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警察と一体になってヘイトスピーチデモを実力行使で中止に追い込むのは、いくらなんでもやり過ぎだ。
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/9d1cf3181fb5163dc5df5fda5365fb93
2016年06月06日 | 嫌韓・嫌中・人種差別反対 Everyone says I love you !
今回の記事を書くと、人種差別反対を掲げてヘイトスピーチに反対してきた方々、それを支持するリベラル派の方々に総スカンを食いそうで、相当勇気がいるのですが、人権尊重を旨とし、表現の自由を何より大切にしてきた人間として、やはり書かずにはいられません。
このブログに嫌韓・嫌中・人種差別反対というカテゴリーを設けるほど、人種差別やヘイトスピーチに反対してきた私が最近快哉を叫んだのが、神奈川県川崎市でのヘイトデモに川崎市が公園の使用を許可せず、さらに横浜地裁川崎支部が在日コリアンの方が理事長を務める在日の方々支援の社会福祉法人事務所に対するヘイトデモに禁止の仮処分を出したことでした。
ともに勇気ある英断で、全国各地の人種差別反対運動を励ましました。
【革命的!】裁判所がヘイトスピーチデモ禁止の仮処分決定!市役所が公園使用不許可処分!【対策法効果】
この仮処分決定を受けて、「行動する保守」とやら言うレイシストたちは、デモが禁止された桜本地区と近い川崎市中原区で、2016年6月5日午前に同じヘイトデモを企画し、神奈川県警はデモのための道路使用を許可しました。
しかし、この日、午前10時ごろからデモに反対する市民がヘイトデモが出発する予定だった中原平和公園に続々と集まりました。これをカウンター(反対)デモ・行動と言います。
この日は「行動する保守」側は十数人が日の丸やプラカードを持って集まったのですが、これを数百人のカウンター側が取り囲んで
「ヘイトデモ中止」
「帰れ」
などと叫び、路上に座り込むなどしました。
一方、ヘイトスピーチデモ隊は午前11時ごろ集まり、プラカードを掲げて10メートルほど進んだのですが、進行方向でこのシットイン(座り込んだり寝そべったりすること)行動で反対する市民たちに阻止されてそれ以上進めなくなりました。
10人そこそこ対数百人ですから、カウンター側が圧勝したわけです。
そして、レイシストたちは神奈川県警の「説得」に応じて11時40分ごろ、デモの中止を決めたというのです。
カウンターデモ側は後の動画でわかるように、とても100人どころではない。少なくとも数百人はいる。
この「戦果」に対して、私も存じ上げているカウンター側で有名な弁護士である神原元さんは
「これまではシットインは引きはがされて、放り投げられ、けがもさせられていたが、今日はご覧のような対応。法律ができて、警察もヘイトスピーチは違法であるとう前提で対処したのだと思う。
日本の歴史にない、民衆の正義が悪に勝った瞬間だ。現場で戦ってきた人たちが社会を変えた」
と高らかに宣言しています。
絶望が今日、希望で上書きされました。もう子供たちやハルモニをヘイトスピーチに触れさせない。根絶すると約束して戦ってきました。桜本の思いが国会に届き、法整備がされ、私たちは法で守られるべき存在だと示されました。私たちの尊厳が初めて大切にされました。今日の道路使用許可は本当に残念でしたが、神奈川県警は私たちの抗議活動の場を保障してくれ、監視してくれました」と語る、前述の仮処分の申し立て人の一人でもある在日コリアン3世の崔江以子(チェ・カンイジャ)さん(42)。
また、ここの在日コリアンの運動の象徴的な存在である在日一世の趙良葉(チョ・ヤンヨプ)さん(79)は
「いくら表現の自由と言いましても、人を虫けらのように言ったり、死ねの殺せのと、絶対そういう言葉は許してはいけない。
表現の自由とは意見の表明の自由であって、生き物はみな一生懸命生きている。
心の中にはしっかり傷があって、なかなか直らないものです。どうか私たちに傷を与えないように、どうぞよろしくお願いします」
と語りました。
私も、レイシスト・ヘイトスピーチ側の思考に理がないどころか人種差別撤廃条約違反であり、かたやカウンター側の行動は止むに止まれぬものだということを理解しています。
また、在日コリアンに朝鮮半島に帰れと言ったり、さらには韓国人殺せなどと言いつのるヘイトデモが在日の方々の心を傷つけ、さらには物理的脅威を与えるほどのもので、きれいごとでは済まないこともわかるつもりです。
しかし、今回の映像や写真を見ると、カウンター側の行動はシットインという消極的・非暴力的なものにとどまらず、圧倒的多数で少数を取り囲み、有形力を伴う物理的な実力行使になっているのは明らかです。
