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巻頭特集 地殻変動は起こるのか <第1回>情勢が変わらなければ国民生活は奈落の底
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/185069
2016年7月5日 日刊ゲンダイ 文字起こし
騙されてはいけない(C)日刊ゲンダイ
1.「この道を前に」進めたら年金損失は5兆円じゃ済まなくなる
国民生活の行方を決める天王山の参院選。有権者が投票先を決める上で、安倍政権が「溶かした年金」の問題は重要な争点だ。参院選に向け、自民党のテレビCMがバンバン流れている。カメラ目線の安倍首相が「日本は今、前進しています」と断言。キャッチフレーズは「この道を。力強く、前へ」だ。
街頭演説でも、安倍は雇用や賃上げで成果を挙げたとインチキ数字を並べ立て、「アベノミクスを進めるか否か」と訴えるのだが、国民にとって切実な年金の問題には一切触れない。昨年度は5兆円以上の損失が出ているのに、公表は参院選後に先送りを決め込んだ。
巨額損失を批判されると、安倍は決まって「安倍政権の3年間で37.8兆円の運用収益が生まれた」と言うのだが、これは巧妙なスリ替えだ。
安倍政権は14年10月に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用比率を変え、リスクが高い株式投資を50%に倍増させた。これは成長戦略の一環でもあり、アベノミクスそのものと言える。だからこそ、タイミングを合わせて日銀が追加緩和に踏み切った。
このポートフォリオ変更後、はじめて通年での運用実績が明らかになり、それが5兆円超の損失なのである。安倍の独断で運用比率を変えた途端、5兆円超の損失を出した。37.8兆円の収益は民主党時代からのポートフォリオで出したものであり、“アベノミクス以前”の話だ。民進党の「追及チーム」の会合でも、GPIFの担当者は「一般論だが(ポートフォリオを変えていなければ)損失は出なかった可能性が高い」と認めていた。つまり、5兆円超の損失は安倍の政策ミスということになる。
■年金制度の完全崩壊に向かって前進
安倍は「今すぐ年金の支給に影響するわけではない」「長い目で見て評価すべき」とも強弁するが、長い目で見た方がもっとヤバい。経済評論家の斎藤満氏が言う。
「安倍政権は、アベノミクスの成果を演出するために年金資金を株式相場に突っ込んだ。その結果が5兆円の損失です。支持率を上げるために国民の財産を犠牲にしたのです。長期トレンドで見ればこの先も円高・株安に変わりはないし、GPIFによる株の買い支えもポートフォリオの限界に達している。今後も損が出やすい状況が続き、今年度、来年度とさらに大きな損失を出す可能性は極めて高いのです。しかも、マイナス金利に踏み込んだことで、安全資産の国債による運用も難しくなっている。アベノミクスを続ければ、年金制度は完全に崩壊してしまいます。間違った政策は一刻も早く止めなければなりません」
3年半経ってまだ「道半ば」のアベノミクス。これ以上、国民の財産を溶かされていいのか。現状は、絶望的な事態に向かって前進していると言うほかない。
投票率が上がれば流れは変る(C)日刊ゲンダイ
2.「選挙に行く」9割の世論調査が本当ならば政局になる
投票率が上がれば、選挙結果は大きく動く。今回の参院選ではどう出るのか。
時事通信が1〜3日行った世論調査によると、10日投開票される参院選の投票に「行かない」と答えたのは、わずか5.8%だった。
毎日新聞が先月実施した調査でも、参院選で投票に「必ず行く」は70%、「たぶん行く」が22%で、計92%が「行く」と答えていた。
これが本当なら、政局になる。無党派層の8〜9割が投票に行けば、自公の組織票を大きく上回る。だが、13年の前回参院選の時も、事前調査では「行く」が約9割に上っていたものの、実際の投票率は戦後3番目に低い52.61%と低調だった。
