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2016年東京都知事選の候補者人選ー(植草一秀氏)
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15th Jun 2016 市村 悦延 · @hellotomhanks
7月10日の選挙に向けて、この国のかたちをはっきりと認識して、
何を争点として選挙に臨むべきかをすべての主権者が考えなければならない。
5月24日に鳩山友紀夫氏の東アジア共同体研究所が主催する
第14回世界友愛フォーラムで講演をさせていただいた
「安倍政治の本質とブレイクスルーの方策」
https://www.youtube.com/watch?v=AYaIEPu5vTk
を公開していただいているので、ぜひご高覧賜りたい。
講演内容は以下のとおり。
1.この国のかたち 米・官・業・政・電による日本支配
2.暴走する安倍政治 立憲主義と日本国憲法の破壊
3.暴走する安倍政治 戦争と原発の推進
4.暴走する安倍政治 アベノミクス失敗と消費税増税
5.暴走する安倍政治 弱肉強食推進成長戦略とTPP
6.鳩山政権殲滅工作 誰が鳩山政権を破壊したのか
7.資本主義対民主主義 ブレークスルーの方策
参院選に向けて、考え方を整理する上で、ご参考にしていただければありがたく思う。
何よりも大事なことは、
「安倍政治を許さない!」
と考える主権者と政治勢力がひとつにつながり、大同団結、連帯することである。
さて、東京都知事の舛添要一氏が東京都知事を辞職する辞表を提出した。
舛添氏は私が大学に入学したときに教養課程で政治学の講義をしており、そのときからの接触がある。
報道関係の番組でよく一緒に出演もしていた。
今回は政治資金の使途における公私混同問題がクローズアップされて、辞任に追い込まれた。
本来、公職にある者は、「公」と「私」の区別を厳格にしていなければならない。
血税の使い道は「公」の目的に限られる。
政治資金の使い道も「公」の目的に限られる。
正しい政治を行う第一歩は、政治に関わる者の清廉潔白さである。
その視点から見れば、舛添氏が辞任に追い込まれたのはやむを得ないと言って良いだろう。
もうひとつ重要なことは、「謝罪の作法」である。
「謝罪」するべきことがあるなら、率直に「謝罪」することが一番大切だ。
パーフェクトなどないのだから、過ちはあるだろう。
事実に正面から向き合い、事実を認め、そのことに見合う謝罪を真摯な姿勢で示す。
その結果、許しを得られるのか、許しを簡単に得られないのかは、
謝罪を受けた側が決めることで、「過ち」の代償として、その裁定には従うほかない。
事実を認めず、真摯な謝罪を示さず、「過ち」の代償から逃れる行動は、「逃げ」であり、
謝罪を受ける側の反発をさらに強めてしまう結果をもたらす。
舛添氏の説明のほとんどが「言い逃れ」であると判断され、
主権者の「許す」の正反対の反応を招いたと言える。
この点について言えば、
6月1日の安倍晋三首相の消費税増税再延期会見の姿勢も極めて類似したものであると言える。
「消費税再増税の再延期はない」と断言した。
しかも
「景気判断条項を付すことなく消費税再増税を実施する」
と断言していたのだから、その増税を再延期するなら、まずは率直に謝罪をするべきであった。
謝罪をし、その上で、再延期を決意した理由を述べる。
それについて、理解を得られるのかどうかを、選挙での審判によって受ける。
この姿勢が必要であった。
謝罪せず、
「新しい判断」で再延期すると開き直り、
参院選の争点は「アベノミクスを加速させるのか、逆戻りさせるのかだ」と強弁しては、
主権者は安倍氏に厳しい判断を示すことになるだろう。
しかし、安倍氏に対してはメディアが攻撃せず、舛添氏に対しては過剰とも言える攻撃を展開した。
政治資金の不適正な使途が問題にされるなら、多数の政治家がやり玉にあげられなければおかしい。
安倍首相の政治資金の使途についても、舛添氏と同様に問題とされるものがある。
