生活の党は1議席取れて大騒ぎ、大喜び。 でもとりあえずおめでとうございます。2016年7月の参議院選挙は勝負がつきました、改憲勢力の勝利です。 これを大事のように言う人がいます。 確かに歴史的な勝利には違いありませんが、これは憲法改正までの第一歩に過ぎません。 日本国憲法はまだ何も変わっていません。 憲法改正の国会発議も為されていませんし、もちろん国民投票も実施されていません。 本番はこれからです。 これから舞台は憲法審査会に移ります。 ≪憲法審査会の怠慢は否めない≫ 私は、憲法改正問題の解決をここまで引き延ばしてきた最大の原因は、衆参両院に設けられている憲法審査会が本来の機能を果たしていない点にあると考える。憲法改正の争点は、すでに5年の歳月をかけてまとめられた各院の憲法調査会の『報告書』(各院ともに平成17年4月作成)に整理されている。衆議院憲法調査会の『報告書』は683ページ、参議院憲法調査会の『報告書』は298ページに及ぶ膨大なものだ。 各院で平成19年8月に憲法審査会が設置されたのはこれらの『報告書』をもとに憲法改正原案を作成することを目的とするものだったはずだ。それからすでに約9年を経ようとしている。同審査会の怠慢は否めない。 2016年の次の臨時国会では本来の目的である憲法改正原案の取りまとめに動くことを強く期待したい。 衆議院憲法調査会の『報告書』 http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/houkoku.pdf/$File/houkoku.pdf 参議院憲法調査会の『報告書』 http://www.sangiin.go.jp/japanese/kenpou/houkokusyo/pdf/honhoukoku.pdf イギリスの国民投票、結果に対しては賛否いろいろな意見があると思いますが、国民投票が多数決で過半数の意見で決まるということに反対する意見は私は聞いたことがありません。 多数決は過半数を取った方の意見で決まる、ということに文句を言う人がいないからでしょう。 確かに多数決は厳密には過半数、特別多数、比較多数がありますが、やはり多数決と言えば過半数を取った方の意見で決まる、というのが圧倒的に採用される数が多い方法でしょう。 ところが、この当たり前のことが出来ていない場合があります。 それもこれだけ民主主義や多数決が発達している現代の日本においてです。 そんなバカな、と思う人がいるかもしれませんが、これは本当の話です。 しかも、これは決まりの中の決まり、決まりの「キング・オブ・キング」とも言える日本国憲法においてです。 それは憲法96条です。 実際に見てみましょう。 日本国憲法 第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。 どうです、ここにはっきりと「三分の二以上」と書かれているでしょう。 これは遠い過去の話でもなく、遠い異国の話でもありません。 まさに現代の日本において現実に存在するのです。 もう少し具体的に見ていきましょう。 例えば参議院では定数が242人です。 現在の憲法96条では、憲法改正賛成161人(66.5%)VS憲法改正反対81人(33.5%)の場合、この状態では憲法改正の発議ができません。 賛成が反対を80人も上回っているにもかかわらずです。 現在の憲法96条では、憲法改正の発議には162人(66.9%)以上の賛成が必要です。 一般的な感覚では過半数の122人(50.4%)以上が賛成すれば憲法改正の発議が可能になってもいいと思いませんか。 こんなバカなことが起こるのは憲法96条に「各議院の総議員の三分の二以上の賛成」と書かれているからです。 こんな憲法96条を改正しなくていいんでしょうか。 中には「いやそれだけ憲法改正は慎重になされるべきだ」という意見もあるでしょう。しかしそれならば同じ憲法96条の条文で「特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする」と書かれているのはなぜでしょうか。私にはこの国民投票の「過半数の賛成」の規定の部分の方がよほど正しく思えます。 私は憲法96条の中で唯一救いがあると思えるのはこの国民投票の「過半数の賛成」の規定の部分です。 これがもし「三分の二以上」と書かれていたとしたら、と思うとぞっとします。 