「メディアの責任は甚大です。国政選挙の真っただ中と思えないほど、参院選の報道は少ない。党首によるテレビ討論会もない。参院選の争点を整理したり、安倍政権がこれまで経済を前面に出して選挙に勝った後に何をやってきたかを厳しく検証する報道もありません。参院選は現政権への通信簿といった中間選挙の役割がありますが、こんなに政権党批判のない選挙は珍しい。むしろメディアが率先して与党の圧勝を垂れ流し、流れを決めてしまうような報道には違和感を感じます」(政治評論家・森田実氏)
直近の14年末の衆院選でも、公示直後に自民圧勝の報道が一斉に出たことで、「勝負あり」のムードが広がり、投票率は戦後最低の52.66%に落ち込んだ。投票率が69.28%に達した09年の衆院選と比べると、投票者数は約1700万人の差がある。
「投票率が50%前後だと、自公の組織票で決まってしまう。しかし、無党派層が動き、70%近い投票率になれば政権交代も可能なのです。安倍首相は決して口にせず“死んだふり”を決め込んでいますが、今回の参院選では、改憲勢力が3分の2を得るかどうかが最大の焦点なのは間違いない。歴史の大転換期にいることを有権者一人一人が自覚しなければなりません」(森田実氏=前出)
総務省は4日、参院選の期日前投票の投票者数が、47都道府県すべてで前回13年参院選を上回り、656万2239人に上ったと発表した。13年の同時期と比べ1.43倍に当たるという。もっとも、出口調査では期日前の投票先の多くが自民か公明だ。与党が必死で勝ちを取りに来ているのに、無党派層の動きは鈍い。
ここで無党派層が諦めたり、のんびり構えて投票に行かなければ、憲法改悪はもう目の前。安倍政権の「死んだふり」に騙されたら、国民が権力の暴走に殺されることになる。
英国のEU離脱で為替も不安定に(C)AP
3.民共批判しかできない安倍演説の大嘘は国民総所得36兆円増
テレビCMや街頭演説で繰り返されるアベノミクスの成果はデタラメばかりだ。特に見過ごせないのが、「国民総所得36兆円増加」とかいうやつである。
なぜ、国内総生産(GDP)ではなく、国民総所得(GNI)なのか。GDPがまったく伸びていないからだ。安倍は事あるごとに「4年前のあの暗い時代に戻っていいのか」と批判するが、民主党政権の方が実質GDPは伸びていた。
民主党政権時代の実質GDPの伸び率が約6%に対し、第2次安倍政権になってから3年間の実質GDPの伸び率は2.4%と半分以下。アベノミクスのスタート以降、14年は通年でマイナス成長に落ち込んだし、その後もほぼゼロ成長が続いている。
GDPの数値を見れば、アベノミクスの失敗は隠しようがない。それで、企業が海外で得た儲けも含むGNIを持ち出してゴマカそうという魂胆だろうが、こんなペテンに騙されてはいけない。国民経済を測るには実質GDPが重要だ。
■参院選後は「Abegret」に苦しむ国民
しかも「36兆円」というのは名目値。実質GNIは約25兆円だから、ここでもサバを読んで大きく見せていることが分かる。
「名目で見ても、36兆円のうち14兆円は消費税増税分です。さらに企業の利益は30兆円以上ありますから、個人が大きくマイナスを被っていることになる。アベノミクスで大企業は収益を挙げましたが、それが賃金に回されず、実質賃金は下がり続けている。そのうえ社会保険料などの負担増で、可処分所得は実質賃金の減少分以上に減っています。これではGDPの6割を占める個人消費が上向くはずがない。直近の今年5月の家計消費支出は93.0で、アベノミクス前の12年12月から5・8ポイントも減少しています。アベノミクスを続ければ、ますます庶民生活が苦しくなり、消費に回すお金も増えず、経済が悪くなることは自明です。英国のEU離脱では、離脱派が『バラ色になる』と吹聴した数字がインチキだったことでBritain(英国)とregret(後悔)を掛け合わせた造語の『Bregret』が話題になりました。日本国民もインチキな数字に騙されて、安易に投票すると痛い目に遭いますよ。英国の二の舞いにならないためにも、デタラメな数字は精査する必要があります」(斎藤満氏=前出)
誇大広告まがいの甘言に騙されてアベノミクス継続に1票を投じれば、ますます生活が貧しくなった国民が「Abegret」に苦しむことになる。
(あすにつづく)
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