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参院選で安倍首相はまた大勝できるのか?伊勢神宮の入り口に架かる橋を歩いて渡るオバマ米大統領と安倍首相(2016年5月26日撮影、資料写真)。(c)AFP/Doug Mills〔AFPBB News〕
“ずるい”選挙で三度目の勝利を狙う安倍自民党 「増税しません」で国民の信を問うというおかしな理屈
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47021
2016.6.7 筆坂 秀世 JBpress
6月22日公示、7月10日投票で参議院選挙が行われることになった。今度の参院選は、なかなか見どころが多い。
1つは、安倍首相の下でこれまで2回の国政選挙が行われ、いずれも安倍自民党が大勝を収めてきた。三度大勝を収めることができるかどうかだ。
■“増税しません”で「国民の信を問う」という変な理屈
消費税の税率は、もともと2015年10月に8%から10%に引き上げることになっていた。ところが安倍首相は、これを2017年4月まで先送りすることを決め、これへの判断を国民から仰ぐとして2014年12月に、衆議院を解散して総選挙を行った。そして自民党291議席、公明党35議席で衆議院において3分の2以上の議席を獲得することに成功した。
安倍首相は、今回もまた同じ理屈を持ち出してきた。6月1日の記者会見で安倍首相は、次のように述べている。
「国民生活に大きな影響を与える税制において、これまでお約束してきたことと異なる判断を行うのであれば、まさに税こそ民主主義であります、であるからこそ、まず国民の皆様の審判を仰いでから実行すべきであります。
信なくば立たず。国民の信頼と協力なくして、政治は成り立ちません。『新しい判断』について国政選挙であるこの参議院選挙を通して、『国民の信を問いたい』」
増税で信を問うというなら、まだ理屈は通る。“増税しません”で信を問う必要などまったくないのではないか。
■野党も国民多数も増税に反対している
そもそも増税中止など、選挙の争点にもまったくならない。すでに民進党の岡田代表は、党首討論でも現下の経済状況からして、消費税増税の先送りを提案していた。すべての野党が増税中止を求めているのである。各種の世論調査でも、ほぼ7割の回答は「増税中止に賛成する」というものだった。信を問うまでもないのだ。
これまで“増税しません”を公約に掲げ、国民の信を問うなどというへ理屈を並べた政権などない。
確かに、財政再建や社会保障財源の確保から、消費税増税の先送りを批判する声もある。だが大多数の国民は、税負担が少ない方が良いと思っている。安倍首相は、「まさに税こそ民主主義」と述べているが、これは使い方が間違っている。「税の民主主義」というのは、それが公正なものか、否かということである。パナマ文書でも問題になっているタックスヘイブンを使った税逃れを許さないことや貧富の差を緩和するため所得の再分配を適切に行うことである。
これで三度目の大勝を狙うとすれば、それはずるいでしょう、と言うしかない。
■“1つの内閣で二度の増税はきつい”
安倍首相が、“1つの内閣で二度の増税を行うのはきつい”という趣旨のことを語ったという報道があった。確かに、その通りであろう。
2014年4月に消費税率が5%から8%に引き上げられた結果、民間最終消費支出の落ち込みは、リーマンショックよりも小さかったが、東日本大震災よりも大きかった。今年度の第一四半期では、民間最終消費支出は、消費税引き上げ前よりも12兆円も落ち込んでいる。
これについて、リーマンショックや東日本大震災の影響は一時的だが、消費税率の引き上げは継続的にその影響が出るという指摘もあるように、個人消費は低迷したままである。これでは来年4月からの増税など、できるはずもなかったのである。
安倍首相は先の会見で、「世界経済がリスクに直面する今、ロケットが大気圏から脱出する時のように、アベノミクスのエンジンを最大限にふかさなければなりません。デフレからの『脱出速度』をさらに上げていかなければなりません」と語った。
そして構造改革やTPP、労働法制など多くの課題を語ったが、それがはたして上手くいくのかは、まったく見えてこなかった。アベノミクスでこれまで目立ってきたのは、異次元の金融緩和など、金融政策だけである。しかし、これだけでは個人消費を増やすことも、デフレからの脱却もできないことは、もはや明らかである。
前回総選挙では、安倍首相は「アベノミクス解散」だとも言っていた。今度の選挙も、結局はそういうことなのだろう。6月3日に稲田朋美自民党政調会長が発表した自民党の選挙公約には、有効求人倍率の改善や企業収益の増加などの「実績」が強調されている。野党の「アベノミクスは失敗」という批判を想定したものだ。
だが、はたして柳の下に2匹目のどじょうはいるのだろうか。今回は、それほど単純にはいかないだろうという気がしてならない。
■分かりやすい「自公対民共対決」
参議院の32の一人区すべてで野党統一候補が立つことになった。32の内訳は無所属が16人、民進党公認が15人、共産党公認が1人となっている。共産党の志位委員長も述べているように、「想定外」に上手く進んだということだろう。
私は、大変、結構なことだと思っている。巨大自民党に対して、野党がバラバラでは、話にならないからだ。2014年の総選挙の投票率は、52.66%であり、戦後最低であった。帰趨の決まった選挙に、国民が関心を持てなかったからである。この責任は、与党よりも野党の側にあった。国民の半分しか投票しないような選挙で、この国の行く先が決められるなどというのは、本来あってはならないことだ。民主政治の基盤が崩れていると言わなければならない事態である。
だが1人区で野党の共同がなったため、選挙が非常に分かりやすいものになった。今回の選挙では、18歳以上の選挙権が初めて実施に移される。若者が投票に向かうためにも、与野党ともに活発な論戦をしてもらいたい。
■自民党はなぜ改憲を前面に押し出さないのか
自民党の公約では、憲法改正は公約の末尾になっている。6月4日付産経新聞は、「自民 改憲は及び腰」という見出しで、「憲法改正については、踏み込み不足が否めない。掲載も公約の末尾にするなど、『改憲の機は熟していない』とする公明党への配慮がにじむ」と指摘している。
これには、二階俊博自民党総務会長が、「(憲法改正について)国民は慎重に考えている。こちらが憲法、憲法というのは得策ではない」と述べているように、憲法改正について安倍首相や二階氏らとの間に温度差があるからである。
だが安倍首相は、「自分の内閣で改憲をする」ことを公言してきた。選挙にとって「得策」か否かで論争点を外すいうのは、堂々たるやり方ではない。ましてや憲法改正である。本気でやろうというのであれば、正面から改憲を争点に押し出すべきであろう。
■野党は19歳の学生の声に耳を傾けよ
5月26日付朝日新聞の投書欄に、19歳の大学生の投書が掲載されていた。投書は、「私は、夏の参院選で初めて選挙に参加する。そんな人間がこう言っては失礼かもしれないが、参院選で野党が訴えようとしている政策の方向性に疑問を抱いている」という書き出しから始まっている。
では、なぜ野党の訴えようとしている政策に疑問を抱くのか。投書は、次のように指摘する。
「野党はみな安全保障関連法の廃止を大きな争点に据えたいようだが、それだけでは多数の有権者の支持は得られないと思う。また、安保法廃止に固執すれば、景気対策や社会保障など他の政策を訴えてほしいという人たちの投票意欲をそぐ」と言うのだ。
そして投書は、次のように締めくくる。「今の野党の状態を見ると、多数の国民を置き去りにしているのは与党ではなく野党の方ではないだろうか」と指摘する。野党には、この声に応える努力を求めたい。
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