http://www.asyura2.com/16/senkyo209/msg/153.html
Tweet |
巻頭特集 地殻変動は起こるのか <第3回>民主主義よりも独裁を望む“世論の倒錯”
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/185196
2016年7月7日 日刊ゲンダイ 文字お越し
この男が1番でいいのか?(C)日刊ゲンダイ
7.都知事選の大混乱「責任政党」の大笑い
「(自民党都連は)どこで、誰が、何を決めているのか不透明なブラックボックス」
小池百合子が自民党都連の煮え切らない態度にしびれを切らし、都知事選への出馬を正式表明。6日の会見は完全に吹っ切れた様子で、都連に“後足でかけた砂”は強烈だった。
さすが、自分をショーアップする能力だけはズバぬけた女性政治家だ。民放各局の夕方ニュースに合わせ、会見は午後5時直前にスタート。エンジン全開、生中継で自民党都連を旧態依然の「抵抗勢力」に見立て、視聴者に向かって一方的にブッた切る。3つの約束の初っぱなに掲げた「都議会冒頭解散」の実現性はともかく、都知事選を「ワタシか、都連か」の二項対立、シンプルな構図に持ち込むケンカの手法は、蜜月関係にあった小泉元首相譲りだ。
小池ひとりに「責任政党」が散々、引っかき回されるとはお笑い草で、いかにも情けなく見えてくるのだ。
「参院選全体の士気にかかわると、安倍首相は都連幹部に『保守分裂の印象を与えるな』と厳命したと言いますが、その発想が裏目に出ました。選挙のマイナス要因は何でも隠し、小池さんに同情票が集まるのも抑えたい。だから結論は参院選終了まで先送りする姑息な態度が小池さんの反発を招き、大混乱に拍車を掛けた格好です」(政治評論家・浅川博忠氏)
参院選のマイナス材料に何でもフタとは、安倍自民の目くらまし政治の本領発揮だったが、根回し知らずのオバハンに逆襲されるとは「責任政党」の名折れだ。
問題はこの「隠す、歪める、ウソをつく」を地で行く卑劣な政権が、今度の参院選でも圧勝しそうなことである。
争点隠しのゴマカシが功を奏した(C)日刊ゲンダイ
8.最終的な議席は自民・公明・改憲派勢力が3分の2超になる
主要各紙が6日の朝刊で伝えた参院選終盤情勢の調査結果はショッキングだった。
毎日、日経、東京は1面の大見出しに「改憲勢力3分の2の勢い」と掲げ、一方で「野党共闘伸びず」などと野党の苦戦を報じた。読売だけは「与党 改選過半数へ堅調」と穏やかな見出しだったが、恐らく有権者の揺り戻し効果を意識した“政治的配慮”なのだろう。
それだけ自公両党が終盤戦でも有利に戦いを進めている証拠で、特に自民は57議席に迫る勢い。非改選65議席と合わせ、27年ぶりの単独過半数も日に日に現実味を増すばかりだ。前出の浅川博忠氏はこう分析した。
「『雇用110万人増』『国民総所得36兆円増』など都合の良い数字を切り取って並べ、改憲のホンネをひたすら伏せる。そんな安倍首相の争点隠しのゴマカシが功を奏した結果です。対する野党はアベノミクスを批判するだけで、対案を出せないまま。“民・共野合”の負のイメージを最後まで払拭できず、選挙を一緒に戦っても連立は組めないという、矛盾点ばかりが浮き彫りとなっています。野党は1人区で善戦しても、特に複数区では3年前に“第三極”へと流れた票を拾い切れていない。自民の2番手候補、公明が久々に立てた候補に先行を許すケースが目立ちます。野党が比例区で統一名簿を作れなかったのも、自公に突き放される要因です」
かくして自公に「おおさか維新」と「日本のこころ」を含めた改憲勢力の獲得議席は、3分の2に必要な78に迫る情勢だ。さらに、非改選の無所属議員のうち改憲に賛成の4人(井上義行、松沢成文、渡辺美知太郎、アントニオ猪木)を合わせれば、3分の2を楽々突破しそうなのである。
「無党派層は寝てればいい」では安倍政権の思うツボ(C)日刊ゲンダイ
9.低投票率は諦めなのか、謀略なのか、絶望的な民度なのか