2016.6.5川崎ヘイトデモへのカウンター
圧倒的多数対少数。
そのうえ、カウンター側が、口頭で説得したということになっている警察とまるで協力し合って一体になっています。
ちなみに、私は安保法案反対の国会前集会にも行きましたが、集まった市民の一部が集会・デモを規制する警察と馴れ合っている姿が散見されたのには、違和感を覚えました。
安保法案反対集会に対する警察の規制は明らかに行き過ぎたもので、集まった市民の表現の自由や政治活動の自由を制限するものでしたし、いざとなれば警察というものは、容赦なく、躊躇なくデモや集会を解散させるほど取り締まってくる存在であることは明らかだからです。
こういう、警察と市民が協力して整然とした集会をするというのは、反原発集会から特に顕著になったそうで、この反原発運動の中心人物たちがヘイト行動へのカウンターでも主導的な役割を果たしているようです。
こんなことでは、政府のやることに反対する自分たちの権利を権力と一緒になって自主規制することが常態となり、肝心な時に自分たちの首を絞めることになりかねません。
たとえば、想像してみてください。
今の安倍政権の独裁的体質をストップできず、日本で全体主義がどんどん進行して、戦前の絶対的天皇制のような状態になった最悪の状況を。
そこでは、ファシズムに反対するデモは違法とされて規制され、それに抗して集まる市民が十数人ということもありえます。
これに対して、警察が良心的かつ勇気ある市民を強力に取り締まってくるだけではなく、ファシズムに洗脳され扇動された逆カウンター市民が数百人も集まって、自由と人権を求める少数の市民を実力で封じ込めようとしてくることもありうるのです。
それも、事実上、警察と協力して。
その時、それは不当だと言論をもって抗議したときに
「かつては少数のデモ隊に、カウンターと称して、数に物を言わせて同じように実力行使する抗議行動をしたではないか」
と言われたらどうするんですか。
「レイシストには居場所がない」と書かれたプラカード。
それは、私に、「朝鮮人は朝鮮半島に帰れ」というレイシストのプラカードを思い起こさせる。
もう一回言いますが、もちろん、私は人種差別行動には反対し、自由と人権を何より大切に思う側の人間です。しかし、規制される側の思想・信条によって、規制が許されたり禁止されたりするのはいかにもおかしい。
それ自体が、人権をないがしろにする行為になりえます。
ヘイトスピーチはそもそも表現の自由が保障されないという立場も有力です。私はその立場はとりませんが、その考えを認めたとしても、しかし、彼らにも人格があり行動の自由はあるのですから、実力で封殺していいことにはなりません。
人種・民族で人を差別して迫害を加えるレイシストは唾棄すべき存在だと私も思います。
しかし、彼らだって人間なのです。
『私はあなたの意見には反対だが、それを主張する権利は命をかけて守る。』
という言葉に、思想の内容で例外を認め、ある考えだけは守られないとしたら、ファシズムの世の中になった時に、自由主義者なんて人権保障の例外だと言われても反論できないことになりませんか。
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http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/e5999b735d9c65ca0561f0cae7318e2a
安倍・高市「電波停止発言」を支持する者は、ヘイトスピーチ規制法・人権擁護法に反対する資格がない。
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「慰安婦問題での日韓合意を糾弾する国民大行進」とやらにカウンターデモする香山リカさんに感動した。
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ヘイト・スピーチとは何か (岩波新書)
師岡 康子 (著)
岩波書店
差別と侮辱、排除の言葉をマイノリティに向けて路上やネット上で撒き散らす―ヘイト・スピーチとは差別煽動である。差別も「表現の自由」として、当事者の 深刻な苦しみを放置するのか。民主主義社会をも破壊する「言葉の暴力」と向き合う国際社会の経験と制度を紹介し、法規制濫用の危険性も考えながら、共に生きる社会の方途を探る。
ヘイトスピーチ 「愛国者」たちの憎悪と暴力 (文春新書)
安田 浩一 (著)
文藝春秋
ネットの中で醸成された右翼的言動、いわゆる「ネトウヨ」が、街頭デモにまで進出してきたのは何故なのか? その代表格とされる「在特会」とは一体、どんな組織なのか? デモに参加するのはどんな人たちなのか?
