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「言論と表現の自由が損なわれている息苦しさがある」志茂田景樹さん
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June 07, 2016 かばさわ洋平
「言論と表現の自由が損なわれている息苦しさがある」
作家の志茂田景樹さんが終戦時の20歳で戦死した兄の悲願、今また言論や表現の自由に息苦しさがあるとして戦前の状況を今感じると語っています。戦前、戦中を知る世代の声が安保法制強行して海外で武力行使可能にしようとしているいま本当に大事です。まさに日本を戦争する国にしないために一人一人が声をあげるときですし、選挙という民意を示すプロセス、権利を私たちは責任をもって果たさなければならないと思います。
6/7 赤旗
終戦時、僕は5歳でした。1945年に出征し20歳で戦死した兄の記憶は今も鮮明です。兄は東京の渋谷税務署に勤めて間もなく招集され、満州に渡りました。廊下のガラス戸に字を書いて教えてくれた兄でした。カタカナを習得して、ひらがなに進んだところで兄は招集されました。
我が家で開いた壮行会で兄がお酌をして回っていたこと、たすき掛けた軍服姿の兄を父に背負われ駅まで見送って行ったこと、母は家の木戸口からそっと顔をのぞかせていたこと、万歳三唱する兄と目があうと、澄んだ寂しい表情になったこと。思い出します。
兄から僕には一通だけ、軍事郵便ではがきが来ました。<兄チャンは忠男ノ書イタジヲミマシタヨ>。僕がカタカナの手紙を送った、その返事です。これまで繰り返し読みました。<オトウサンヤオカアサンノイイフコトヲヨクキキナサイ>
兄が戦死したのは8月23日から24日にかけての夜半だったそうです。おかしいじゃないですか。戦争は15日に終わっているのに。上級司令部からの停戦命令がなかったたために降伏できず、ソ連軍に包囲されたんです。
99年「よい子に読み書かせ隊」を結成し、読み聞かせは全国で1800回を超えました。戦争の話もしますが、最近の子ども達は興味津々で聞いています。多発する紛争やテロから、戦争を身近に感じているのかもしれません。竹やりでわら人形を突き刺す訓練や、焼夷弾を消すためのバケツリレーの様子を話すと、その滑稽さを笑う子もいます。子どもの方が冷静です。
板切れの貼入った白木の箱が届き、兄の部屋で声を立てず泣いていた母を思い出します。あの悲惨でむごい戦争を経験して、「二度と戦争はすまい」とみんなが思ったんです。その初心をかみしめる時ではないでしょうか。戦前、渡辺白泉が詠んだ<戦争が廊下の奥に立つてゐた>という状況を今また感じます。言論と表現の自由が損なわれている息苦しさがある。日本を戦争する国にしないために、一人ひとり声をあげる時だと思います。
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