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貧困者と奨学金の大卒者が自衛隊入隊→戦地の動きが現実に起きている!
http://biz-journal.jp/2016/06/post_15477.html
2016.06.14 構成=林克明/ジャーナリスト Business Journal
4月30日に早稲田大学で行われた「学生と戦争 - 経済徴兵制をぶっ潰せ! -」の第2弾は、『経済的徴兵制』(集英社新書)の著者であるジャーナリストの布施祐仁氏による講演だ。
軍隊が貧困や経済的格差を利用し、徴兵制のように安定的に兵員数を確保するシステムが「経済的徴兵制」である。アメリカではかなり進み、貧しい若者が入隊してアフガニスタンやイラクの戦争で犠牲になってきた。
日本でも、自衛隊発足当初から所得の低い階層や地域から多くの若者が入隊してきたが、今後は安全保障法制によってその意味合いが変わっていく。この点を、自衛隊内部文書や自衛官と元自衛官を多数取材した経験を踏まえ、布施氏が語った。以下、布施氏の講演を紹介する。
■安倍首相の「徴兵制にはならない」は信用できない
昨年、安保関連法が成立したことで、実際に海外で戦死者が出れば自衛隊への入隊志願者が大きく減り、将来は日本に徴兵制が導入されるのではないかという不安が持ち上がってきました。一方、政府は「徴兵制になることは絶対にない」と否定しました。
安倍晋三首相は、日本が徴兵制にはならない理由のひとつとして「憲法に書いてあるから」と言っています。憲法の解釈を変えた人が、「憲法に書いてある」と言っても安心できません。
さらに安倍首相は、「現代の戦争は非常にハイテク化されているため、徴兵で素人をたくさん集めても使えない」とも述べています。では、自衛官募集の実際を見てみましょう。
2014年度の自衛官の採用者数は、一般幹部候補生292人、一般曹候補生4457人、自衛官候補生8239人。自衛官候補生というのは、自衛隊における有期雇用、非正規雇用といっていいでしょう。基本は任期制で、2〜3年で勤務は終わりますが、その後に継続することもあります。
それに対して、一般幹部候補生と一般曹候補生は、定年まで自衛隊に勤めるプロのコースです。素人の兵隊が不要であるならば、6割を超える自衛官候補生を集める必要はないはずです。
かつての戦争とは形態が変わったとはいえ、軍事作戦にはプロの「職業軍人」だけ
でなく、若い「兵隊」が絶対に必要なのです。
しかし、若い兵隊の確保は、これから極めて厳しくなるといわれています。その一番の理由は、少子化です。自衛隊は、このまま少子化が進めば近い将来には採用目標が達成できなくなるという危機感を持っています。その上、安保法制の施行が加わると、より自衛官の募集は厳しくなるでしょう。
■自衛官の出身分布と貧富の差
そこで浮上してくる案が、経済的徴兵制です。アメリカがその典型として例に挙げられますが、実は日本でも自衛隊が創設された当初からそうでした。農家の二男、三男が自衛隊に入るケースは多く、経済的な理由から自衛隊に入る人がいるという事実は、長い間指摘され続けてきました。
上の表は、自衛隊入隊者と貧困率の関係について調べた結果です。高校卒業後に入隊した都道府県別の上位15県は、圧倒的に東北、北海道、九州が多く、この傾向は長年変わっていません。
貧困率と一人当たり県民所得を見ると、自衛隊入隊率が高い上位15県のうち13県の県民所得は、低い方から15位以内に入っています。
さらに、この年の全国の高卒自衛隊員のうち、貧困率上位15県の出身者が52%も占めています。これら15県の高校新卒者は全国の26%という人口比率に照らしてみると、ほかの地域に比べて入隊率は2倍も高いといえます。
■自衛隊を就職先とする人、入隊後に夜間大学をめざす隊員
従来、任期制隊員は高卒がほとんどで、大卒は幹部候補生など将来幹部になる人が多かったのです。ところが、最近は大卒で任期制隊員になる人が急増し、ここ10年間で約2倍になり、任期制の入隊者の約4人に1人が大卒という状況です。