舛添氏をこの問題で辞職に追い込むなら、安倍氏も辞職に追い込まなければならない。
この点を考えると、舛添氏辞職の裏側には、やはり大きな力が働いていると見るべきである。
主権者の多くがメディアの思うままに誘導されている現実を直視することが何よりも重要である。
舛添氏が辞職に追い込まれた理由として考えられるのは次の三つだ。
第一は、参院選への影響が拡大する惧れが高かったこと。
舛添氏の続投を容認する場合、続投を認める自民党、公明党が、主権者の強い批判を浴びる。
このことが7月10日の参院選における、自公の得票を大幅に減少させる惧れが高まった。
舛添氏が辞職に追い込まれた直接の理由はこの部分にあったと言ってよいだろう。
第二の要因は、東京五輪の組織委員会における東京都知事の権限が大きいなかで、
舛添氏のコントロールが利きにくい面が表面化したことだ。
森喜朗氏を頂点とする組織委員会にとって、東京都知事はコントロールの利くロボットでなければならない。
ところが、舛添氏は単なる操り人形になることを拒絶していた。
かつて五輪を担当していた下村博文元文科相にとって、舛添氏は許し難い存在になっていたと推察される。
第三の要因は、第二の問題とも関わるが、カジノ推進問題における意見対立があったと見られることだ。
これらの要因により、舛添氏の排除が決定されたのだと推察される。
すでに焦点は次期都知事の候補者擁立に移っている。
名前が浮上しているのは、
池上彰氏
と
総務事務次官の桜井俊氏である。
桜井氏は人気グループ「嵐」の桜井翔氏の父親である。
総務省官僚出身の知事は多い。
かつて東京でも鈴木俊一氏が自治官僚出身者で知事に就任した。
桜井氏を擁立できれば、選挙権年齢が引き下げられたなかで、
若年層の票を得ることができるのではないかとの期待も強い。
しかし、これらはいずれも、安倍政権側の目論見、思惑であって、
東京都知事選の一方の側面の事情しか表わしていない。
東京都知事選においても、現在の政治の暴走を容認するのか、
それとも、これを許さないのか、という基準で選挙が実施されなければならない。
前回2014年の選挙では、反原発を唱える陣営が2人の候補者を擁立して、
投票が分散し、その影響もあって舛添氏が当選した。
したがって、
「安倍政治を許さない!」
「政治の暴走を許さない!」
陣営が候補者を一人に絞り込むことが極めて重要になる。
恐らく、既得権の側は、反権力陣営の候補者を複数にするための工作活動を展開するだろう。
その結果として得票が分散すれば2014年の轍を踏むことになる。
2014年の失敗を教訓として活かさなければならない。
具体的には、
明確に反既得権の候補者を擁立することだ。
中間の候補者は、共倒れを目的に擁立される候補者になる可能性が高い。
2014年の轍を踏まぬためには、より明確に、
いまの政治の流れをはっきりと変える候補者を擁立することが重要である。
そして、
「安倍政治を許さない!」
と考える主権者は一致結束してこの候補者を支援する。
中間的な立場から候補者が擁立される場合、
現在の政治継続を容認する主権者の投票を、既得権の側の候補者と、
この中間的な立場からの候補者とが票を奪い合う構造を生みだすように誘導するべきだ。
政治の流れを首都東京からはっきりと変える。
これが日本政治潮流転換の最重要の契機になる。
日本政治が停滞している最大の理由は、
中間的な位置にいる野党の一部、はっきり言えば現在の民進党のなかに、
「隠れ自公」
と呼ぶべき勢力が居座っていることにある。
これを野党勢力から除去することが日本政治を刷新するための決定打であり、必要不可欠なことだ。
したがって、この点を踏まえて都知事選に対応するべきである。
32の選挙区で野党候補一本化が実現したから、
この流れを都知事選にも生かすべきではあるが、政治を刷新できる候補者で一本化できるのかどうか。
一本化ができない場合には、主権者は、はっきりと政治刷新の候補者に投票を集中させるべきである。
日本政治は2016年夏の陣を迎える。
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