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自民党の公約を酷評した産経新聞の社説をどう読むかー(天木直人氏)
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10th Jun 2016 市村 悦延 · @hellotomhanks
きょう6月11日の産経新聞の社説(主張)に私は驚いた。
なにしろ、今度の参院選で自民党が掲げた公約を徹底的に酷評しているからだ。
「無責任な公約は見直せ」と題するその主張が野党の公約を批判するのならわかる。
しかし、自民党の公約を批判しているのだ。
「自民党の公約はそのまとめ方、内容ともに、
政権与党としての責任や緊張感に欠けていると思わざるを得ない」
そういう書き出しで始まるこの「主張」の要旨は次の通りだ。
消費税増税か再延期かによって、その前提はまったく違ってくるのに、
安倍首相が再延期を表明した翌日に1億総活躍プランなど4方針を閣議決定し、
更にその翌日に公約を発表した。どれだけ真剣な議論をしたというのか。
公約に掲げられている介護、子育て、とりわけ社会保障の充実について、
消費税増税を再延期してその財源確保はどうするのか。
民進党の岡田代表が赤字国債発行に言及した事を批判し、
自民党は赤字国債に依存しないというが、無責任極まりない。
さすがに稲田朋美政調会長も財源不足を念頭に、
「すべてのメニューをやるのはむつかしい」と予防線を張ったが、
有権者に聞こえの言い政策を羅列するのではなく優先順位を明示せよ。
そして最後にこう書いている。
「安倍政権が増税に耐えうる強い経済を実現できなかったことは隠しようがない」と。
これ以上の安倍経済失政批判はない。
アベノミクスは失敗だったと言っているのだ。
何が起きても、すべて安倍首相のせいにする日刊ゲンダイならまだわかる。
しかし、読売と並んで安倍政権を支える産経がこのような社説を掲げる事は異例だ。
その理由はどこにあるのか。
それはもちろん、産経新聞までもが認めざるを得ないほど安倍政権の経済政策が破綻しているからだ。
しかし、もう一つの大きな理由がある。
それは今の野党の下では、安倍政権は逆立ちしても倒れない事を知っているからだ。
今度の参院選でも自公政権が勝つのは自明であり、安倍政権はさらに続く事を知っているからだ。
そうである以上、安倍政権をいくら叩いても、安倍首相は怒らない、と高をくくっているからだ。
野党不在であるからこそメディアが批判しなければこの国の経済は危ないと考えているからだ。
野党も舐められたものである。
このような記事を書けるのは元日経新聞の編集委員で
現産経新聞特別記者・編集委員兼論説委員である田村秀男記者に違いない。
◇
【主張】参院選1カ月 無責任な公約は出し直せ
http://www.sankei.com/column/news/160611/clm1606110003-n1.html
2016.6.11 05:03 産経新聞
消費税増税の再延期の是非について、安倍晋三首相が「国民の信を問う」と位置付けた参院選がひと月後に迫った。
直面する内外の危機をどう克服するか。各党は具体的な処方箋を国民の前で競ってほしい。
その意味で、自民党の公約はそのまとめ方、内容ともに、政権与党としての責任や緊張感に欠けていると言わざるを得ない。
首相が消費税増税の再延期の考えを表明したことを受け、政府は1億総活躍プランなど4方針を閣議決定した。公約はその翌日に発表されたものだ。
「いち早く発表した」などという声があったのには耳を疑う。予定通りの増税か、再延期かではまったく前提が異なるだろう。わずか1、2日で、どれだけ真剣な議論が交わされたのか。
増税延期を喜ばない有権者は少ないだろうから、難しい理屈などは必要ない。そうした安易な姿勢がなかっただろうか。
公約では、介護・子育ての拡充といった総活躍プランはもとより、再延期に伴う社会保障の充実などの実現に向けた財源の確保策についても曖昧なままだ。
民進党の岡田克也代表が増税再延期で赤字国債発行に言及したことを批判し、自民党は赤字国債に依存しないという。
だが、代替財源を明確に示さないまま「経済成長による成果」を挙げるのは、与党の責任ある政策とはいえない。行財政改革の断行などで、地道に財源を捻出する道筋も具体的に示されていない。
さすがに、稲田朋美政調会長は財源不足を念頭に、「全てのメニューをやることは難しい」と予防線を張っている。
だが、有権者に聞こえのいい政策を羅列するだけでなく、優先順位を付け、どれを見送るかを言わなければ、ばらまき政治との批判はかわせまい。
とくに自民党が丁寧に説明すべきなのは、デフレ脱却を確実にしていく上で、次は何を約束するかである。安倍政権が増税に耐えうる強い経済を実現できなかったことは隠しようがない。
谷垣禎一幹事長は個人消費の伸び悩みについて「どうやったら本当の意味での経済活性化ができるか、首相は悩んでいる」などと述べている。正直な心境だろう。
その答えを示し、論争する選挙にしてもらいたい。
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