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安倍首相 (c)朝日新聞社
現職閣僚も落選危機 激戦区続出の参院選に安倍首相も焦り〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160607-00000172-sasahi-pol
週刊朝日 2016年6月17日号より抜粋
「国民の信を問う以上、目指すのは連立与党で改選議席の過半数(61)の獲得だ」
国会が閉幕した6月1日、安倍晋三首相が記者会見で強調したのは、きわめて控えめな参院選の勝敗ラインだった。
3年前の参院選(自民65、公明11)と比ぶべくもない、弱気な数字だ。安倍首相にとって、いまだに参院選は“鬼門”なのか。
「第1次安倍政権が崩壊し、のちの民主党への政権交代のきっかけは、2007年の参院選での惨敗です。スキャンダルや失言が相次いだ当時と今回は似ていて、トラウマを抱える首相は、確実に勝ちたい。そのため、安全な数字を口にしているのです」(自民党関係者)
そもそも国会閉会の直前までの半年あまり、野党共闘を強く牽制(けんせい)する「衆参ダブル選挙」になるか、「参院単独選挙」になるかが注目されてきた。首相はなぜダブル選を回避したのか。政治評論家の浅川博忠氏は、安倍首相には二つのもくろみがある、と分析する。
「悲願は憲法改正と、2期6年の総裁任期を延長して20年の東京五輪まで政権を担うということです。そのためには、衆院で現有の291議席を減らすリスクを背負ってダブル選をするより、参院選で足固めをするほうが堅実。できるだけ総理の椅子に長く座り、国民が納得する形で憲法改正を実現していきたいのです」
つまり、衆院で与党が3分の2を確保している今だからこそ、参院選の結果が首相の宿願成就の“カギ”を握っているということなのだ。
本誌は、浅川氏と政治ジャーナリストの角谷浩一氏に、参院選の121議席の行方を予測してもらった。
まずは参院選の政党別予測から見ていこう。浅川氏によると、自民は現有(改選)から12議席増の62議席。角谷氏は、1議席増の51議席になると予測した。両氏とも民進は大幅に減少するが、改選3議席の共産党は、浅川氏が9議席、角谷氏が11議席へと大躍進すると見ている。
参院選の勝敗を左右する、32の1人区については、浅川氏が与党の「29勝3敗」と予測。数字だけ見ると“自民圧勝”に見えるが、「楽観できない情勢だ」と浅川氏は言う。
「32全ての1人区で、民進、共産、社民、生活による野党共闘の戦いとなり、激戦区が続出しています。今後、野党がうまく争点を設定し、野党間の選挙協力が濃密なものになれば、与党が『25勝7敗』と、結果が変わっていくでしょう」
一方、角谷氏は、与党は「20勝12敗」と、かなり厳しめの数字を言い、こう補足する。
「野党統一候補が擁立されたことで、青森、岩手、宮城、山形、福島、新潟、山梨、長野、三重、滋賀、大分、沖縄では、与党議員が苦戦しています」
なかでも注目すべきは、東京電力福島第一原発事故の被災者を今なお多く抱え、13年の参院選から改選数が2から1に削減された福島選挙区。国会閉会後の3日、安倍首相が真っ先に駆けつけたのが、岩城光英法務相の地元である、福島県いわき市だった。
「岩城さんは絶対に負けるわけにはいかない。岩城さんはがんばっています。福島の復興のために、日本が輝く国となるために、私は岩城さんを必要としています」
安倍首相が街頭演説でそう叫ばざるをえないほど、“落選の危機”にあるのだ。現職閣僚が落選すれば、1強の安倍政権とはいえ、ダメージは大きい。
「岩城法相は、過去3回の選挙でいずれも2位当選。今回は大臣効果を期待していましたが、国会答弁でしどろもどろになる姿が目立ち、むしろマイナスになってしまった。もともと選挙に強くない上に、野党は現職の増子輝彦氏との争いで厳しいですね」(自民党選対関係者)
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