こうした幾つもの疑問に答えるのが、本書。在特会問題を取材しつづけ、2012年には『ネットと愛国』で講談社ノンフィクション賞を受賞した実力派ジャーナリストによる、「ヘイトスピーチ」問題の決定版!
ヘイト・スピーチの法的研究
金 尚均 (著, 編集), 森千香子 (著), 安田浩一 (著), 中村一成 (著), 遠藤比呂通 (著)
法律文化社
「差別的表現」と「ヘイト・スピーチ」は同列に扱ってよいのか。ジャーナリズム、社会学の知見を前提に、憲法学と刑法学の双方からその法的規制の是非を問う。有害性の内実を読み解く試み。
レイシストに対してその数十倍の、在日コリアンを守ろうとする市民が結集したことこそが画期的で、素晴らしいことなのですが。
ああ、この記事に対する反応を予想されて、猛烈にブルーになってきた。
川崎ヘイトデモ 中止…反対の市民抗議、警察が説得
http://mainichi.jp/articles/20160606/k00/00m/040/066000c
毎日新聞2016年6月5日 21時35分(最終更新 6月6日 00時48分)
警察官が割って入る中、もみ合う集会参加者と反対する市民ら=川崎市で2016年6月5日午前11時34分、小出洋平撮影
在日コリアン排斥を訴えるヘイトスピーチを繰り返し、川崎市川崎区にある公園2カ所の利用を市から不許可とされた団体が5日、同市中原区で予定していたデモを開始直後に中止した。ヘイトスピーチ対策法が3日に施行された直後の行動だったが、集合場所付近で反対する市民らともみ合いになり、神奈川県警からやめるよう説得された。
午前10時過ぎ、デモの参加者約20人が、公園利用を認めなかった川崎市長を批判するプラカードなどを持ち、集合場所の公園前に集結。これに対し、在日コリアンや市民ら数百人が「違法なヘイトスピーチはやめて」などと抗議した。現場付近には衝突などに備え警察官数百人が出動。県警は11時過ぎ、「道路が騒然として安全が確保できない。けが人が出たら大変なことになる」などとデモを中止するよう説得。11時半過ぎに主催者側が中止を決めた。県警によると逮捕者やけが人は出なかった。
主催者団体は過去2回、在日コリアンが多く住む川崎区の桜本地区でヘイトスピーチを行い、5日のデモもインターネットで公表。これに対し、市が公園の使用を不許可としたほか、在日コリアンを支援する市内の社会福祉法人がデモ禁止を求めた仮処分で横浜地裁川崎支部が2日、「ヘイトデモは人格権への違法な侵害」と周辺でのデモを禁じる決定を出した。主催者団体はデモ会場を中原区に移し、県警から道路使用許可を受けた。【太田圭介、国本愛、木下翔太郎】
【ヘイトスピーチ】法施行後、初のヘイトデモ 数百人に抗議され中止(動画・画像)
http://www.huffingtonpost.jp/2016/06/05/kawasaki-hate-demo-stopped_n_10304878.html
The Huffington Post | 執筆者: 吉野太一郎 投稿日: 2016年06月05日 17時15分 JST 更新: 2016年06月05日 17時29分 JST
「ヘイトスピーチ解消法」施行後初の、民族差別を煽るヘイトデモは、差別に反対する人々の抗議に屈する形で中止された。
6月5日、川崎市中原区の武蔵小杉駅に近い公園を起点に、同市在住の男性が「川崎発!日本浄化デモ」と予告していたヘイトデモは、デモに抗議し、中止を求める人々が数百人集まり、デモ参加者と激しく言い争ったり、進路をふさいだりした。このため、デモは約10m進んだ時点で正午前に中止になった。NHKニュースによると、警察が主催者側に「デモを実施すると危険な状態になる」と説明し、主催者側がデモの中止を決めたという。
