2016年6月16日(木) 舛添都知事 辞職 参院選に影響恐れる 自公、甘い対応から急転換 舛添要一東京都知事は6月議会の最終日の15日に辞職願を都議会議長に提出しました。政治資金疑惑で厳しい批判を浴びている舛添知事に、甘い対応をしてきた自民党や公明党が、不信任案提出など辞職を求める方向にかじを切ったのは、舛添氏に向いていた批判の矛先が、同氏を担ぎ出した自公両党に向いてきたからです。「東京の問題」(菅義偉官房長官)などとして、当初は知らん顔していましたが、参院選への影響拡大に危機感を強めています。 「官邸の判断は遅すぎだ。先週になって世論調査を行ったら、ものすごい批判が出て、地方の参院選のブロック(選挙区)でも、相当な影響が出ることがわかりあわてた」 自民党関係者はこう述べます。 自民党は、舛添氏を追い込み、参院選と知事選が重なる「ダブル選挙」になることを嫌い、曖昧な対応をしてきましたが、都民の怒りを買いかえって裏目に出た形です。 知事辞任で7月に後任の選挙になると、4年後の東京五輪近くに次の知事選挙となることから、9月まで延命させる「構想」もありました。 しかし、自民党関係者は「そんなことをしたら自民・公明は世論に総すかんを食う。舛添知事が13日の委員会で『リオデジャネイロ(五輪)に行かせてくれ』と言ったものだから、それに同調するわけにはますますいかなくなった」と述べます。 14日に開かれた、比例候補の擁立を進める職域団体の会合で、谷垣禎一幹事長は「今、東京で苦労している。こういうことが起きるとペケがつくかもしれない。これが参院選の怖さだ」と述べました。閣僚の一人も「4年後のことはどうだっていい、それより目の前の選挙だ」として焦りを募らせ、同党奈良県連は、舛添氏の早期辞任を求める申し入れを党本部に送る(14日)など、早期決着を求め緊迫が強まっていました。 舛添氏の辞任で「参院選挙までには有権者は忘れる」(関係者)という侮りもある一方、全く解明されないまま放置されている甘利明前経済再生担当相の口利き疑惑など、自民党の金権体質への無反省ぶりは際立っており、この点でも、厳しい審判が求められます。 (中祖寅一) http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-06-16/2016061602_03_1.html 2016年6月16日(木) 舛添都知事辞職 都民世論の画期的勝利 「光った共産党の追及」の声 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-06-16/2016061602_01_1.jpg (写真)登庁する東京都の舛添要一知事(右)=15日午前、東京都新宿区 東京都議会から辞職要求を突き付けられた舛添要一知事は15日、しぶしぶ辞職を表明しました。3万件を超える都への抗議・意見を寄せた都民の世論の画期的な勝利です。 舛添知事の一連の疑惑は、日本共産党都議団(吉田信夫団長、17人)の高額海外出張の実態調査結果公表が発端となりました。「共産党の追及が光りましたね」。共産党の質疑を取材した商業メディア記者の感想です。 都庁内からは「共産党が提案した不信任決議を、与党まで提案するとは予想しなかった。都政史上画期的な出来事だ」と驚嘆の声があがりました。 疑惑が相次ぐ 高額出張に続いて公用車での神奈川県湯河原町の別荘通い、政治資金の不正使用などの疑惑が相次いで浮上。 なかでも政党助成金に収入の大半を頼っていた舛添氏の政治団体が、家族の旅行宿泊費・飲食費から美術品、外国旅行で購入した衣類・民芸品、漫画・児童書、額縁の購入費まで政治資金から支出していた問題は都民の怒りに火をつけました。 都議会で焦点になったのは、2013年と14年の正月に龍宮城スパホテル三日月(千葉県木更津市)に家族4人の旅行で宿泊した費用を、「会議費用」として政治資金で支出していた問題です。 舛添知事は当初、記者会見で「事務所関係者ら」とホテルの部屋で「会議」を開いたと説明。知事が弁護士に依頼した「調査報告書」では、「会議」が「面談」に、「事務所関係者ら」が「会社社長」に変わり、宿泊したホテルや会社社長から聞き取り調査をしないまま「違法とはいえない」と結論づけました。 