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読売新聞2016年7月10日付朝刊より
安倍自民党の違法広告は今朝の新聞だけじゃない! テレビ局にも“誇大政党CM”をゴリ押し! 弁護士を使って圧力も
http://lite-ra.com/2016/07/post-2407.html
2016.07.10. 自民が新聞・テレビに違法広告ゴリ押し リテラ
自民党が、本日の全国紙朝刊に「政党広告」を出稿していることが物議を醸している。広告では、安倍首相写真と、アベノミクスをアピールする文言とともに、こんな惹句がでかでかと書かれている。
〈今日は、日本を前へ進める日。〉
公職選挙法では、投票日の選挙運動は禁止されている。可能なのは、選挙運動にあたらない、通常の政党の活動を宣伝する政治運動に限られるのだ。しかし、今日の各紙朝刊に出された自民党の広告は、「今日は、日本を前へ進める日」と明らかに投票日当日を狙っているもの。“本日投票日には自民党に投票してください”と言っているようなものだ。これが公選法で禁止される“投票日当日の選挙運動”でなくて何なのか。どう考えても公選法違反だろう。
いったい、大新聞の担当者は何を考えているのだろう。だが、実は自民党はこの選挙にあたって、メディアに圧力をかけてまで、法律違反の疑いの濃厚な政党広告をゴリ押ししてきたのだ。
本サイトは参院選公示前日の6月21日付で、自民党が、明らかに公選法違反の“誇大政党CM”を放映させようと、テレビ局に弁護士まで送り込んで圧力をかけていることをスクープ。入手した情報を合わせて、その“違法CM”の内容を伝えるとともに、フジテレビ関係者などの声を報じた。これは本サイトの報道後、朝日新聞6月26日付で後追い報道した問題だ。
こうした報道を受けて、自民党は問題の“公選法違反CM”を各局から引き下げたのだが、そのバーターとして、こちらも「客観性が担保できていない」と局内で問題視されていた「経済実績」に関する誇大宣伝は放送するよう迫ったという。そして、実際にその“疑惑の数字”はテレビで垂れ流されてしまった。
以下に、本サイトの記事を再録するので、自民党が今回の参院選でどれだけ強引にマスメディアに圧力をかけていたのか、ぜひ、もう一度確かめてもらいたい。少なくとも、今朝の新聞朝刊に掲載された公選法違反の可能性が極めて高い「政党広告」も含めて、自民党は憲法も法律も守る気がないらしい。こんな政党がこの国の与党でよいのか。わたしたちはよく考えなければならない。
(編集部)
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▽スクープ!! 安倍自民党が参院選で公選法違反の“誇大政党CM”放映をゴリ押し! 弁護士を使いテレビ局に圧力
(リテラ6月21日付)
6月22日の参議院選挙公示日まであと1日、ここにきて、安倍政権と自民党が民放キー局に対し、とんでもない圧力をかけてきているという情報が飛び込んできた。
自民党は2014年末の衆院選で〈選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお願い〉なる圧力文書を在京キー局に送りつけたが、今回は政党CMをめぐるものだ。この参院選で、自民党は明らかに公職選挙法違反の誇大な政党CMを放映させようと、テレビ局に弁護士まで送り込んでごり押しをしているというのだ。
始まりは5月末頃、自民党から今回の参院選に向けた政党CMの案が各局に提示されたことだった。ある民放関係者がこう語る。
「今回、自民党は放送局にあわせて、電通、ADK、I&Sという3つの広告代理店を使い分けているんですが、それぞれの代理店から、まずCMコンテが提示され、続いて完パケ映像が持ち込まれた。テレビ局では、考査部という部署がCMの内容を事前チェックするんですが、その内容には考査担当者も唖然としていました。こんな政党CMはこれまで見たことがない、明らかに公職選挙法にひっかかる、自民党は何を考えているのか、と」
選挙公示日になると、各政党が競うように流す政党CM。しかし、もともと公職選挙法では政見放送を除き、選挙運動にテレビを利用することはできないと規定されており、政党CMは通常の時期と同じ「選挙運動が目的でない政党の日常の政治活動」の広告でなくてはならない。
ところが、複数の証言によれば、自民党が各局に提示してきたのは、以下のような映像だった。
まず、青空を背景にして、自民党総裁・安倍晋三が登場し、カメラ目線でこう語り始める。
「日本はいま、前進しています」「雇用も、全国で大きく改善しています」
セリフにあわせ、画面にはテロップで大きく〈雇用100万人増加〉〈国民総所得36兆円増加〉〈有効求人倍率全都道府県で1倍超史上初〉〈賃上げ2%達成3年連続〉の文字。
そして、安倍首相が「止めてはいけない、この流れを」というセリフを口にすると、同時に、先日の米オバマ大統領の広島訪問の模様が、2枚の写真で挿入される。ひとつは安倍首相とオバマ大統領が、広島の平和記念公園の原爆死没者慰霊碑をバックに握手している姿。もうひとつは、同じく平和記念公園でオバマの隣で演説する、安倍首相の姿。
続いて、黒の背景に「前進か、後退か」という大きい白抜きの文字が書かれたテロップがインサートされる。再び、青空の背景に戻り、最後は、カメラ目線で安倍首相が以下のような宣言を口にしてCMは締められる。