これでは有権者の多くは「勝負あった」と思い込む。「行くだけムダ」と諦めムードが漂い、ますます投票所から足が遠のく。前回は戦後3番目の低投票率。2014年衆院選の投票率52.66%は史上最低だった。今度の投票日、10日の天気予報は今のところ、全国的に「傘マーク」が多い。この調子だと空前の低投票率になりかねないが、それこそ舌先三寸のペテン政権の思うツボだ。
安倍首相が争点化を避けても、いざ改憲勢力に3分の2の議席を与えれば、「民意を得た」と改憲に邁進するのは目に見えている。14年の総選挙後、公約集に小さく書き込んだだけの「安全保障法制の速やかな整備」にひた走り、解釈改憲の禁じ手で平和憲法を切り裂いたのは記憶に新しい。
有権者はもう騙されてはいけないが、繰り返しになりそうで怖い。政権サイドも用意周到で、先月22日の公示以降、安倍が党首討論に応じたのは1度きり。野党に論争の機会を与えず、争点の深化を避ける。安倍も森元首相よろしく、「無党派層は寝てればいい」がホンネで、世間の関心が選挙に向かうのを避けたいのだろう。
そんな「争点隠し」に手を貸す謀略メディアは確かに罪深い。野党だって多くの有権者の受け皿になり得ていない。欧州の反EU派のアクの強いリーダーを見習えとは言わないが、あれだけ民衆を引きつけ、期待させる人材は少なくとも日本の野党には皆無だ。マトモな有権者ほど悲観したくなる気持ちも分からなくはない。
政治学者の五十嵐仁氏はこう言った。
「いくら盛り上がりに欠ける選挙でも、諦めは禁物です。参院はあくまで『熟議の府』。有権者の多くが安倍政権の危うさに感づいているなら、票を投じて暴政にお灸を据えた方がいい。そして熟議を深める参院をつくれば、政治は必ず変わる。何度選挙をやっても結果は同じと、絶対に傍観してはいけません」
12年と14年の総選挙、13年の参院選と国政選挙で圧勝するたび、安倍政権は有権者から白紙委任状を得たかのごとく、やりたい放題を続けてきた。仏の顔だって3度までだ。有権者が過去の失敗に懲りず4度も騙されるとしたら、いよいよ、民度の絶望的な低さを疑うしかなくなる。
暴政に「待った」をかける抵抗のツールを奪われる(C)日刊ゲンダイ
10.選挙が終わってから思い知らされる安倍暴政の正体と庶民イジメの恐怖メニュー
14年の総選挙で安倍自民党に投票した有権者は約2546万人(小選挙区)。選挙に行かなかった有権者は実に約4922万人に上る。ハナから勝負を諦めて棄権した、およそ5000万人のうち、2割でも投票所に足を運べば、おのずと自公の組織票に風穴を開けられる。間違いなく「改憲勢力3分の2」の選挙情勢を変えられるのだ。
逆に今まで通りに寝てしまったら、庶民イジメの恐怖メニューが待っている。すでに安倍政権は「定額料金・使い放題」、全サラリーマンを格安スマホ化させる「残業代ゼロ法案」の成立を企んでいる。参院選での争点化回避を狙って先の通常国会では審議入りしなかったが、選挙が終わった途端、ただちに再提出するのは間違いない。
安倍政権が勝手に株式運用比率を倍増させた年金基金も絶望的だ。円相場が1ドル=100円前後に張りついている以上、今後も劇的な株高は望めず、虎の子の年金資産は大きく毀損されていく。このままバクチ運用を止めなければ、年金受給開始年齢の70歳への引き上げだって、すぐそこに迫った危機なのである。
「今度の選挙で改憲勢力に3分の2の議席を与えるのは、国民が暴政に『待った』をかける抵抗のツールを完全に失うことを意味します。改憲発議は『国民投票』というワンクッションがあるだけ、まだマシで、安倍政権が憲法破壊の暴政をエスカレートさせ、国民にキバをむいても、反対勢力はあらがう手段を奪われ、手も足も出ない。事実上の独裁を許すようなもので、後世の人々に“なぜ、あんな無謀な選択をしたのか”と歴史的責任を問われることになります」(五十嵐仁氏=前出)
今度の参院選は「民主主義か、独裁か」、どちらを選ぶかの瀬戸際だ。それでも独裁を望むのなら、この国の世論は倒錯していると断言せざるを得ない。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK209掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。