共産党都議団は、知事の高額海外出張や公用車の私的使用の公私混同問題、政治資金疑惑について、独自に調査を行い、核心をつく追及を展開。本会議で与党が「違法性はない」と知事をかばったのとは対照的に、共産党は和泉なおみ・大島よしえ両都議が本会議で、13日の総務委員会の集中審議で曽根はじめ都議が、ホテルで会社社長と面談したという知事の説明は作り話の疑いが濃いと厳しく追及しました。 都のある幹部は「猪瀬直樹、舛添と2代続いた都知事が『政治とカネ』問題で辞職したのは恥ずかしい。早く都政を正常化してほしい」と記者に語りました。 百条委設置を 共産党都議団は、13年6月の都議選で8議席から17議席に倍加し、都議会第3党に躍進。都民の世論と躍進した共産党都議団の活動が、猪瀬、舛添両知事を辞職させる推進力になりました。 舛添氏の辞職で疑惑の幕引きをすることは許されません。偽証罪も問える強力な権限を持つ百条委員会を設置し、疑惑を徹底究明すべきです。 「政治とカネ」にまみれた都政から決別し、都民が主人公の清潔な都政への転換が求められています。 (岡部裕三) http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-06-16/2016061602_01_1.html 2016年6月16日(木) 舛添都知事 辞職 「政治とカネ」 世論と共産党の追及で 政治資金の不正支出疑惑などで批判を受けている東京都の舛添要一知事は15日午前、都議会の川井重勇議長に21日付で辞職願を提出し、同日夜の本会議で辞職が認められました。舛添知事は9月まで「時間をいただきたい」などと居座りの姿勢を示していましたが、全会派共同提出で不信任決議案が可決される見通しとなり、辞職を求める圧倒的な世論に追い詰められました。 一連の疑惑は、日本共産党都議団が4月7日、舛添知事の高額海外出張の実態を告発したことが発端で明らかになりました。公用車の私的使用問題、政治資金の不正支出疑惑も発覚しました。 共産党都議団は都議会で具体的事実を追及し、辞職を求めるとともに、6月13日に不信任決議案の提出を表明しました。他の野党会派も不信任決議を提案、自民、公明を含む全会派の共同提出につながりました。 2014年の都知事選で舛添知事を支援した自民、公明両党も世論に追い詰められて辞職を求めざるをえなくなりました。 15日の都議会本会議で共産党都議団は、疑惑の全容解明のため、強力な権限を持つ百条委員会の設置を求める動議を生活者ネットとともに提出しましたが、共産、生活者ネット、かがやけなどの賛成少数で否決されました。反対したのは自民、公明と民進系の2会派などで、真相解明に背を向けた責任が問われます。 舛添氏は、裏金受領問題で猪瀬直樹前知事が辞職したことによる14年2月の都知事選で初当選。2代続けて「政治とカネ」の問題で都知事が任期途中で辞職する前代未聞の事態となりました。 辞職に伴う知事選は議長の選挙管理委員会への通知後、50日以内に行われます。 問われる自公の「製造者責任」知事選は4野党・市民の枠組みで 舛添都知事の辞職 志位委員長が会見 日本共産党の志位和夫委員長は15日、党本部で記者会見し、舛添要一東京都知事が辞職願を提出したことについて記者団から問われ、「舛添知事の辞職は当然です。ただ、舛添氏を知事にかつぎだし、全面支援した自民党、公明党の『製造者責任』が厳しく問われます。さらに、甘利明前経済再生担当相の口利き疑惑を含む自民党の金権体質が厳しく問われます。わが党は、国政でも都政でも清潔で信頼できる政治への刷新を求めてたたかっていきたい」と表明しました。 志位氏は、都知事選挙について、「一地方の選挙にとどまらず、国政にも大きく影響を与えるものです。清潔で信頼できる都政に刷新するため、わが党は国政で進んでいる『4野党プラス市民』の枠組みを大切にして、ベストの候補者を擁立すべく努力したい」と述べました。 また、志位氏は「一連の政治とカネにかかわる問題については、企業・団体献金の問題、政党助成金の問題が腐敗をもたらす根っこにあることは明らかです。