私はまず「憲法96条」の改正に取り組んでもらいたいと思います。 改正箇所は 改正前:各議院の総議員の三分の二以上の賛成 改正後:各議院の総議員の過半数の賛成 なお、「この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする」この部分はそのままです。 これは絶対条件でこれ以上厳しい改正条件は絶対にダメです。 そして憲法96条の改正後には「憲法前文の改正」・「憲法9条の改正」・「緊急事態条項の追加」などの国会発議がなされることを強く願っています。 そして、その後の「国民投票での有効投票数の過半数の賛成による『憲法改正』」が実現することを強く願っています。 なぜなら、 【憲法前文】の「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」という部分は完全な絵空事であり、 【憲法9条】を改正して自衛隊を正式に軍隊と位置付けることのメリットと目的は交戦権・自衛のための先制攻撃・敵基地攻撃を認めた上で現在の警察準用のポジティブリスト方式から諸外国と同等のネガティブリスト方式に変わることにより活動の制約を少なくして国防力や国際平和貢献への力が高まることにありますし、 【憲法96条】は「各議院の総議員の『過半数』の賛成」に変更すべきですし、 【緊急事態条項】は、戦争や災害など国家の平和と独立を脅かす緊急事態に際して、政府が平常の統治秩序では対応できないと判断した際に、憲法秩序を一時停止し、一部の機関に大幅な権限を与えたり、人権保護規定を停止するなどの非常措置をとることによって秩序の回復を図る権限で、例えば瓦礫撤去などの際に土地や物件の所有者に許可を取るまで作業できないと作業が進まないため、所有者の許可なしに作業を進める場合などに適用する。法律で対応すればいいという意見もあるが、憲法違反嫌疑をかけられるの未然に防ぐために憲法に組み入れ憲法で担保する必要があります。 現実問題として憲法改正を発議するのは国会であり、今こそ国会議員の皆さんの奮起が期待されます。憲法改正の最終的決定権は主権者国民の手に委ねられており、国会が発議してくれなければ、国民は唯一の主権行使の機会を奪われたまま、荏苒、手を拱いているしかありません。その意味で、主権者国民から信託を受けた国会には、憲法改正を発議する「義務」があると思っています。 国民投票制度の概要を紹介します。 http://www.soumu.go.jp/senkyo/kokumin_touhyou/flow.html 国会議員(衆議院100人以上、参議院50人以上)の賛成により憲法改正案の原案が発議され、衆参各議院においてそれぞれ憲法審査会で審査されたのちに、本会議に付されます。 両院それぞれの本会議にて 3分の2以上の賛成で可決した場合、国会が憲法改正の発議を行い、国民に提案したものとされます。なお、憲法の改正箇所が複数ある場合は、内容において関連する事項ごとに区分して発議されます。 国会イメージ 国民投票の期日 国民投票は、憲法改正の発議をした日から起算して60日以後180日以内において、国会の議決した期日に行われます。 また、国民投票の期日は、官報で告示されます。 憲法改正の発議までの流れ ■憲法改正原案の発議 ● 衆議院議員100名以上の賛成 ● 参議院議員50名以上の賛成 ↓ ■両議院にて憲法改正原案 可決 先議の議院 原案の提出を受け、憲法審査会での審査・本会議における可決を経て、後議の議院へ送付します。 1. 憲法審査会での審査 ※憲法審査会とは、憲法改正原案等を審査する常設機関 ※両議院憲法審査会の合同審査も可能です。 2. 本会議での可決 ※衆議院及び参議院本会議にて総議員の3分の2以上の賛成で可決。 ↓ 後議の議院 憲法審査会での審査を経て本会議にて可決。 ↓ ■憲法改正の発議 ● 憲法改正原案について国会における最後の可決をもって、国会は憲法改正の発議をし、国民に提案したものとされる。 ※内容において関連する事項ごとに区分して発議されます。 国民投票期日の決定 ● 憲法改正の発議後60日から180日以内 ※具体的な期日は、国会にて議決されます。
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