「不当な差別的言動は許されない」とした「ヘイトスピーチ解消法」施行後初のヘイトデモとして、川崎市が「不当な差別的言動から市民の安全と尊厳を守る」ことを理由に公園の使用を不許可にするなど、行政などの対応が注目されていた。警察はデモ直前の3日に道路の使用を許可したが、当日の対応には目立った変化が見られた。
5日は朝から、ヘイトデモに抗議し、中止を求める「カウンター」の人々が、起点とされた川崎市中原区の中原平和公園に続々と集まった。デモ参加者が姿を見せると、カウンターから「帰れ、帰れ」のコールが起き、カウンターと小競り合いが起きる。神奈川県警は参加者を武蔵小杉駅に戻して混乱を回避した。
開始予定時刻とされていた午前11時を前に、日の丸やプラカードを掲げたヘイトデモの参加者が集まり始めた。
カウンターの人々が道路に座り込んでヘイトデモの進路を妨げる「シットイン」を始めた。欧米などでもよく見られる抗議手法だが、これまでは通常、シットインする人々を警察が排除していた。しかし、今回はそうした光景は見られなかった。
現場で見守っていた神原元・弁護士は「これまではシットインは引きはがされて、放り投げられ、けがもさせられていたが、今日はご覧のような対応。法律ができて、警察もヘイトスピーチは違法であるとう前提で対処したのだと思う。日本の歴史にない、民衆の正義が悪に勝った瞬間だ。現場で戦ってきた人たちが社会を変えた」。
やがてカウンターの人数がふくれあがり、道路を埋め尽くした。
11時30分すぎ「デモは中止になりました。速やかに歩道に上がって下さい」と機動隊の車両からアナウンスが流れた。カウンターから拍手がわき起こる。
一部のヘイトデモ参加者たちは、解散後もしばらく現場近くでプラカードなどを掲げ、カウンターとにらみ合っていたが、やがて姿を消した。
デモ中止を受けて、カウンターの参加者たちは公園に再び集まり、中止を喜び合った。
在日コリアンが多く住む川崎市桜本地区でヘイトデモに抗議してきた在日コリアン3世の崔江以子(チェ・カンイジャ)さん(42)は「絶望が今日、希望で上書きされました。もう子供たちやハルモニをヘイトスピーチに触れさせない。根絶すると約束して戦ってきました。桜本の思いが国会に届き、法整備がされ、私たちは法で守られるべき存在だと示されました。私たちの尊厳が初めて大切にされました。今日の道路使用許可は本当に残念でしたが、神奈川県警は私たちの抗議活動の場を保障してくれ、監視してくれました」。崔さんの長男、寧生(ねお)君(14)は「主催者側からデモを中止と言ってくれた。すごいことだな、と思う」と喜んだ。
趙良葉さん(左)
「デモが進んだら、体を張って止めようと思っていた」という在日一世の趙良葉(チョ・ヤンヨプ)さん(79)は「いくら表現の自由と言いましても、人を虫けらのように言ったり、死ねの殺せのと、絶対そういう言葉は許してはいけない。表現の自由とは意見の表明の自由であって、生き物はみな一生懸命生きている。心の中にはしっかり傷があって、なかなか直らないものです。どうか私たちに傷を与えないように、どうぞよろしくお願いします」と訴えた。
一方、デモ主催者の男性は、NHKに対し「道路使用の許可を取ったのにデモができないのは言論弾圧だ」と述べた。
川崎のヘイトデモ中止 主催側と反対側もみ合い
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO03247100V00C16A6CC1000/
2016/6/5 23:32 日本経済新聞
ヘイトスピーチ対策法が施行されて最初の日曜日の5日、在日コリアンへの差別的言動を繰り返していた団体が川崎市中原区で計画したデモが、反対のため集まった数百人ともみ合いになり、中止となった。
デモの集合場所だった中原区の公園周辺には開始予定時刻の前から反対する人々が集まり始め、団体側を取り囲んだ。道をふさごうと座り込む人や寝転ぶ人もおり、神奈川県警がデモをやるのかどうか改めて確認。正午前、団体側が現場で県警に中止を告げた。
