回当選したのと、2014年総選挙で沖縄1区において当選した3度しかない。小選挙区では、ほとんど負け続けてきたのだ。それだけに候補者を降ろすことにそれほどの抵抗感はないはずである。
少なくとも共産党からは、民進党に対して積極的な選挙協力の呼びかけがあるだろう。これに民進党がどう対応するか、今後の注目点の1つである。
■共産党が伸び悩んだわけは
共産党が6議席しか獲得できなかったというのは、私の想定外であった。私は、最低でも改選議席3の3倍の9議席は獲得するだろうと見ていた。3年前には8議席獲得していたからである。「国民連合政府」構想の呼びかけも共産党に有利に働くと見ていた。
なぜ見通しを誤ったか。先にも述べたように、「戦争法廃止」というスローガンは票にはつながらないと見てきていたが、昇り調子の政党としての勢いがあると判断していたからだ。だが、それほどの勢いはなかった。そこには、いくつかの要因があると思う。
藤野前政策委員長の「人殺し予算」発言は、確かに勢いを止めるには十分は暴言であった。だがそれだけではなかったはずだ。党の高齢化や活動力の低下も大きな要因の1つであろう。
また選挙情勢への甘い見方もあったのではないか。なにしろ比例代表に42人もの候補者を立てたのである。比例代表の定員は48人である。定員とほぼ同じ数の候補者を立候補させたのである。“狂気の沙汰”としか思えない。同党の比例での当選目標は9議席だったが、5議席にとどまった。その結果、供託金を1億9200万円も没収されることになった。
共産党は、選挙の度に選挙募金、供託金募金を党員や支持者に訴えている。この貴重な金を無謀な候補者数によってみすみす無駄にする、これには今後党内から批判の声があがるのではないだろうか。
■もう不破さんの応援は止めた方が良い
今回の選挙でも、御年86歳の不破哲三前中央委員会議長が、何カ所かで街頭演説を行った。共産党の議席が減り続けている時には、出てこなかったのが、ここ2回ぐらい勝ちそうになると出てくるようになった。現金なものである。
この不破氏が、7月8日、埼玉県の浦和で街頭演説を行い、9日付の「赤旗」によると、次のように述べたと言うのである。
「安倍首相が、サミットで来日した各国首脳を、戦前、『八紘(はっこう)一宇』=神国日本が世界を支配するなどの思想を国民に植えつけ戦争に動員した国家神道の総本山だった伊勢神宮に案内し、実質的な集団参拝をさせたことに言及。『これは日本の政府代表の行動ではなく、ウルトラ右翼“日本会議”の代表としての行動だ』と批判」。
不破氏は、この演説を三重県の伊勢市で行うことができるのだろうか。伊勢市民の総スカンを食うことだろう。確かに、戦時中、軍部に利用されたこともあっただろう。それによって伊勢神宮をすべて否定するとしたら、これは藤野発言に勝るとも劣らない暴言である。
サミットに訪れた首脳は、それぞれ記帳をしている。アメリカのオバマ大統領は、「幾世にもわたり、癒しと安寧をもたらしてきた神聖なこの地を訪れることができ、非常に光栄に思います。世界中の人々が平和に、理解しあって共生できるようお祈りいたします」と記帳している。他国の首脳もほぼ同様の趣旨の記帳をしている。不破氏は、これをも批判しているのだ。
かつて不破氏は、高齢になった宮本顕治氏に対して、「知的後退がみられる」と述べたことがある。不破氏はどうなのだろうか、と思ってしまう。いくら共産党全体が高齢化したといっても、もう隠居してもらってもよいのではないか。余計なお世話であろうが。
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