これをなくしていく努力を続けていきます」と述べました。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-06-16/2016061601_02_1.html 2016年6月16日(木) 知事辞職は都民世論の勝利 都議会定例会閉会 大山党都議団幹事長が談話 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-06-16/2016061606_01_1.jpg (写真)大山とも子都議 日本共産党東京都議団の大山とも子幹事長は15日、都議会第2回定例会の閉会にあたって談話を発表しました。要旨を紹介します。 一、本日の本会議で、舛添知事が提出した辞職願が全会一致で同意されました。舛添知事の辞職が決まったことは、都民世論の画期的な勝利です。 舛添知事の高額な海外出張、公用車の私的利用、政治資金の不正使用に対し、都民の怒りの声が広がり、都庁に3万件を超す批判の声が寄せられ、真相究明と知事の辞職を求める声が大きく高まりました。この力が、最後まで辞職を拒み続けてきた舛添知事に、続投を断念させたといえます。 日本共産党都議団は、独自の調査で舛添知事の税金、公的資金の私的流用の実態を明らかにし、本会議質問、総務委員会における質疑で、舛添知事を厳しく追及するとともに、知事が疑惑の全容を明らかにし、速やかに辞職するよう強く求めてきました。 また、知事の不信任案を提出し、各会派に共同提出を呼びかけるなかで、不信任案の全会派による共同提案が実現しました。こうしたことが、辞職に追いこむ大きな力になったと思います。 一、一方、わが党と生活者ネットが提案した偽証罪も問える、強力な権限を持つ百条委員会の設置を求める議案は、残念ながら否決されました。 都政でふたたび、今回のような事態をくりかえさないようにするために、一連の問題を調査、解明することは避けられません。百条委員会の設置に反対した会派は都民の批判をまぬがれないでしょう。 政治資金の不正使用問題では、舛添知事がお正月に家族とともに泊まった木更津のホテルの宿泊代金は、「会議費用」と記載され、政治資金で支払われました。わが党の追及に対し舛添氏は、知事選立候補問題で、1時間程度「面談」したからだと言いましたが、その人物の名前を明らかにすることを拒否、ホテルにその人物が実際に来たことを証明することもできなかったのです。しかも、わが党の調査で、知事が領収証と一体になっていた明細書を切り離して、政治資金収支報告書に添付していたことがわかりました。政治資金規正法違反に当たることが浮き彫りになりました。 わが党は舛添氏が引きおこした問題の全面解明に力をつくすことはもとより、清潔で、都民が主人公の都政をつくるために、幅広い都民のみなさん、共闘できるすべての政党、団体のみなさんとともに全力をつくすものです。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-06-16/2016061606_01_1.html 2016年6月16日(木) 主張 舛添都知事の辞任 都民への説明責任残っている 数々の「政治とカネ」をめぐる疑惑で不信任を突き付けられていた舛添要一東京都知事が、不信任案の可決が予定されていた都議会の直前、辞任することをようやく表明しました。都民の世論に追い詰められた結果です。都知事は辞めることになっても、巨額の海外出張費問題や公用車の私的使用、政治資金の不正使用・虚偽報告などの疑惑は残っています。舛添氏は引き続き自らの疑惑を解明する責任を果たすべきです。猪瀬直樹前知事、舛添知事と2代にわたって「政治とカネ」の疑惑で知事が辞任する中で、都民本位の清潔な都政の実現がいよいよ課題です。 不誠実の一語に尽きる 一連の疑惑が発覚し始めてから2カ月余り、舛添知事の態度は不誠実の一語に尽きるものでした。 最初に日本共産党などが追及した巨額の海外出張費問題では、舛添氏が海外出張のたびに航空機のファーストクラスや高級ホテルのスイートルームを使って豪華旅行を繰り返しているという指摘に、知事は当初、東京都知事だから当たり前だと言わんばかりの態度でした。