その大卒自衛隊員は、奨学金を返済するために入隊した人が多いようです。奨学金を借りると、大学を卒業するまでに何百万円もの借金を背負うことになります。今や大学を卒業しても正社員になれないことも多く、非正規社員では収入が低く奨学金を返せなくなるリスクがあります。
現在、大学生の2人に1人は、なんらかの奨学金を借りており、卒業時の借金額は平均313万円、返済期間は14年強です。大学院まで進んだ人のなかには、1000万円以上の借金を抱えるケースもあり、多くの人が“奨学金地獄”で破綻している。
逆に、大学に入るために自衛隊に入る人もいます。「大学に入るための自己資金が足りず、奨学金を借りようと思ったがリスクになることが怖かった」との理由から自衛隊に入り、数年後には働きながら夜間の大学に通い始めた人がいます。
また、母子家庭で育った人が「大学に行けば親に負担をかけることになるが、自衛隊は衣食住がタダだから、親に仕送りができて親孝行ができる」という理由で自衛隊に入った例もあります。
自衛隊もそのような実態を理解しており、民間の雇用環境が悪化するなか、相対的に自衛隊が魅力的であるとアピールしています。
■「ネイリストの資格も取れる」とアピールする自衛隊
上図は、自衛隊が任期制隊員を勧誘するための資料です。自衛官とサラリーマンの給料の比較をしています。
自衛隊なら駐屯地の生活なので、家賃、食費、衣服、生活費はかかりません。毎月手元に6〜7万円残るので、仕送りをしたり貯金をすることができます。実際に、母子家庭で育った方が親へ仕送りをしている例も少なからずあります。
民間の企業へ就職するとお金に余裕がなく、いざ病気になった場合に医療費の心配もしなければならないと不安を煽り、自衛隊は部内の病院や医務室で原則無料の治療が受けられるので、民間企業よりも自衛隊に入隊することを勧めています。
また、自衛隊に入れば、辞めた後の再就職サポートも充実しているとアピールしています。代表的なのは、資格や技術の取得です。フォークリフト、移動式クレーン、危険物取扱者、衛生管理者、溶接、パソコン基礎などの資格を取ることができます。女性限定の資格として、医療事務、ブライダルプランナー、ネイリストも取れます。
自衛隊で取得可能な資格
少子化で今後募集が困難になるため、女性隊員も集めなければ採用目標が達成できなくなります。そのため、女性にとっても魅力的な自衛隊であることを訴えるために、このような資格も用意しているのです。
自衛隊は10年以上前から、来る募集難時代に備えた対策を検討しています。そのひとつが、民間企業とタイアップしたインターンシップ制度です。民間企業に就職が内定した新入社員を自衛隊が1〜2年預かり、立派な社会人に育てるというシステムです。
企業側のメリットは、自衛隊で鍛えられ、指示すれば的確に動くような“体育会系人材”を一定割合で確保できるという点です。防衛省側のメリットは、厳しい募集環境のなか、若くて有能な人材を毎年一定程度確保できることにあります。
また、元陸将の廣瀬誠氏が2015年9月2日付朝日新聞の記事の中で、「進学したいのにお金がない若者を支援するため、自衛隊に入れば入学資金を得られるような制度も考えられるべき」と語っています。これはまさにアメリカのように、自衛隊独自の奨学金制度をつくることで隊員を募るという考え方です。
現在も、将来の自衛隊の技術系幹部を養成するための「貸費学生」という独自の奨学金制度があります。医学系、理工学系の大学3年生以上を対象に毎月奨学金を与え、その代わり卒業したら自衛隊に入ってもらうというものです。自衛隊で何年間か務めると、返済の必要がなくなる奨学金です。「国には給付型奨学金がないが、自衛隊にはある」とアピールしているわけです。自衛隊は、この貸費学生の枠を拡充しようとしています。
さらに、14年5月26日には、当時経済同友会専務理事だった前原金一氏が文部科学省の「学生への経済的支援の在り方にかんする検討会」のなかで、インターンシップ制度をモデルにして、「奨学金返済を延滞し、職のない若者に1〜2年自衛隊に入ってもらえば、その給料で奨学金の返済もでき、さまざま資格も取れて自立につながる」と提案しています。
■大学生を予備自衛官補に勧誘