「停滞したあの時代に、後戻りさせてはならない」「私たちは結果を出していきます」「この道を。力強く、前へ。自民党」
たしかに、証言通りのCMが存在し、放映されたなら、明らかな公選法違反だ。まず、最大の問題は、オバマ大統領の広島訪問の写真を使っていること。そもそもオバマの広島訪問は、日本政府の外交の中で実現したことであり、自民党の活動ではない。また、これまでの政党CMでは、基本的に出演者はその政党の代表者のみとされてきた。自民党員でもなんでもないアメリカの大統領の画像を勝手に出すなんてありえないだろう。
「これは報道ではなく広告ですから、肖像権やパブリシティ権の問題もある。自民党はその許可もとっていなかったのではないか、という疑問もあります」(前出・民放関係者)
さらにもうひとつ、問題になったのは、CMに出てくる“経済実績”の数字だった。これまた、政党の活動ではないうえ、「数字が恣意的で、客観的ではない」という指摘の声が各局でそろってあがったという。
たとえば、本サイトが情報を得た自民党のCM案では、〈雇用100万人増加〉などと謳われていたが、実際には2012年と2015年を比較すると正規雇用は36万人も減少している(しんぶん赤旗16年6月11日付)。また、〈賃上げ2%達成3年連続〉というのも完全に誇大広告だ。厚労省の統計では実質賃金は5年連続でマイナスを記録している。
外交の政治利用に誇大広告――こんなCMを本気で放映しようとしていた自民党の神経に唖然とするが、各局は当然、自民党側に「このままでは放映できない」と突き返した。それは安倍応援団のフジテレビ、日本テレビでも例外ではなかったという。当のフジテレビの関係者が語る。
「さすがのうちも法律違反にかかわることですから、受け入れることはできないですよ。考査部が営業部にNOを出して、電通に持って帰ってもらったと聞きました」
ところが、である。自民党はオバマと安倍首相のツーショット、そして“経済実績”の数字の告知を頑としてゆずらず、修正案でもほとんど同じ映像を出してきた。そして、先の電通、ADK、I&Sという3つの代理店が毎日のように各局の営業部にやってきて、CMを放映するように圧力をかけ始めたという。
さらに、一部の局には弁護士まで送り込んできて、恫喝をはじめたというのだ。先のフジテレビの関係者がこう語る。
「先週だと思うんですが、自民党の広報担当者が弁護士を連れて直接、社に乗り込んできたという話が現場にも伝わってきました。取締役局長クラスと会って、オバマ訪広も経済実績も党の政策の結果だと正当化したようです。あと、上層部にも他のチャンネルから働きかけがあったと聞いています。テレビ局としては、官邸ににらまれるのは怖いので、本音としてはそのまま放映したい。ただ、そのまま出せば出したで、明らかな公選法違反ですから、絶対に問題になる。営業部も考査部も板挟みになって頭を抱えていました。とにかく、孤立するのが一番怖いので、各局の担当者で『おたくはどうするの?』と連絡を取り合い、最終的には各局の経営トップがどう判断するか、というところまでいった。その結果、どうも上層部が放映に傾きつつあるようです」
さらに、公示日前々日になって、自民党は突如、拒否する他局に新たな“戦略”を仕掛けてきた。CMからオバマ訪広を下げるかわりに、“経済実績”の数字をそのまま使うようにもちかけてきたのだという。前述とは別の民放キー局関係者の談。
「バーターですよ。オバマの広島訪問は、さすがに各局が改稿を要請し続けた。そこで、これを取り下げる代わりに、経済実績の数字の宣伝はさせろ、と。普通なら、これも公選法違反のうえ誇大広告ですから、ありえないんですが、この間、テレビ局は自民党にずっとぎゅうぎゅう詰められていたので、この妥協案を呑む気配が濃厚になっています。『オバマがなくなったのならまあいいか』と。もしかしたら、自民党が最初からそういう妥協を狙って、オバマの画像をふっかけていたのかもしれません」
ようするに、弁護士まで連れてきて圧力をかけ、ヘロヘロになった民放キー各局を懐柔。デタラメな経済実績の数字は、そのまま垂れ流されることになるというのだ。
繰り返すが、各放送局の政党CMの考査は、公職選挙法と日本民間放送連盟の指針に基づいた各局の内規で決められるものだ。それは、放送の独立を考える上でも、とくに公権力からは厳密に距離をとらなければならないからである。
しかし、自民党はそれを無視して、違法なCMをゴリ押し。それを今、通そうとしている。安倍自民党が放送局に対してこれほど強引な手段に出るのは、「圧力をかければ放送局は黙る」とタカをくくり、他党を簡単に出し抜けると思っているからだろう。あまりにも傲岸不遜としか言いようがない。
参院選の公示は明日。放送される自民党の政党CMが最終的にどういった形になるかはまだ確定的でないが、野党は、この自民党の圧力行為を徹底追及し、国民に広く知らしめるべきだ。そして、メディアの独立性だけでなく、公職選挙法までをも力でねじ伏せようとする安倍政権に対して、私たち有権者は報道の自由と民主主義を守るために、絶対にNOを突きつける必要がある。
(編集部)
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