次いで明らかになった都庁の公用車を使って毎週のように神奈川県湯河原町の別荘に通っているという指摘にも、知事は平日の仕事のためには週末の休養は必要だと開き直りました。豪華旅行や別荘通いの見直しを口にしたのは都民の批判が高まってからです。 その後週刊誌などで報道された政治資金の不正支出問題でも、舛添知事は満足な説明さえしようとせず、ようやく開いた記者会見では「第三者」の弁護士に調査してもらうとしただけで、説明を拒否したのです。都議会の代表質問の前日になって公表された調査報告なるものは、家族で泊まったホテルの代金を政治資金に計上したのは知人との会合を持ったためだといいながら、相手の氏名さえ明らかにしない不十分なものです。都議会の代表質問や一般質問、集中審議を通じても口先で「反省」をいうだけで事実を明らかにしようとしない舛添氏の態度に、都民の批判が沸騰したのは当然です。 日本共産党などが繰り返し、事実を明らかにして辞任をと迫っても、舛添氏は知事の座にしがみ続けてきました。ついには与党の自民、公明もかばいきれないほど都民の怒りは高まり、都議会の全会派で不信任案が可決されようとしていた矢先、舛添氏が辞意を表明したのです。辞任すれば追及を免れるというのが舛添氏の思惑だとすれば、それこそ許されません。 都民の血税を浪費し、政治資金についても私的使用や虚偽の報告を繰り返していた疑惑は政治家にとって絶対にあいまいにできないものです。辞意表明したとしても百条委員会などあらゆる機会で説明責任を果たさせるべきです。 問われる自公の重大責任 前任の猪瀬知事が5000万円に上る選挙資金の不正疑惑で辞任し、後任の舛添知事も「政治とカネ」の疑惑で辞任したのは重大です。疑惑の徹底究明は腐敗政治の根を断つためにも不可欠です。 とりわけ、舛添氏を推した自民、公明の責任は重大です。知事選では安倍晋三首相、山口那津男代表がそろって応援に立ちました。都政の刷新のためにもその「製造者責任」はあいまいにできません。 疑惑の解明と清潔な都政実現へ力を尽くすことが求められます。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-06-16/2016061601_05_1.html 2016年6月16日(木) きょうの潮流 やっとか。辞職の一報を聞いたとき、そう思った方々も多いのでは。突っぱね、頭を下げ、泣き落とす―。保身のためには手段を選ばない舛添都知事の姿は正直うんざりでした▽日本共産党の都議団が豪華海外出張を告発してからの2カ月余。あきれるほどの公私混同が次々にあらわになりながら、最後まで誠実な態度はありませんでした。それどころか、当初は「まったく問題ない」「政治家はトップリーダー」という傲慢(ごうまん)さ▽こんな人物を「この人しかいない」と都知事に担ぎ出し全面的に支援したのが自民、公明の両党でした。安倍首相は、山口・公明代表とともに舛添氏を応援した宣伝カーで首都東京にはこの人が必要と絶叫。「舛添厚労大臣を誕生させたのは私」と得意顔でした▽辞めたといっても疑惑の解明はまだこれから。参院選への影響を考え、自公がこれで幕引きとするならば都民にたいする二重の裏切りです。不祥事をくり返さないためにも都議会で事実を明らかにしなければなりません▽「石原氏、猪瀬氏、そして舛添氏恥ずかしきかな都知事列伝」。本紙の読者の文芸欄で紹介された短歌です。長きにわたり都民の暮らしそっちのけで都政を混乱させてきた自公の罪は重い。政治とカネの問題は都政に限らず、国政でも根深い▽権力欲やカネにまみれた政治はもうたくさん。すでにメディアでは次の都知事候補の話題が取り上げられています。今度こそ、力を合わせて国政にも都政にも清潔で信頼できる政治を取り戻したい。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-06-16/2016061601_06_0.html
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