有事の際に、元自衛官などを召集して任務につかせる予備自衛官制度に、自衛隊経験のない一般国民を予備自衛官として育成する「予備自衛官補」という制度を拡大しようとしています。
これは3年間で50日間訓練に参加すれば予備自衛官になれる制度で、従来は社会人が募集の主な対象でした。しかし、今は大学生向けに予備自衛官補を募集しているのです。その漫画形式のフライヤーには、このような会話が掲載されています。
自衛隊「アルバイトは社会に出る予行演習です。よく考えて自分にプラスになるアルバイトを選びましょう」
学生A「自分は体力を活かせるバイトをしたいッス!」
学生B「受験勉強ですっかり虚弱になりました。バイトよりジムに通いたいです」
学生C「カテキョーとかコンビニとかフツーのバイトは俺、ぜってー無理」
学生D「やっぱバイトって出会いが一杯で! すてきな彼氏とか! つくりたいし!」
自衛隊「なるほど、そんな君たちお薦めのバイトは・・・これです!(中略)まずは試験を受けて予備自衛官になりましょう」
自衛隊が学生の予備自衛官補への募集に力を入れ始めた背景には、単に予備自衛官の充足率を高めようというだけでなく、卒業後の進路選択につなげる狙いがあると考えられます。
■国益追求のための自衛隊
今年の防衛大学校の卒業式でも、「事に臨んで危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努めにあたる」と卒業生は宣誓を読み上げました。卒業式で安倍首相は、「これまでと同様、自衛隊にはリスクがある。そのリスクとは、国民のリスクを避けるためのリスクだ」と訓示しました。
しかし、これまでのリスクは、専守防衛で日本が攻められたときに侵略を排除するためのものでした。それが、これからは日本が攻められていなくても海外に出て、アメリカの戦争に参加することになります。しかも、その目的も変わります。
自衛隊の海外派遣は1990年代に始まりましたが、その目的は国際貢献とされてきました。しかし最近は、国際貢献ではなく「国益のため」といっています。2009年1月、第2代中央即応集団司令官の柴田幹雄陸将は、次のように訓示しています。
「中央即応集団は、海外における国家目的や戦略的利益を追求するためのツールもしくは手段として使用される」
本来、自衛隊は専守防衛で、外国からの侵略を排除するための実力組織だったはずです。それが、いつの間にか上の訓示のように我々国民が知らないところで自衛隊の目的が勝手に変えられ、海外での国益を追求するためのツールとされてしまっているのです。
それを象徴しているのが、現在安倍政権が進めようとしているアフリカのジブチに自衛隊が置いている基地の恒久化です。もともとは海賊対処活動のためにつくった基地ですが、去年の海賊の出没はゼロでした。目的が消滅したにもかかわらず、ジブチの基地を恒久化し、自衛隊活動の海外拠点にしようとしているのです。
その背景には、アフリカの豊富な資源へのアクセスやこれから著しい経済成長が予測される市場への進出を目指していることがあります。そのためのツールとして、自衛隊を使おうとしているのです。
確かに、日本はエネルギーを海外に依存していることもあり、シーレーンを守ることも政府の大事な仕事のひとつでしょう。しかし、そのために自衛隊を海外に送り、場合によっては自衛官の命が危険にさらされることも仕方ないという姿勢は間違っているのではないでしょうか。
少なくとも、日本は戦後70年間、海外での経済的利益や国益追求のために軍事力は使わない国として歩んできました。それを180度変えようとしているのが安倍政権です。国益追及のためなら自衛官の犠牲が出ても仕方ないなどという国にはなってほしくありません。
経済的徴兵制の最大の問題は、海外での国益追求のために、経済的に厳しい若い人たちの命を消耗させることです。アメリカはずっとそれをやってきました。日本も同じような道をたどっていいのかということが問われているのです。
(構成=林克明/ジャーナリスト)
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