2016年7月13日(水) 「オール沖縄」伊波氏の圧勝 「辺野古は不可能」の審判 自民、衆参全選挙区失うhttp://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-07-13/2016071302_04_1.jpg (写真)縄選挙区で当選確実の報を受け、支援者らと万歳する伊波洋一氏(中央右)。同左は翁長雄志知事=10日夜、那覇市 名護市辺野古の米軍新基地建設の是非が最大争点になった参院選沖縄選挙区(改選数1)では、新基地建設に反対する「オール沖縄」代表、野党統一候補の伊波洋一氏が圧勝しました。 その勝因は言うまでもなく、「8割以上の県民が辺野古新基地に反対し、選挙で民意が示されても基地を押し付ける政府への県民の怒りの結果」(伊波氏、11日の記者会見)です。 自民党県連や前県政が安倍政権に屈服して「辺野古推進」へかじを切って以来、県民は2014年の名護市長選(1月)、県知事選(11月)、衆院選(12月)や今年の県議選(6月)で「オール沖縄」勢力を連続勝利へ押し上げてきました。 それでも安倍政権は「辺野古が唯一」の立場を崩さず、民意を無視し続けてきました。さらに今年4月には、元米海兵隊員による女性暴行殺人事件が発生。これを機に日米地位協定の抜本改定、海兵隊撤退を求める世論が高まる中で迎えたのが今回の参院選でした。 結果は、伊波氏が現職閣僚の島尻安伊子氏に約10万6千票差で圧勝。「沖縄の戦後史でも特筆に値する」(翁長雄志知事)ものとなりました。構図はやや異なりますが、「オール沖縄」と辺野古推進派との票差は県知事選、総選挙と比較しても開いています。(図) http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-07-13/2016071302_04_1b.jpg これで自民党は沖縄の衆参全選挙区で議席を失いました。しかも、島尻氏は6月に党県連会長に再選されたばかりです。その政治的打撃は計り知れません。 それでも安倍政権は「辺野古が唯一」の立場を変えず、翁長知事が辺野古埋め立て承認を取り消したのは違法だとして、21日までに県を提訴する構えです。 ただ、福岡高裁那覇支部はすでに行われていた辺野古新基地をめぐる訴訟で和解勧告を出しており、今後、新たな訴訟で国が勝てる保証はありません。 仮に国が勝訴しても、翁長知事には、埋め立て承認「撤回」や、新基地の設計変更を不承認にする権限があります。知事が県民世論に支えられ、これらの権限を行使すれば、政府はそのたびに県を提訴し、延々と裁判闘争をたたかうという泥沼にはまるしかないのです。 もはや辺野古新基地は不可能―。これが、今回の参院選で下った審判です。 (竹下岳) http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-07-13/2016071302_04_1.html 2016年7月13日(水) 着陸帯資材搬入に抗議 沖縄・東村高江 住民ら座り込み http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-07-13/2016071315_02_1.jpg (写真)資材が搬入された米軍基地内に向かって抗議する住民ら=12日、沖縄県東村 沖縄防衛局が同県東村高江のオスプレイが使用する米軍ヘリパッド(着陸帯)建設に向けた資材の搬入を強行したことに対し、建設に反対する地元住民らは12日、搬入口の米軍北部訓練場のメインゲート前に座り込み、抗議行動を展開しました。 この日もゲート前には抗議行動を排除するために機動隊が配置され、早朝に大型車両で資材や簡易トイレなどが運び込まれました。 住民らは「基地はいらない」などと書かれたボードや横断幕を掲げ、粘り強く抗議を続けました。 同村の宮城勝己さん(63)は、オスプレイ配備撤回を掲げた伊波洋一氏が参院選で勝利したことにもふれ、「頭にきている。県民の民意が示されているにもかかわらず、こともあろうに参院選の翌日からこんなことをするのは考えられない。安倍政権は倒さないといけない」と憤りました。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-07-13/2016071315_02_1.html 2016年7月13日(水) 主張 米軍属の「明確化」 沖縄の要求に正面から応えよ 沖縄県で元米海兵隊員の軍属が起こした女性暴行殺人事件(4月)を受け、日米両政府は今月初め、日米地位協定で特権が与えられている軍属の範囲を「明確化」することで合意しました。今回の事件を通し、地位協定が定める軍属の定義があいまいだとの批判を踏まえた措置です。日本政府は、今後数カ月をかけて詰めの協議を行うとしていますが、その結果、軍属の数が増えるのか、減るのかも明らかにしていません。沖縄県が米軍犯罪の再発防止策として強く求めている「地位協定の抜本的な改定」とはかけ離れた内容です。 依然として範囲あいまい 地位協定は、軍属について「合衆国(米国)の国籍を有する文民で日本国にある合衆国軍隊(米軍)に雇用され、これに勤務し、またはこれに随伴するもの」(第1条)と定義しています。今回の事件の容疑者は、民間のインターネット関連会社に雇用された社員として米空軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)内で働いていたとされますが、米軍は軍属だと認定しました。地位協定の軍属の定義が極めてあいまいであり、米側の恣意(しい)的な判断に委ねられている実態が浮き彫りになりました。 今回の合意も軍属の範囲として▽米政府の予算などにより雇用される者▽船舶などの乗組員▽米政府が雇用する者▽技術アドバイザーやコンサルタント―の四類型を例示しただけです。日本政府は今回の事件の容疑者のような者は軍属から外れるとしていますが、範囲は依然不明確なままです。 日本政府によると、2013年3月末現在で全国に約5000人いた軍属は今年3月末には約7000人に増えています。範囲を「明確化」するといっても「(今後の)協議で数が減るか、増えるか、予断を持って答えられない」(中谷元・防衛相)というものです。加えて、軍属に比べ圧倒的多数の米軍人(13年3月末で約5万3000人)の地位協定上の特権には指一本触れようとしていません。 女性暴行殺人事件に抗議するため、翁長雄志県知事も参加して開かれた沖縄県民大会は、「在沖米海兵隊の撤退」と「米軍基地の大幅な整理・縮小」「日米地位協定の抜本的改定」などを決議しました。今回の日米両政府の合意は、県民の要求に全く応えていません。 安倍晋三政権が合意を急いだのは、参院沖縄選挙区で苦戦が伝えられた自民党現職閣僚候補者のてこ入れのためとも報じられました。しかし、県民は野党統一候補を圧勝させました。県民の声に耳を貸さず小手先の対策でごまかそうというやり方は通用しません。 地位協定の抜本改定こそ 地位協定は、米軍人・軍属の「公務中」の犯罪は第1次裁判権が米側にあると定めています。「公務外」では第1次裁判権は日本側にあるとされますが、容疑者が基地内に逃げ込むなどして米側が先に身柄を確保すれば日本側が起訴するまで身柄は引き渡されません。殺人と女性暴行に限り日本側から起訴前の身柄引き渡し要求があれば米側は「好意的考慮を払う」という「運用改善」がされたものの、あくまで米側の裁量次第です。 翁長知事が繰り返し指摘しているように、米軍関係者による相次ぐ事件・事故の背景にある特権意識を生み出している地位協定の抜本改定こそ必要です。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-07-13/2016071301_05_1.html
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