警察当局によると、活動の中止を求めて集まったのは約600人で、団体側は約20人だった。
川崎市の在日3世、崔江以子さん(42)は「解散してくれてよかった。対立関係を超えて話し合いたい」と語った。デモ主催者の市内在住の男性は「なぜ自分たちばかりが言うことを聞かなければいけないのか。納得いかない」と述べた。
県警によると、デモは公園周辺の道路で午前11時半〜午後0時半、10〜50人が行進する計画だった。「日本浄化」を目的とし、主催男性が1日、中原署に道路使用許可を申請した。県警は「要件を満たしている」と許可した。
中原区の集合場所は、在日コリアンの多い川崎区桜本地区から約8キロ離れている。
市は5月の対策法成立を受け、団体側に川崎区の公園2カ所の使用不許可を決定。横浜地裁川崎支部も今月2日、「人格権の侵害で、集会や表現の自由の範囲外」として一定範囲のデモ禁止を命じる仮処分を決定した。
警察庁は3日、対策法施行を受け、違法行為を厳正に対処するよう、全国の警察本部に通達。名誉毀損や暴行、道交法違反などの罪に当たる行為を確認した場合、現行犯で取り締まることを想定している。〔共同〕
ヘイト団体デモ「市民の力で食い止めた」 路上で「解散」声上げ
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201606/CK2016060602000173.html
2016年6月6日 東京新聞
デモが中止となり、涙ぐむ崔江以子さん(中)=中原区で
在日コリアンらの排除デモを繰り返していたとされる団体が川崎市中原区で五日に計画していたデモの中止。これまで「差別をやめろ」などと抗議や反対の声を上げ続けてきた人々からは「市民の力が差別行為を食い止めた」と喜びの声があがった。 (横井武昭)
この日午前、同区の中原平和公園前の道路では、国旗などを掲げてデモを行おうとする団体を、大勢の反対する市民らが取り囲んだ。「あらゆる場所で差別にNOを」「いつまでも共にこの街で」など、さまざまなプラカードを掲げ、「デモ解散」「帰れ」と声を上げた。路上に座り込んで、デモが進むのを防ごうとする人々もいた。
県警幹部によると、危険や混乱の防止の観点から県警がデモの主催側に中止を助言。午前十一時半過ぎに警察官が「中止になった」とマイクで告げると、市民らから拍手が起きた。
現場には「『ヘイトスピーチを許さない』かわさき市民ネットワーク」のほか、多くの市民が駆けつけた。横浜市の女性会社員(36)は「(ヘイトスピーチ)対策法ができてもデモが許可され、民衆が黙っているとやりたい放題になってしまう。子どもたちのためにも大人が阻止しないといけない」と語った。
中止後、集まった人々を前に在日コリアン三世の崔江以子(チェカンイジャ)さんがマイクを握った。「一月にあったデモの『絶望』が今日、『希望』で上書きされた」。差別のない社会を体現するために集まった一人一人の顔を見つめ、涙が抑えきれなかった。崔さんの中学生の長男が「ヘイトスピーチを根絶するようにこれからもがんばりましょう」と語ると、ひときわ大きな拍手が起きた。
在日一世の趙良葉(チョウヤンヨプ)さん(79)も「ほっとした。表現の自由といっても、『死ね』『殺せ』と人間を虫けらのように言ってはいけない。心の中に傷ができて治らないんです」と訴えた。
ネットワークの三浦知人事務局長は「ヘイトスピーチの具体的な解決は地域社会の中で行わなければならない。これからが出発点だ」と力を込めた。
市民団体「のりこえねっと」共同代表の辛淑玉(シンスゴ)さんは「(今回のデモは)法律や民主主義に対する挑戦だった。ここを止めなかったら全国に飛び火する。だから、どんなことがあっても止めようと思っていた。国籍を超えた多くの人たちの良心はこんなにも大きかったんだとあらためて思った」と意義を語った。
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